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松尾貴史のちょっと違和感 ;間の悪いGoToトラベル ドタバタは何のコメディーなのか(2020年7月26日配信『毎日新聞』)

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松尾貴史さん作

 安倍政権の優先順位の過ちは飽きるほどに見せつけられてきたが、よくこれほどバラエティーに富んだ愚かしさを露呈できるものだと悪い意味で感心させられる。大混乱を招き、不公平感をばらまき、7月22日にスタートした「観光需要喚起策」のキャンペーンは「Go Toトラベルじゃなくて、Go Toトラブルだ」と軽口をたたかれている。

 「週刊文春」によると、この事業を1895億円で受託した「ツーリズム産業共同提案体」に属する観光関連の14団体などから、自民党幹事長の二階俊博氏ら自民党の37人の議員に対し、4200万円、またはそれ以上の献金が行われていたという。

 その二階氏は全国旅行業協会の会長で、同時に自民党の「観光立国調査会」の最高顧問でもある。その彼が命令に近い形で新型コロナウイルスの感染者が増え続ける最中に「Go To」を前倒しにしてしまったという。

 学校の遠足も修学旅行も中止になり、しかし「皆さん旅行に出かけましょう」とけしかける。子供たちにどう説明するのか。今回もまた、火事場泥棒的利権優先の「芸風」が発揮された印象だ。

 「Go Toトラベル」が始まることについて、安倍晋三氏は記者会見も開かず、おなじみの首相番記者ばかりがぶら下がるスタイルで、「3密を避けるなど、感染予防を徹底していただく」「慎重に経済活動を再開していく方針に変わりはない」「専門家の皆さまのご意見もいただきながら適切に判断」と話したが、この時期に前倒しして旅行させるキャンペーンを始めたのは、どの専門家の「ご意見」を参考にして「適切に判断」したのだろうか。

 この首相は、困難な局面になると、記者会見を開かない傾向がある。深刻な状況下で早々と国会を閉じてしまう。自宅から官邸へほんの短時間顔を出しては帰るだけで、動きも意志も見えない。大手メディアの世論調査では、こんな人物をまだ3割も支持しているという理解不能の数字が出ているが、皆さん、気は確かか。

 一部野党の追及で「Go Toトラベル」事業が8月になる見込みだったのが、感染症が増大し始めたのに国土交通相が「7月22日からの前倒し実施」を発表した。不安の声が広がると、数日で「東京だけ除外」と言い出す。多くのキャンセルが発生したが「キャンセル料は補償しない」。そして批判が強まると「キャンセル料を補償する」という。このドタバタは一体何のコメディーなのか。その補償は国民の税金であって、安倍氏のポケットマネーでも自民党の政党交付金でもない。

 キャンセルの大量発生などで混乱を招いて、社会不安を募らせるだけの、天下の愚策、失政ではないか。国交省の幹部は「これほどの逆風が吹くとは思わなかった」などと言っているそうだが、容易に想像がつかないのか。

 間の悪いキャンペーンを張る暇と予算があるなら、観光業者に直接給付して休業などの対応を取ってもらう方が感染拡大を防げるのに、なぜそうしないのか理解に苦しむ。そして、日本全体が疲弊している今こそ、消費税を減免することが最も効果的な救済になることは間違いない。しかし、首相とその周辺は、そんなことを考えようともしないようだ。

 こんな中、安倍氏はこの4連休に合わせて、山梨の別荘に行こうとしていたという。恒例の滞在とゴルフを楽しもうと考えていたのだろうけれども、結局断念したようだ。この状況下で東京都から他県に出かけ、休暇を楽しみ、ゴルフに興じれば、国民からどれほどの批判が湧き起こるか、少しは想像できたのかもしれない。もちろん、側近が「おたわむれを!」と必死で止めた可能性はゼロではないが。(放送タレント、イラストも)




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