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緊急事態解除2カ月 国は地方の声生かせ(2020年7月22日配信『茨城新聞』-「論説」)

 新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言が全面解除されて25日で2カ月となる。東京都など自治体と国の間で不協和音が目立つ中、「第2波」と呼ぶべき感染拡大再燃を招いた。

 終息が見通せない以上、持久戦の構えで感染防止と経済再生の二兎(にと)を追うほかない。しかし状況に応じブレーキ、アクセルを踏み換えなければ、一兎も得られない危険がある。それを実感した2カ月間ではなかったか。

 都の1日当たり新規感染者は5月25日の宣言解除後徐々に増え、6月19日の県境越え移動全面解禁後から急上昇。7月半ばには300人に迫る日が続いた。大阪府も連日90人近くになった。国内全体の感染者数も4月の水準に戻り、2カ月前は800人台だった死者は千人を超えている。経済を回しながらの感染拡大防止は、少なくとも現時点では成功していない。

 政府は4月に比べ重症者が少ないことを根拠に宣言再発令を否定する。感染が若者中心で軽症、無症状者が多いためだが、市中感染は進んで中高年にも広がりつつある。このままでは入院病床は逼迫(ひっぱく)する可能性が高い。東京都は警戒度を最高に引き上げ、病床や療養のためのホテル確保を急ぐが、目指す2800床確保がなかなか達成できない状況が続いた。宣言解除後、態勢に緩みが生じていなかったか。早急に立て直しが必要だ。

 コロナ対策は安倍晋三首相ら国のリーダーシップの下、自治体が結束すべきだ。だが実際には、世論を背に不満を強める地方や与党から突き上げられ、政府が方針転換する朝令暮改が続く。全国一斉開始予定だった観光支援事業「Go To トラベル」の割引対象からの東京都発着旅行の除外、それに伴うキャンセル料補償は最たる例だ。

 以前にも、緊急事態宣言の発令判断、店舗への休業要請と補償、減収世帯対象の30万円給付から全国民一律10万円給付への変更、自治体向け臨時交付金2兆円増額-などはいずれも地方や与党に迫られ実行した。これは、自治体に比べ政府が「たこつぼ化」し生活や仕事の現場にある国民の声が届かなくなっていることが原因ではないか。

 西村康稔経済再生担当相は、感染防止策が不十分なキャバクラなどに「特措法24条に基づく休業要請」を検討すべきだと言う。24条が定めるのは、緊急事態宣言なしで知事がする協力要請だ。

 ただ4月には、24条を使い政府方針より幅広く休業要請しようとした小池百合子都知事に西村氏が待ったをかけた。政府はかつて邪道扱いした24条適用を今度は求める。知事側がそれなら補償や罰則の規定が必要と主張するのも当然だろう。

 政府が休業要請が必要とするなら、法的義務を伴う緊急事態宣言を感染拡大地域に再発令するのが筋だ。国はコロナ対策のため本年度全体で90兆円超の借金を抱えた。長期戦に向け支出を抑えたいため、再び補償を伴う休業要請の「主役」になることに消極的なのかと疑念が生じる。執行を自治体に委ねても最終責任は国が負うのが地方分権の本来の姿ではないか。

 未体験の事態に臨むコロナ対策では曲折も避けられまい。実践しつつ検証し、国民に説明責任を果たして果断に軌道修正すべきだ。その際、国は地方の声を機敏に吸い上げ足らざるを補う柔軟な姿勢が不可欠だ。



緊急事態解除2カ月(2020年7月22日配信『福井新聞』-「論説」)

国、自治体の結束欠かせぬ

 新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言が全面解除されて25日で2カ月となる。

 この間、東京都は第2波の様相を呈するまでに新規感染者数が急増。今月半ばには300人に迫る日が続いた。大阪府も連日90人近くになっている。国内の感染者数も4月の水準に戻り、死者が千人を超えるまでになった。

 長丁場が想定される中、感染防止と社会経済活動の両立を図らなければならないが、ブレーキとアクセルを同時に踏み込むような状態が続いており、現時点では成功しているとは到底言い難い。

 最たる例が観光支援事業「Go To トラベル」だ。政府は全国一斉の開始予定だったが、ここに来て東京都発着旅行の除外、それに伴うキャンセル料の補償という朝令暮改を余儀なくされた。世論を背景に不満を募らせる地方や与党から突き上げられた格好だ。

 緊急事態宣言の発令判断や店舗への休業と補償、減収世帯対象の30万円給付から国民一律10万円給付への変更もしかり。自治体に比べ現場を熟知しない政府に国民の声が届かなくなっているためとしか思えない。

 現状は感染拡大地域への緊急事態宣言再発令が急務ともいえるが、政府は4月に比べ重症者が少ないことを挙げ再発令には否定的だ。若者を中心とした感染が多いためだが、無症状者らが市中感染を広めている可能性も否定できず、さらには隣県、地方への感染も拡大しつつある。

 福井県内も2カ月半、感染ゼロが続いたが、今月に入って4人の感染が確認された。3人は東京滞在が感染源とみられるが、バス運転手は経路不明のままだ。今のところ二次感染はない。だが、県外観光客などの増加により、いつ、どこで感染拡大が起きてもおかしくない。

 西村康稔経済再生担当相は感染防止策が不十分なキャバクラなどの「特措法24条に基づく休業要請を検討すべきだ」としている。しかし、緊急事態宣言がないままでは知事の協力要請でしかない。知事側が補償や罰則の規定が必要と主張するのも当然だろう。

 菅義偉官房長官は休業要請と補償をセットにした特措法改正の必要性に言及している。だが「事態が収束した後にしっかり検証すべき課題だ」とも述べている。これでは今の感染再流行には対応できない。

 国も自治体も第1波を抑えるため、多額の財政出動を強いられ、第2波への余力は限られている。だからといって、手をこまねいていては全国的な感染急拡大を招きかねない。東京都など自治体と国の間の不協和音は早急に解消すべきであり、結束が欠かせない。





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