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コロナ下の災害支援(2020年7月20日配信『愛媛新聞』-「社説」)

 九州を中心に甚大な被害が出た豪雨から2週間がたった。長く続いた雨が落ち着き、ライフラインの復旧や浸水した家の片付けなどが続いている。

 悩ましいのが新型コロナウイルスの影響だ。避難者が2千人を超える中、「3密」を避けるため、避難所ではなく自家用車や被災した家での滞在を余儀なくされている人もいる。自治体は実態把握を急ぎ、災害関連死を招かぬよう支援の手を行き届かせなければならない。

 広域支援の課題も浮上している。熊本県では、他県から派遣された自治体職員の新型コロナ感染が分かり、避難者のPCR検査などに追われた。ボランティアの受け入れも制限せざるを得ない状況で、復旧作業の遅れが心配される。国と自治体は、感染防止対策と速やかな復旧の両立に知恵を絞る必要がある。

 新型コロナに対応するため、各地の避難所では、体調不良の人の部屋を分けたり、仕切りや段ボール製ベッドを設置したりしている。通常より避難者の居住空間を広めに確保していることから、従来計画されていたペット同伴者の受け入れが難しくなるなどの影響が出ている。

 熊本県人吉市では、避難者全体の約1割が車中泊や在宅を選んでいるとみられる。避難者が分散することで健康状態などが把握できないのは懸念材料だ。特に車中泊はエコノミークラス症候群といった命に関わるリスクもある。罹災(りさい)証明の手続きなどで所在を把握し、見守りにつなげていくことが欠かせない。

 先の見えない避難生活に新型コロナ感染への不安が重なり、避難者からは「ぴりぴりする」「閉塞(へいそく)感がある」といった声が聞かれる。精神的ケアの重要性が増しており、相談体制の充実や、地域のつながりの維持などに注力することが重要だろう。

 復旧へ多くの人手が必要とされる時期にあって、熊本県に派遣された高松市の保健師の新型コロナ感染は、被災者に不安を広げた。教訓を生かして再発を防がねばならない。

 全国知事会は、派遣前のPCR検査や支援活動時のマスクの着用徹底を対策として挙げている。災害の対応経験のある自治体職員らは、被災地で大きな戦力となる。これらの対策を着実に実行し、安心して派遣や受け入れができる環境を整えることが急務だ。

 被災地に入る際に注意が必要なのは、公的支援に限らない。感染が確認された時事通信社のカメラマンは、熊本県で取材活動をしていた。ボランティアを含め、民間で活動する場合も感染防止対策を徹底し、責任ある行動が求められる。

 感染拡大が続く中、被災地に行くことが難しくても、物資の提供などさまざまな支援の形がある。必要な場所に必要な物資や人的支援を届けるためには、被災者のニーズを細かく把握することが不可欠だ。自治体は情報収集と発信を続け、柔軟に対応してもらいたい。




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Author:gogotamu2019
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