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土用丑(うし)の日 7月21日

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 「土用」は立夏・立秋・立冬・立春直前の約18日間の「期間」を示す言葉。

 「土用の丑の日」とは、土用の期間におとずれる丑の日の事を指しており、「季節の変わり目」を意味する。

 土用は毎年異なるため、土用の丑の日も毎年変わり、立夏・立秋・立冬・立春にそれぞれに土用がある。

 なお、土用の丑の日と土曜日とは関係ない。

 2020年の土用の丑の日は、1月23日、4月16日、4月28日、7月21日、8月2日、10月25日、11月6日。

 2020年は夏に土用の丑の日が2回あり、7月21日を「一の丑」、8月2日を「二の丑」と呼ぶ。



「土用の丑(うし)」(2020年7月21日配信『日本経済新聞』ー「春秋」)

 太宰治は屋台のうなぎ屋の常連だった。東京・三鷹にあったその店は小説にも登場する。むかし縁のあった女性の娘と、のれんをくぐる主人公。「大串がよござんすか、小串が?」「小串を。三人前」――。娘の母は広島の原爆で亡くなっていた。その分も頼んだのだ。

▼終戦直後の日本人の心情をすくい取った短編「メリイクリスマス」である。しみじみとした話を、屋台のうなぎが引き立てていて焼け具合まで目に浮かぶ。匂いもする。そのころの蒲(かば)焼きはきっと天然ものだったろう……。などと思いをめぐらせつつ、うちわをパタパタやっている近所の店をのぞけば「大串2700円」。

▼きょうの「土用の丑(うし)」は、どこも大忙しに違いない。稚魚が豊漁だったからすこし安くなったらしいが、相変わらずの値段である。それでも今年はコロナ禍で巣ごもりが続き、外食もままならぬだけに持ち帰りのうなぎが人気だという。太宰のいた戦後ははるかに遠いが、新たな困難な時代にも蒲焼きの味は人々を癒やす。

▼そういえば、織田作之助もうなぎが好物だった。太宰と同じく無頼派と呼ばれたこの作家が残した「夫婦善哉」に出てくるのは、大阪風の「まむし」である。たれのたっぷりからまった熱いうなぎ飯を「フーフー口とがらせて」食べる柳吉と蝶子。戦雲たれこめる1940年の作ながら、読者はしばし世相を忘れただろう。



『鰻(うなぎ)の幇間(たいこ)』(2020年7月21日配信『産経新聞』ー「産経抄」)

「ヘッヘッヘ…うなとなぞは、あたくしまた久しくあれにはお目にかかりません…ぜひお供を」。たいこもちの一八がウナギをおごってもらうつもりが、反対に勘定を押し付けられる。落語の『鰻(うなぎ)の幇間(たいこ)』である。

 ▼海千山千の一八がなぜ、簡単にだまされたのか。「不幸だったのは、ときあたかも土用であったことである」。演芸評論家の矢野誠一さんは指摘する。土用の日盛りの町でようやく捕まえた相手に、「どうでえ、ウナギを食うかい」と持ちかけられたら、ひとたまりもない(『落語食譜』)。

 ▼本日は「土用の丑の日」。毎年この日に、ウナギの消費がピークを迎える。とりわけ今年のウナギ商戦は、活況を呈している。ニホンウナギの稚魚であるシラスウナギが豊漁となり、安値傾向にあるからだ。新型コロナウイルスの影響で、外食を控える代わりに自宅でごちそうを楽しむ家庭が増えたこともある。

 ▼もっとも、喜んでばかりもいられない。豊漁といっても、過去最低だった昨年の約5倍の17・1トン、1960年代に200トンを超えていた漁獲量とは比べものにならない。「ニホンウナギの個体数が過去24年間で半減し、依然、絶滅の恐れは高い」。国際自然保護連合(IUCN)による最新の評価内容も明らかになったばかりである。

 ▼土用の丑の日にウナギを食べる習慣の由来については、諸説ある。「石麻呂(いしまろ)にわれ物申す夏痩(なつやせ)によしといふものぞ鰻(むなぎ)捕り食(め)せ」。大伴家持(おおとものやかもち)の歌にあるように、万葉集の時代から夏の滋養食として知られていた。日本のウナギ文化の危機を自覚しながら、ありがたくいただきたい。

 ▼17日のコラムで、作家の久木綾子さんのデビュー作『見残しの塔』を文春文庫としたのは、新宿書房の誤りでした。



「秘伝のたれ」(2020年7月21日配信『熊本日日新聞』-「新生面」)

100年以上継ぎ足しながら守ってきた「秘伝のたれ」に、創業時のたれは残っているのか。そんな実験をテレビで見たことがある。秘伝のたれに見立てた黒い小さな玉を容器にたっぷり入れ、使った分だけ白い玉(新しいたれ)を補充し混ぜるというもの

▼繰り返していくと容器の中はみるみる真っ白になった。答えは「残っていない」。ネット上にも数式を使ったさまざまな考察がある。小さい容器なら、1~2カ月でほぼ入れ替わるという

▼とはいえ、秘伝のたれは日々繰り返される作業のたまものだ。受け継いでいるのは、たれそのものというより、手間を惜しまず努力を重ねよ、という歴代店主の教えなのだろう

▼とすれば、こちらも心配ないのかもしれない。今回の豪雨で秘伝のたれを失った人吉市の老舗うなぎ店のことだ。3代目は「112年の伝統を絶やしたくない」と力強く語っていた。「味は舌と頭で覚えている」とも。格付け本『ミシュランガイド熊本・大分版』に載った名店の味は、じきに復活するに違いない

▼被災地には今、伝統の味や技術、サービスを自分の代で絶やすまい、と歯を食いしばる大勢の人がいる。どんなに強い気持ちも、大きな困難を前に折れそうになる時があるだろう。国の支援が欠かせない

▼常連客の存在も力になる。「あの味をもう一度」「必ず再開を」。そんな言葉が何よりの励みとなろう。きょうは土用の丑[うし]の日。先の老舗うなぎ店のファンも「今年は難しくても来年の夏なら」と願っているはずだ。



海山にゆかずせめての鰻食ふ(2020年7月21日配信『南日本新聞』-「南風録」)

歌人の斎藤茂吉は大のうなぎ好きで知られた。かば焼きを前にすると「これこれ」と目を細めた。選歌の席では、「そっちの方が大きいから替えてくれ」と言ったという逸話も残る。

 そんな茂吉を大いにうらやましがらせた俳人がいた。熊本県人吉市のうなぎ店に生まれた上村(うえむら)占魚(せんぎょ)である。交流のあった茂吉は「幾つぐらいから食べたのか」と尋ね、「物ごころのつかぬ日からだ」と聞くと、深いため息をついたと著書「占魚の世界」で振り返る。

 その生家は、先日の豪雨で大きな被害を受けた。いろりのある味わい深い店内は天井を超える高さまで水に漬かり、泥まみれになった。数百匹いたウナギの多くは逃げたり、死んだりした。

 代々受け継いできた秘伝のたれにも泥が混じり、だめになったという記事が本紙に出ていた。安全な場所に移す時間もないほど濁流の勢いはすさまじかったという。

 店主の上村由紀穂さんは店を畳むことも考えたが、片付けに汗を流す従業員の姿に背中を押され、再起を決意したとあった。鹿児島など県外からも大勢が訪れる。「たれの作り方は頭に入っている」という言葉に胸をなで下ろしたファンも多いだろう。

 きょうは土用丑(うし)の日。占魚は「忙しかったさまは、いまだに目の奥に残っている」と記し、<海山にゆかずせめての鰻食ふ>と詠んだ。店前に行列の戻る日をうなぎ好きならずとも願う。



きょうは土用丑の日 「うな丼」「うな重」は何が違う? 器が異なるだけ…?(2020年7月21日配信『オトナンサー』)

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うな丼(右)とうな重の違いは?

 きょう7月21日は「土用の丑(うし)の日」です。うなぎ料理専門店に行くと、お品書きに「うな丼」「うな重」の両方が書かれていることがありますが、ご飯の上にうなぎがのっている点は同じであるにもかかわらず、なぜか呼び方が違います。「うな丼」「うな重」は何が違うのでしょうか。器が「丼」か「お重」かの違いでしょうか。料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんに聞きました。

「うな丼」起源は芝居小屋の食事?

Q.昔から、「うな丼」と「うな重」が存在したのでしょうか。それぞれ、どのようなきっかけから生まれたのですか。

関口さん「『うな丼』の由来は諸説あるようですが、江戸時代末期に刊行された随筆『俗事百工起源』によると、文化年中(1804~18年)の頃、堺町(現在の東京・人形町)の芝居小屋『中村座』のスポンサー、大久保今助が、かば焼きが冷めないようにと、丼飯の間に挟んで芝居小屋に届けさせたものが始まりのようです。『俗事百工起源』には『うなぎ飯』の起源と書かれていますが、現代のうな丼に近い形だと思われます。

江戸時代にはすでに、うな丼は庶民の間で人気となり、陶器や磁器、漆器の丼を使って出されていたようです。明治時代に入り、それまで地焼き(焼くのみ)だったかば焼きから、焼く工程で蒸す方法が取り入れられ、かば焼きがやわらかくなったことで、ご飯の上にのせるスタイルが確立、その後、さらに見栄えよくお重に入れたものが登場し、人気になって『うな重』となったそうです。

お重が使われるようになった由来は、他にも説があります。うなぎ飯が冷めないように重箱を3段重ねにし、上下のお重にお湯を入れて、真ん中のお重に入れたうなぎ飯を保温したという説です。お重に入れたうなぎ飯は、その辺りからも、丼よりも高級なものとして認識されていったとみられます」

Q.うな丼、うな重の違いは何でしょうか。丼に入っているか、お重に入っているかの違いだけですか。

関口さん「お店によっては両方のメニューがあり、違いは丼に入っているか、お重に入っているかという、器だけの違いというところもあります。中には、丼のご飯にたれを絡ませたり、刻んだかば焼きとたれをご飯に絡ませた『ひつまぶし』のようなご飯を使ったりするところもありますが、多くはおわんや漬物など、付属の品数が違っている程度のようです」

Q.うな重の方が、うな丼よりも値段がかなり高いことがあります。なぜ、このような差が出るのでしょうか。

関口さん「うな重は、うな丼よりもうなぎの量を多くしていることで、値段が高く設定されていることが多いです。丼よりもお重の方がサイズが大きく、うな丼と同じ量のうなぎを入れたのでは、隙間が多くて見栄えが悪くなってしまうためです。それが値段にも反映されているようです。その他にも、付け合わせや小鉢、汁物などの品数が違うことで値段に開きがあるようです」

Q.うな丼、うな重には「松竹梅」「並・上・特上」などのランク付けがあります。こうしたランク付けにより、それぞれ何が異なるのでしょうか。

関口さん「お店によっても違いますが、一般的には、うなぎの量や大きさ、養殖か天然かの違いで決められています」

Q.うな丼、うな重の両方が食べられるお店では何を基準にして、うな丼か、うな重かを選べばよいのでしょうか。

関口さん「うな丼は、うなぎを使う量が一番少なく、値段の設定もお手頃感があるため、所持金の都合で選べばよいと思います。うな丼をお昼だけ提供するなど、お店も集客を考えたメニュー構成にしている場合があり、結果的にあまり大差ないこともあるようです。

お店で使うたれやご飯は丼もお重も同じなので、その店の味わいを楽しみながらお手頃感で選ぶなら、うな丼がおすすめです。一方で『土用の丑の日くらいは奮発したい』ということであれば、うな重を注文してもよいのではないでしょうか」

オトナンサー編集部






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