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警察による「夜の街」立入検査は違法だ! 安倍政権と小池都知事が「夜の街」叩きでごまかしているうちに医療と保健所が崩壊寸前(2020年7月24日配信『リテラ)

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左・菅官房長官(首相官邸HP)/右・小池百合子オフィシャルサイト

 昨日24日、国内の新規感染者が981人と過去最多を更新し、なかでも東京都では366人と初の300人超えを記録した。全国の都市部を中心に市中感染が広がっていることはもちろん、高齢者の感染も増えてきており、今後、重症者が増加していくことが予想される。

 医療体制の整備や感染防止対策を放り出して経済活動を優先させた結果、最悪の事態に向け拡大している感染状況──。しかし、安倍政権や小池百合子都知事は、自分たちの失策を棚に上げて、この期に及んでも「夜の街」叩きで国民の目を欺こうとしている。

 というのも、東京都は本日24日から警視庁と連携し、「夜の街」へ立ち入り検査をおこなうというのである。

 警察を動員した立ち入り検査について口火を切ったのは、菅義偉官房長官だ。菅官房長官は19日に出演した『日曜報道THE PRIME』(フジテレビ)で、「コロナの根源がどこにあるかがわかってきた」などと言い、「ホストクラブやキャバクラには風営法で立ち入りできる。思い切ってやっていく必要がある」と発言。そして、小池都知事も22日、斉藤実警視総監と面会した後の会見で、「警視庁と都庁が連携し、風ぞく営業の店に対して感染予防策の徹底を図る」と宣言したのである。

 前述したように、昨日東京都では新規感染者数が300人をはじめて超えたが、昨日の感染者数には「夜の街」の集団検査の影響はなかったと小池都知事自身が明言している。しかも、新規感染者の感染経路がわかっている人のうち「夜の街」関連が47人だったのに対し、家庭内感染が34人、会食が23人、職場内が14人、施設内が11人と、「夜の街」以外のほうが数字は大きくなっている。そもそも、感染経路不明者は225人と全体の約6割にものぼっているのだ。

 にもかかわらず、いまだに菅官房長官は「夜の街」を「コロナの根源」などと呼び、小池都知事も歩調を合わせ「夜の街」への立ち入り検査を実行することで“しっかり対策を打っている”という演出をしようというのである。

 しかも、菅官房長官が言い出した立ち入り検査の最大の問題は、警察が立ち入ることに法的根拠がまったくない、ということだ。

 菅官房長官は「ホストクラブやキャバクラには風営法で立ち入りできる」などと言い張っているが、これはとんでもない大嘘。警察は風ぞく店やホストクラブ、キャバクラなどを指導・監督する立場にはあるが、それは風営法の第一条が定める「善良の風ぞくと清浄な風ぞく環境の保持」「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止」が目的であって、感染症対策はそこに含まれていないからだ。

 さらに、警視庁が公開している風営法の「解釈運用基準」には、〈立入り等の限界〉として、こう定めている。

〈立入り等の行使は、法の施行に必要な限度で行い得るものであり、行政上の 指導、監督のため必要な場合に、法の目的の範囲内で必要最小限度で行わなければならない。したがって、犯罪捜査の目的や他の行政目的のために行うことはできない。例えば、経営状態の把握のために会計帳簿や経理書類等の提出を求めたり、保健衛生上の見地から調理場の検査を行うこと等は、認められない。〉

東京都モニタリング会議の専門家は「国のリーダーが『都の医療は逼迫していない』というのは誤り」と批判

 このように、保健衛生を目的に調理場の検査をおこなうことができないとわざわざ言及していることからもわかるとおり、風営法では感染症対策を目的に立ち入り検査をおこなうことは認められていないのだ。

 しかも、この「解釈運用基準」では、はっきりと以下のように明記されている。

〈立入り等の行使に当たっては、いやしくも職権を濫用し、又は正当に営業している者に対して無用な負担をかけるようなことがあってはならない。〉
〈職権を濫用し、又は正当に営業している者に対して無用な負担をかけるようなことがあってはならない。〉

 つまり、菅官房長官の「風営法で立ち入りできる」という発言は法的根拠がまったくないばかりか、「職権の濫用」だとして固く禁じられている行為なのだ。

 権力を濫用し、警察官に立ち入り検査させることで「夜の街」に攻撃が向かうよう扇動しようとは卑劣としか言いようがないが、安倍政権は、こうして「夜の街」をスケープゴートにすることで、自分たちの無策によって引き起こされている“最悪の事実” を覆い隠そうとしているのだ。

 その“最悪の事実”というのは、言うまでもなく逼迫する医療体制だ。

 安倍首相は21日の自民党役員会で「医療提供体制は逼迫しておらず緊急事態宣言を発する状況ではない」と断言したが、これに対し、東京都モニタリング会議の専門家メンバーである山口芳裕・杏林大学教授は「国のリーダーが『都の医療は逼迫していない』というのは誤り」だと批判。実際、23日放送『news23』(TBS)では、連休初日の昨日の段階で東京では、医療機関で「休日で看護師が少ない」「担当医がいない」「すでに2件受け入れたから他を当たってほしい」などという理由による患者の受け入れ拒否が起こっているとし、都の関係者も「この連休中に陽性患者の入院先がどこも見つからない状況になるのではないか」とコメントしている。

 この現実ひとつとっても、3・4月に数々起こった悲劇に対して政府と東京都には何の反省も教訓もないことがはっきりとわかるが、いまのような感染再拡大を招いている原因も同じで、何の対策も打ってこなかった結果なのだ。

追跡調査にトレーサー3000人を新たに雇用したニューヨーク、日本はいまも保健所の増員追いつかず

 それは他国の例と比較すれば一目瞭然だ。たとえばアメリカは、連日5〜7万人の新規感染者が出ているが、そんななか、一時は感染拡大地だったニューヨーク州ニューヨーク市では、22日には死者がついにゼロとなり、感染者数も10人前後に抑え込んでいる。そして、その背景には、徹底した検査と追跡、隔離がある。

 実際、ニューヨーク州では、市民への無料検査を実施し、その可能検査数は1日最大約7万件以上にものぼる。しかも、希望すれば何度でも無料で再検査が受けられる上、美容師などの感染リスクの高い職種にかんしては定期的な検査が義務付けられているという。

 しかも、ニューヨーク州では、大規模な検査と同時に濃厚接触者の追跡(トレーシング)にも力を入れ、この追跡をおこなうための「トレーサー」を3000人も投入。このトレーサーという仕事について取り上げた本日放送『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)によると、「特別な知識がなくても一般的な社会常識があればなれるもの」。現在、このトレーサーを目指す人がアメリカでは増えており、どんどん増やしていく方針だという。

 かたや日本では、保健所のパンクがあれだけ叫ばれたというのに、いまだに保健師やサポート要員の増員は追いついていない。安倍首相は日本のクラスター対策について「日本モデルの力を示した」などと誇っていたが、保健所は受診相談や入院先の手配などの業務に追われて追跡がまったく追いつかなかったのが実情。そしてすでに東京では同じことがおこりつつあるが、トレーサーのような追跡調査員を養成・配置しようという動きは見られない。

 保健所や医療現場が逼迫しても抜本的な対策を打たず、新規感染者数が過去最多を更新しても見て見ぬふりをする一方で、権力を濫用して「夜の街」叩きに勤しむ──。これで感染爆発を抑え込めるわけがないのは、当然のことだろう。

(水井多賀子)




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