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在日米軍の感染 情報を共有し拡大防止を(2020年7月25日配信『山陽新聞』-「社説」)

 沖縄県などの在日米軍基地で、新型コロナウイルスの感染拡大が問題化している。日米地位協定の壁に阻まれて詳しい状況がつかめず、住民の不安は募るばかりだ。米軍は防疫に努めるのはもちろん、地元自治体などと情報を共有し、“見えぬ脅威”に対処しなければならない。

 在沖縄米軍関係の感染者は、普天間飛行場やキャンプ・ハンセンを中心に23日時点で160人を上回った。4日の米国独立記念日前後に基地内外で開かれたパーティーが、感染を広げた可能性が高いと指摘される。

 感染者は、三沢基地(青森県)など他の基地でも確認されている。岩国基地(山口県)関連では関係者3人が米国から羽田空港に入国した際、「レンタカーで移動する」と申告。にもかかわらず、検査で陽性が判明する前に民間機で岩国まで移動していたというからあきれ果てる。

 世界で感染拡大が深刻化する中で、危機感や他人への配慮を欠く行動で言語道断だ。基地内で働く日本人や一般市民への影響が心配される。

 基地内の感染状況や米軍の対策が気になるが、見えてこない。立ちはだかるのが、米兵や軍属に特権を与える日米地位協定の存在である。

 米国の感染者数は世界最多で、日本は入国を原則拒否している。だが、米兵らは日米地位協定によって対象外の扱いだ。基地内の飛行場に直接到着するケースも多く、出入国の実態は分からない。その際の検疫は米軍に委ねられ、無症状者にはPCR検査は行われていなかったという。これでは、日本が重視する水際対策は意味をなさない。

 米軍から地元自治体に対して、拡大防止対策に必要な情報が十分提供されていない点も大きな問題である。

 日米間には、感染症に関して当局者間の情報共有などを定めた日米合同委員会合意がある。だが、今年3月に米国防総省が「運用上の懸念」を理由に、基地や部隊ごとの感染者数を明かさない指針を出したためだ。

 沖縄県の強い要請で感染者数の公表は認められたが、感染者の行動履歴や居住地などの情報は一部にとどまる。これでは濃厚接触者の追跡調査などができず、実効ある対策に結びつかない。

 こうした中で、米軍基地を抱える自治体や住民の批判の高まりを受け、米軍側に改善の兆しも見えつつある。

 米軍は各基地の感染者数について、会員制交流サイト(SNS)などによって発信する。また、河野太郎防衛相が米側に求めていた在日米軍基地に入国する米軍関係者全員に対するPCR検査の実施についても、沖縄の嘉手納基地で始まったという。実施状況を注視したい。

 コロナ禍は生命や健康にかかわる難題だ。日米が連携を強めて事態を乗り越えるためにも、問題をはらむ日米地位協定の見直しが必要だ。




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Author:gogotamu2019
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