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「もらい水」(2020年7月20日配信『毎日新聞』-「余録」)

 「朝顔に釣瓶(つるべ)とられてもらひ水」は、いま時分の句である。水をくみに井戸端に出たら、おけに朝顔のつるが巻き付いている。外すに忍びず、隣家で水をもらった。心なごむ、夏の朝の風景

▲命に欠かせない飲み水が「買うもの」になったのはいつからだろう。ペットボトル入りミネラルウオーターの生産量はうなぎ登りだ。外出先で喉が渇けばコンビニや自販機で気軽に買える。だが、飲み終われば空のボトルはごみになる

▲日本で「もらい水」を実践する動きが広がっている。もとは海を汚すプラスチックごみを減らそうと英国で始まった市民運動だ。水筒を持ち歩き、公共施設や駅、飲食店などで水をもらう。補充を意味する単語から「リフィル運動」と呼ばれる

▲ミネラルウオーターは水道水に比べてケタ違いに高い。ボトル製造や輸送の過程で二酸化炭素も排出する。その点、リフィルは財布と地球に優しく、リサイクルの手間と海ごみの削減にもなるというわけだ

▲香川県ではうどん店が協力して輪が広がる。食事をしなくても水や粉ミルク用のお湯がもらえる。店先の「マイボトルOK!」のシールが目印だ。「遍路のお接待のようなもの。次はここに食べに来ようという気持ちになります」と現地のスタッフは語る

▲「誰もが無料で安全な水を飲める環境を整えるのは公共の責任」という考え方もある。手間をかけた水道水を飲んでもらえれば、自治体も歓迎だろう。もらい水で喉を潤し心も潤う、そんな街が増えるなら楽しい。




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Author:gogotamu2019
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