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コロナ特措法 力で押さえつけるのか(2020年7月21日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 菅義偉官房長官が、新型コロナ特別措置法の改定に言及した。

 国と地方の権限を強化し、休業要請に伴う補償を特措法に明記するという。全国知事会も、要請に従わない際の罰則を規定するよう提言している。

 機動的な感染抑止策が求められるとはいえ、罰則のような権限強化が必要だろうか。

 一律10万円の給付金、持続化給付金、家賃補助などの支給は、補正予算の成立を待たなければならなかった。自治体が独自に設けた「休業協力金」にも、財政力による差が生じている。

 補償の法制化で速やかな支給が可能になり、金額は公平になるかもしれない。一方、現状でも、本当に窮している人たちに支援が行き渡らずにいる。弾力性を失えば本末転倒になろう。

 57兆円に上る二度の補正予算は全て借金で賄った。いつまでも財政規律を度外視した支出を続けられない。今後の財源をどう確保し膨大な借金を返すのか。具体化へ早急に着手しなければ、補償の法制化も説得力を欠く。

 現行の特措法では、政府が緊急事態を宣言した後、対象地域の都道府県知事が休業を要請できることになっている。対象の業種は国と協議して決める。

 安倍晋三首相は4月中旬、根拠が曖昧なまま宣言の範囲を全国に拡大した。各県の知事が休業を要請、感染が見られない地域の事業者も対象に含まれた。

 市町村と協力し、知事が休業要請の時宜、対象の地域や業種を判断できれば、医療資源と財源を効果的に使えるだろう。地方の裁量を広げる趣旨は理解できる。

 ただでさえ特措法は、往来の自由といった権利を制限する事実上の強制力を持つ。罰則は、補償をアメにしてムチで事業者や個人を従わせるも同然で、要請を超えた行政権限の強化といえる。

 東京都で感染者が急増し、全国の都市でも増え始めている。都は「夜の街」を要因に挙げつつも、十分な対策を講じていない。政府に至っては、経済活動の再開に前のめりになっている。

 菅官房長官は、全国の夜の街で警察による立ち入り検査を実施し「根源を一つ一つつぶしていきたい」と述べている。

 感染状況と対応を詳しく説明し検査と医療体制を整えて、不安を和らげる―。役割を果たさずにいて、力で従わせる姿勢は容認できない。特措法を生かし切れず、迷走しているのは政府だ。国民に責任を転嫁してはならない。




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