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子どもの貧困 コロナ禍でさらに深刻に(2020年7月21日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 子どもの7人に1人が貧困状態にある状況は変わっていない。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済の悪化が追い打ちとなり、さらに深刻さを増す懸念が膨らんでいる。場当たりでない抜本的な対策が必要だ。

 厚生労働省が公表した国民生活基礎調査で、2018年時点での子どもの貧困率は13・5%だった。中間的な所得額の半分に満たない所得の家庭で暮らす子どもの割合を示す。15年の13・9%よりわずかに下がり、改善傾向にはあるが、大きな変化はない。

 ひとり親の世帯の貧困率は初めて5割を切ったものの、48・1%となお高い水準にある。とりわけ厳しいのが母子世帯だ。働いて得た所得は平均で230万円余にとどまり、子どもがいる世帯全体の3分の1ほどだった。

 母子世帯の9割近くが「生活が苦しい」と答えている。パートやアルバイトといった非正規の不安定な雇用の下、低賃金で働かざるを得ず、子育てに追われながら、生活費や教育費のやり繰りに苦労している母親は多い。

 子どもの貧困対策推進法が14年に施行され、政府は対策大綱を定めて支援策を講じてきた。けれども、困窮するひとり親らの雇用や生活の安定を図る踏み込んだ施策を欠き、根本的な状況の改善にはつながっていない。

 コロナ禍による経済の停滞は、もともと生活の基盤が弱いひとり親の世帯に深刻な打撃を与え、子どもの貧困の背景にある社会のひずみをあぶり出した。支援団体による4月の調査では、母子家庭の5割余が収入が減るか無収入に追い込まれていたという。食事を満足にとれない家庭もあった。

 政府は、児童扶養手当を受給するひとり親世帯への臨時給付を決めたものの、5万円が基本とわずかな上、支給は8月以降になる見通しだ。無利子で生活費を貸し出す緊急小口資金もあるが、収入が少ないひとり親に返済の負担は重い。何より、一時的な支援だけでは貧困の解決にならない。

 子ども食堂のほか、学習支援や居場所づくりに取り組んできた市民団体もコロナで活動を制約された上、資金不足で苦境に陥っているところが多い。困窮する家庭を支える活動が細り、子どもと親が取り残されかねない状況だ。

 子どもがのびのびと育ち、学ぶことを社会全体で支える仕組みをどうつくっていくか。政府は、貧困の根幹にある雇用の問題にこそ目を向け、対策のあり方を見直さなければならない。




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Author:gogotamu2019
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