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老老介護(2020年7月22日配信『山陽新聞』-「滴一滴」)

 地元が舞台だけに楽しみにしていた人は多いに違いない。新型コロナウイルス感染拡大で、岡山市での上映が延びていた映画「精神0」をようやく見ることができた

▼2年前、82歳で第一線を退くことになった山本昌知医師を、ドキュメンタリーで知られる想田和弘監督が追った作品である。岡山市の精神科診療所で患者本位の医療を実践した山本さんを慕う人は多く、「どうかやめないで」との懇願が相次ぐ

▼だが、診察室では頼りになる医師も外へ出ると体の衰えが隠せない。しかも、長年支えてくれた妻が認知症を患っていたのだから無理もない

▼厚生労働省が先日公表した昨年の国民生活基礎調査の結果は「老老介護」の増加をあらためて示した。在宅での介護のうちで、ケアをする側もされる側も65歳以上の割合は59・7%と、過去最高となった

▼老老介護と聞けば、悲愴(ひそう)感も漂う。しかし、会話がかみ合わなくても妻をいたわる映画の中の山本さんは自然体で、やっと訪れた2人の時間をむしろ楽しむかのようなシーンもあった

▼患者さんとの出会いのなかで、理解し通じる部分が増えてきて、だんだん力が抜けてくる―。教育学者の大田尭さんと対談した著書「ひとなる」で語っていた。もともと通じた妻ならなおさら。スクリーンを通じ、これからの支え合いに希望が伝わるといい。



キャプチャ

解説
ドキュメンタリー監督の想田和弘が「こころの病」とともに生きる人々を捉えた「精神」の主人公の1人である精神科医・山本昌知に再びカメラを向け、第70回ベルリン国際映画祭フォーラム部門でエキュメニカル審査員賞を受賞したドキュメンタリー。様々な生きにくさを抱える人々が孤独を感じることなく地域で暮らす方法を長年にわたって模索し続けてきた山本医師が、82歳にして突然、引退することに。これまで彼を慕ってきた患者たちは、戸惑いを隠しきれない。一方、引退した山本を待っていたのは、妻・芳子さんと2人の新しい生活だった。精神医療に捧げた人生のその後を、深い慈しみと尊敬の念をもって描き出す。ナレーションやBGMを用いない、想田監督独自のドキュメンタリー手法でつくられた「観察映画」の第9弾( 映画.com)。

2020年製作/128分/G/日本・アメリカ合作
配給:東風

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Author:gogotamu2019
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