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【コロナ法改正】私権制限が強まらないか(2020年7月23日配信『高知新聞』-「社説」)

 政府は新型コロナウイルス特別措置法改正に向けた検討に入った。

 菅義偉官房長官は国と地方自治体の法的権限を強化するとともに、休業要請と補償はセットで実施すべきだとの考えを表明した。

 特措法を巡っては、強制力がないことを問題視する意見がある。全国知事会も休業要請に従わない事業者への罰則規定を求めている。

 感染防止の実効性を高めることは大切だが、罰則を伴う権限強化が必要か。慎重な議論が要る。

 具体的にどんな権限を強化するのか。現在、論点整理が行われており分からない部分もある。全国知事会は国への緊急提言で、保健所の積極的疫学調査や事業者への休業要請の実効性を担保する罰則規定を挙げている。

 知事は地域の実情に応じて、多様な感染抑止策を機動的に取ることが求められる。PCR検査の推進などのために裁量権の拡大、強化が有効なケースはあるだろう。

 一方で過度な私権制限につながりかねない権限強化や罰則には、慎重な意見も根強い。

 日本では海外の都市封鎖のような強制力によらず、休業や外出自粛の要請に多くの国民が協力する形で感染抑止に取り組んできた。安倍晋三首相も「日本モデル」の成功を強調してきた。

 菅官房長官は風営法に基づき、ホストクラブなど接待を伴う飲食店への立ち入り検査も進める意向だ。「警察が足を踏み入れる形で厳しくやっていく」という。強制力による抑止策に転換するというのなら、丁寧な説明が求められよう。

 各種の世論調査ではコロナ特措法を改正し強制力を持たせることなどに、前向きな意見が増える傾向もみられる。

 先の見えないコロナ禍。権利を擁護されるはずの国民が、私権制限を進んで受け入れようとする心理は非常事態に特有のものかもしれない。とはいえ、「多くの犠牲を払って手に入れた自由や権利を、簡単に手放してはいけない」と指摘する専門家も少なくない。

 罰則や権限強化は本当に必要か。権限が適正に行使されているかどうか、チェックする仕組みはあるか。課題は多く、拙速は許されない。

 休業要請に応じた事業者らに対する補償措置については、安倍政権は一貫して後ろ向きだった。自治体が自ら協力金を支払って休業要請するケースが相次いだほか、国の臨時交付金を協力金に充てることも、自治体側の要望でようやく実現した経緯がある。

 その意味で今回打ち出された休業要請と補償のセット化も、大きな方針転換と言えよう。

 菅官房長官は「感染症全体に対しての基本的方針は国が示すべきだ。責任は政府にある」とも述べている。その責任を具体化する補償措置を法制化するのは当然だろう。財源をどうするかを含めて、制度設計をしっかり行う必要がある。




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Author:gogotamu2019
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