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養育費不払い 公的機関の積極的関与を(2020年7月22日配信『熊本日日新聞』-「社説」)

 離婚後に子どもの養育費が支払われない問題の解消に向け、国が具体的な支援制度の検討を始めた。欧米など先進国の多くには、養育費を払わない親の給与から強制徴収したり、銀行口座を差し押さえたりする制度があるが、日本にはない。子どもと離れて暮らす親が、子育ての経済的負担を放棄する逃げ得を許さない環境を整えるには、公的機関の積極的な関与が必要だろう。

 政府が1日、決定した「女性活躍加速のための重点方針2020」に、養育費不払い問題を解消するための法改正の検討や、養育費制度見直しに向け自治体と連携して調査研究などに取り組むことなどが盛り込まれた。

 県が2016~17年度にかけてまとめたひとり親家庭などに関する実態調査によると、県内のひとり親家庭の世帯数は2万2310世帯。このうち母子家庭は1万9098世帯と、父子家庭の3212世帯のほぼ6倍だった。母親の48・2%は、派遣社員やパートなどのいわゆる非正規雇用で、正規雇用は40・1%。年間の平均就労収入は188万円と、父親(320万円)の6割にも満たない。

 母子家庭がこうした厳しい経済環境に置かれている中で、養育費は、離婚という両親側に起因する事情で、子どもが進学や将来の夢を諦めなくて済むために必要不可欠なお金だ。

 だが県の実態調査では、養育費の取り決めをした母子家庭は対象の37・4%にとどまる。取り決めをしなかった理由は、「相手に払う意思等がない」が4割以上を占める。また実際に払わないケースも多く、養育費の取得率はわずか16・5%しかない。逃げ得がまかり通っているのが現状だ。前述した経済環境とともに、全国的にも同様の傾向がみられている。

 最高裁の司法研修所は昨年12月、離婚裁判で養育費を決める際に使われる算定表を16年ぶりに改定。全体として、月1~2万円の増額となった。今年4月には民事執行法が改正され、親権を持つ親は裁判所を通じ、養育費を支払う義務のある親から不動産や預貯金、給与に関する情報を得られるようになった。これまでは自力で調査しなければならず、一歩前進といえる。だが、その後の差し押さえなどの手続きのハードルは依然高く、公的機関の関与の必要性が指摘されている。

 兵庫県明石市は、14年から離婚や別居に伴う養育費や面会交流の支援に取り組んでいる。今月からは期間限定で、離婚相手から受け取れない養育費を、市が立て替え払いする事業を始めた。国の制度に先行する試みの波及効果に期待したい。

 ただ、養育費の不払い問題支援に公的機関が関与するにしても、離婚時の取り決めが制度の前提となるが、前述したように取り決め自体がなされていない例は少なくない。協議離婚成立の要件として取り決めを義務付けるなど、さらに踏み込んだ制度づくりの検討も必要だろう。




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