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政府が実力行使 歌舞伎町「ホストクラブ潰し」に批判噴出(2020年7月22日『日刊ゲンダイ』)

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警察の立ち入り検査で感染拡大を防げるのか

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店舗を回り感染対策の協力を呼び掛けた吉住新宿区長

 新型コロナの震源地となっている新宿・歌舞伎町。ついに安倍政権は、警察権力を使って「ホストクラブ」潰しに動こうとしている。はたしてホストクラブは一掃されるのか。新型コロナの感染拡大をストップできるのか。さすがに、警察を使っての実力行使には批判が噴出している。

「ホストクラブやキャバクラが(感染の)根源になっていることは明らかになっている」

 菅義偉官房長官は20日の記者会見でこう明言し、風営法に基づき、警察官が「夜の街」関連の店に立ち入り検査ができるという見解を示した。いざとなったら、感染の根源となっているホストクラブやキャバクラに警察が立ち入ると宣言した形だ。

 緊急事態宣言の全面解除後に確認された東京都の感染者のうち、約3割が「夜の街」関連で、その7割以上が新宿区で発生している。そこで都と区、警視庁の職員、ホストクラブの事業者は20日と21日、新宿・歌舞伎町のホストクラブやキャバクラを約300店舗回り、感染防止強化のキャンペーンを実施。それに先駆け、大阪府警や北海道警はすでに17日夜、ホストクラブやキャバクラに立ち入り調査をしている。

 現時点ではあくまで主体は自治体で、警察官は職員と店側のトラブルを防ぐための補完的な役割だ。しかしこの先、歌舞伎町の感染拡大が加速したら、菅官房長官が話した通り、警察が風営法に基づいて片っ端からホストクラブに立ち入る可能性は十分あり得る。

全国各地の歓楽街で警察官が目を光らせる
 警視庁による歌舞伎町の立ち入り調査は、どれぐらいの効果を発揮するのか。歌舞伎町商店街振興組合の担当者はこう言う。

「立ち入りが可能になれば、7割近くある違法営業店を撲滅できます。一番、多いのは営業時間を守っていないケースです。終夜営業している店がかなりあります。警察の立ち入りは抑止力にもなり、法律を守れない店は閉店するしかありません。背後にいる反社会的勢力を排除することもできます。健全化し、治安はかなり改善するとみています」

 しかしそれで感染拡大を防げるかは疑問だ。歌舞伎町には約240店舗のホストクラブがあり、休業要請中も約3割が看板の電気を消すなどして闇営業を続けていたという。太客相手に個人営業をしたり、地方に出稼ぎに行っていたホストもいた。歌舞伎町で仕事がしづらくなれば、六本木や池袋の店に移籍するホストも出てくるはずだ。そもそも警察権力を使っていいのかどうか――。

ジャーナリストの青木理氏は「警察の立ち入り検査で感染拡大を防げるのか疑問」とこう続ける。

「法令を拡大解釈して難癖をつければ営業停止にできるのかもしれませんが、そんなものが感染対策に効果的とは思えず、そもそも限りなく違法に近い行為。本来なら再び緊急事態宣言を出して営業自粛要請を出すのが筋でしょう。政権がそれをしないのは経済を回したいから。ならば徹底的に検査をして陽性者を把握し、きちんと隔離して陽性じゃなかった人たちで地道に経済を回していくしかない。なのに検査体制すら一向に拡充できない政権が警察権力を盾に脅しをかけるのはバカげています」

 政府はコロナのどさくさに紛れて、警察に強権力を持たせるつもりなのか。



西田亮介×堀潤 「夜の街」と大きな主語が不安を煽った コロナ禍の情報発信の課題(2020年7月22日配信『AERA.com』)

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西田亮介(にしだ・りょうすけ、左):1983年、京都生まれ。専門は社会学。博士(政策・メディア)。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。7月、『コロナ危機の社会学 感染したのはウイルスか、不安か』(朝日新聞出版、税込1650円)を上梓した

堀潤(ほり・じゅん):1977年、兵庫県生まれ。2013年にNHKを退局。現在は、ジャーナリスト・キャスター・映画監督として独自の取材や報道・情報番組に出演、多岐にわたり活動している

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『コロナ危機の社会学 感染したのはウイルスか、不安か』西田亮介著

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 新型コロナウイルスの感染拡大は私たちにどんな影響を与えたのか。社会学者の西田亮介さんとジャーナリストの堀潤さんが、不安に突き動かされたコミュニケーションの危険性について語った。AERA 2020年7月27日号から。

*  *  *
西田:人々が不安を感じるのはどのようなときでしょうか。僕は政府の発表やメディアの報道が、「自分たちの認識と必ずしも合致していない」と思える状況に尽きると考えています。今回でいえば、三つの課題をあげられます。ひとつ目は、政府がどんな方針で感染症に立ち向かおうとしているかを世の中にうまく提示できていません。ブレーキとアクセルを同時に踏んでいるようです。

堀:経済と命をどう両立させていくのか、方向性が見えません。

西田:もうひとつ、メディアにも課題がある。政府省庁の発表報道を現在進行形で流すばかりで、補足情報や過去の振り返りをせず、独自の議題設定も読売新聞の提案などごく限定的です。

 三つ目は、政府や省庁が世の中に耳を傾けすぎていて、合理性や効果より世論に迎合する形で政策を決めているのではないかという点──、これを僕は新著『コロナ危機の社会学 感染したのはウイルスか、不安か』で「耳を傾けすぎる政府」と呼びました。この3点が、次のコロナ対策のボトルネックになっていると考えています。

堀:1点目でいうと、「夜の街」に代表されるように政府や自治体の表現は大くくりで、かつ大きな仮想敵をつくって耳目を集めようとしている感じがありますね。メディアもそのまま「夜の街は……」と流す。大きな主語は不安を煽り、受け手は強い権力を求めるように傾きがちです。だから、メディアはむしろ、政府や自治体の首長からの発表にはない、個別具体的なケースを丁寧に取り上げていく必要があります。新型コロナウイルスについて報道する際、僕自身が生かしたのは2009年の新型インフルエンザの取材経験です。

西田:当時、現地で取材されていたんですね。驚きました。

堀:日本で最初の発症事例は、警戒していた空港などの水際ではなく、海外渡航歴のない高校生でした。NHKのリポーターだった僕は、初期症状が想定より軽いからこんな事態になったのではと考え、発症者の父親に取材したんです。案の定、熱は37度前後で食欲もあり、風邪と変わらないと思っていたことがわかりました。

 そのため、今回も初期症状を明らかにすることを目指しましたし、新型インフルエンザ以降の、感染症への取り組みを振り返るよう呼びかけました。

西田:堀さんならではの視点ですね。新型インフルエンザと新型コロナの対処方針と対策がよく似ている点などを、全国での感染蔓延当時、思い起こさせてくれるメディアはほとんどなかったという印象です。学校休業も自粛の要請も、実は09年に実施されていますが、さも新しくて初めてのことかのように語られました。当時と今回のコロナ禍が比較されれば、受け手も納得しやすかったように思います。

堀:納得について言うと、政府や自治体、首長に対する国民の不信感が根底にありますよね。11年の原発事故以来、国が「安全です」と発表しても、額面通りに受け取れなくなった。今回も「発表された感染者数は実際とは違って、自分たちはだまされている」と思ってしまう不幸な構図ができました。

 テレビを見ていると、PCR検査の体制や緊急事態宣言の判断は妥当か否か、といった議論ばかり。メディアも大きな主語で不安の醸成に終始していた。

西田:こうした状況下でのリスクコミュニケーションやクライシスコミュニケーションの必要性は、新型インフルエンザの流行に関する政府総括ですでに指摘されています。さらに今回、WHOが1月の終わりから「SNSを中心としたリスクコミュニケーション、クライシスコミュニケーションに配慮しなければならない」と警鐘を鳴らしていた。にもかかわらず、日本では十分に配慮されないまま、SNSはあと回しにされました。テレビと新聞を中心にした従来同様の広報やコミュニケーションが行われたという印象が拭えないですね。

(構成/ライター・三浦ゆえ)

※AERA 2020年7月27日号より抜粋








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