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介護の危機(2020年7月26日配信『北海道新聞』-「卓上四季」)

 哲学者の岸見一郎さんは、認知症の父の介護を通して考えた。「親が過去を忘れるのは私的な世界へと待避するから。親を引き戻すのではなく、家族が親の世界へ入っていくしかない」と著書「老いた親を愛せますか?」に記した

▼わが子を他人と思ったり、家にいるのに「帰る」と言ったり。別人のような親を介護する辛(つら)さは名状しがたい。じっと耐えている家族が全国にどれほどいることか。そこに、新型コロナの試練が加わった

▼集団感染のリスクや人手不足から、やむなく利用を制限する通所施設が増えている。利用者は家にこもりがちになり、ストレスから認知症状が進む。厚生労働省は先月、施設を支援するためサービスの報酬を引き上げる特例を決めた

▼ところが、この措置が混乱を招いている。追加分の報酬を利用料金に上乗せしていいことにしたためだ。「3時間しか利用していないのに、5時間分の利用料を払わされる」といった不満が噴出した

▼同意しない利用者もいて公平性が保たれない。気がねして追加料を取らない施設もある。京都市に本部がある「認知症の人と家族の会」の鈴木森夫代表理事は「20年前に介護保険制度ができて以来最大の危機」と訴える

▼ここは国が財政出動すべきだ。10兆円の予備費だってある。休業した事業者には給付金が届くのに、介護家庭は置き去りなのか。そんなつぶやきが聞こえてくる。



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著者について
1956年、京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋古代哲学史専攻)。現在、明治東洋医学院専門学校教員養成学科、柔整学科(教育心理学、臨床心理学)、京都聖カタリナ高等学校看護専攻科(心理学)非常勤講師。日本アドラー心理学会認定カウンセラー、日本アドラー心理学会顧問。著書に『アドラー心理学入門』(KKベストセラーズ)、『アドラー 人生を生き抜く心理学』(NHK出版)、『生きづらさからの脱却 アドラーに学ぶ』(筑摩書房)などがある。共著『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)は70万部のベストセラーに。
内容(「BOOK」データベースより)
私たちにとって幸福とは何か?動けなくなり、意識をなくしてしまった時に、なお生きる意味を見出すことができるのだろうか?ベストセラー『嫌われる勇気』・アドラー心理学の第一人者が、ありのままの家族の関係を提言。

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gogotamu2019

Author:gogotamu2019
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