FC2ブログ

記事一覧

米軍コロナ感染拡大 日本の防疫体制適用せよ(2020年7月21日配信『琉球新報』-「社説」)

 在沖米軍基地での新型コロナウイルス感染拡大が県民の命や健康を脅かす深刻な事態となっている。

 県内の米軍関係の感染者数は20日現在143人に上る。米軍を出入りする男性タクシー運転手の感染が確認され県民に不安が広がっている。普段から米軍由来の事件事故や騒音などに苦しむ県民にとって新たな基地負担と言える。

 最大の問題は防疫体制が米軍任せになっていることだ。背景には日米地位協定があり、基地内では米側の検疫手続きが適用される。万全な水際対策を講じたくても米軍の裁量に委ねられる。検疫の実態は不透明で日本側は米軍の報告を検証するすべもない。
 地位協定の見直しは当然である。まずは日本の防疫体制を米軍関係者に適用することを急ぐべきだ。

 米国は感染者数と死者数が世界最多で入国拒否の対象国だ。しかし米軍人は日米地位協定によって、入国拒否の対象外となっている。来日する際に民間空港を使わず軍用機などで在日米軍基地に入る米軍関係者について日本政府は、氏名はおろか人数さえ把握できていない。

 そもそも米軍は自ら課す予防策さえ徹底できていない。県内米軍基地で発生したクラスター(感染者集団)の原因について在沖米陸軍の大佐は、人事異動に伴って到着した人員が行動制限に従わなかったことや、大人数の集会に関するソーシャルディスタンス(社会的距離)の指示に従わなかったことを指摘している。

 米軍は人事異動の際、米本国など異動元と日本でそれぞれ2週間の隔離措置を課している。しかし在沖米軍関係者の感染源が米本国だとすれば、隔離措置に抜け穴があった可能性が高い。

 日本政府は、米国を出国する際と、日本への入国後にそれぞれPCR検査を米軍関係者全員に義務付けるよう要請し、米側はその方向で検討しているという。日本政府は米側の報告をうのみにせず、隔離措置なども含めた米側の防疫体制を検証すべきだ。

 在日米軍が感染防止に欠かせない感染者の行動歴を公表しないことも問題だ。在韓米軍は感染判明の経緯や隔離情報などを積極的に公開し、米軍関係者は隔離措置の前後ともPCR検査を実施している。オーストラリアは感染予防のため米海兵隊のローテーション配備の在り方を変更させた。この対応の違いは地位協定に起因する。

 日本政府は、県や県議会が求める地位協定の見直しに応じない姿勢だ。このままだと日本国内でコロナが収束しても、米国が収束しない限り、沖縄は感染の危険にさらされ続ける。県民の命や健康だけでなく、経済への影響も懸念される。9・11テロ後、観光客が激減したような状態が恒常化する恐れもある。コロナ長期化を見据え、日米政府は早急に地位協定を見直すべきだ。



在日米軍の感染者数 地元は公表求めるが…米国に追随、後ろ向きな政府(2020年7月21日配信『東京新聞』)

 在日米軍関係者の新型コロナウイルス感染拡大を巡り、日本政府は実態を把握しながら明らかにしていない。部隊運用に影響を及ぼす恐れがあるとして、各基地の感染者数を公表しない米軍の方針に配慮しているためだ。沖縄県は県内基地でのクラスター(感染者集団)発生を受け、米軍と交渉して独自に公表。米軍施設を抱える自治体の議会は感染情報の公開を求める意見書を採択しており、国の消極姿勢が際立つ。

 「米軍も即応性を維持するという観点から公表を差し控えている。沖縄のような例外的な所を除き公表するつもりはない」

 河野太郎防衛相は17日の記者会見で、在日米軍関係の感染者の総数は公表しない考えを強調した。

 在日米軍関係者の感染症の情報は、日米が2013年に交わした覚書で、基地の指揮官が地域の保健所長に連絡する取り決めとなった。従来は各自治体や保健所が、米軍内の感染者数などを公表してきた。

 しかし、米国防総省は3月末、新型コロナに関し、個別の部隊や各基地の感染者数を公表しない方針を表明。外務省も自治体にその方針を伝え、4月以降、各自治体の発表は米兵らの感染者数を「数人」などと曖昧にする事例が増えた。

 このため、米兵住宅地区を抱える神奈川県逗子市議会は6月、「基地内の感染が、基地周辺に影響を及ぼす可能性がある」として感染状況を公表するよう国に求める意見書を賛成多数で可決。沖縄県や同県うるま、宜野湾両市議会も同様の意見書を可決した。

 7月には懸念が現実となり、宜野湾市の普天間飛行場などで米兵らのクラスターが発生し、基地に出入りする日本人タクシー運転手への感染も確認された。玉城デニー知事は「県民に報告しないと不安が払拭できない」と判断し、米軍と調整して感染者数を公表。米側も「公表するのなら止めない」と容認した。

キャプチャ
15日、河野防衛相との会談で発言する沖縄県の玉城デニー知事(手前)=防衛省で

 各地域で異なる感染者数の公表方法について、在日米軍司令部は本紙の取材に「各部隊や司令部は、国防総省の方針を注意深く解釈し、各地域のニーズにふさわしい形で実行する」と文書で回答した。

 沖縄国際大の野添文彬准教授(国際政治学)は「コロナを中国につけ込まれる弱みと考え、公表を避ける米軍の考えは分かるが、その結果、地元の信頼を失った」と指摘。「政府も米軍からコロナが持ち込まれることの危機意識が低すぎた。事実を公表しなければ、自治体や住民が不信感を募らせ、日米関係が揺らぐ恐れがある」と話した。

キャプチャ




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ