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「尊厳死議論の前に本質理解を」 ALS患者で「FC岐阜」運営会社元社長が訴え(2020年7月27日配信『毎日新聞』)

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事件を受けて開設した相談窓口の連絡先を紹介する恩田聖敬さん=恩田さんのツイッターより

 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者が薬物投与で殺害されたとされる事件で、患者と面識がなかった医師2人が嘱託殺人の疑いで逮捕された。女性は安楽死を望んでいた形跡があり、金銭の授受も明らかになっている。安楽死や尊厳死を巡っては法整備の議論を求める声もあるが、ALS患者は「まずは病気や障害者の本質を理解してほしい」と、拙速な議論に警鐘を鳴らす。

 サッカーのFC岐阜を運営する「岐阜フットボールクラブ」元社長の恩田聖敬(さとし)さん(42)=岐阜市=は、2014年4月の社長就任直後にALSと診断された。しばらく公表せずチームの知名度アップに尽力し、観客動員数を大幅に増やした。ただ症状の進行は待ってくれない。最初は握力が衰え始めた。発症から1年半後には車いすの生活を強いられ、15年末に退任した。

 恩田さんは事件後に自身のブログを更新。ALSの患者の間で「安楽死の肯定派と否定派がいる」とした上で、事件で亡くなった女性について「ALSでも幸せだと言っている患者がいることをどれだけ知っていたのだろうか。全国には私以上にアクティブな患者さんもいる」と記した。人工呼吸器をつけて寝たきりだが、退任後の現在もパソコンの音声ソフトを使って講演や執筆を手掛ける「まんまる笑店」の社長として活動を続け、東京五輪の聖火ランナーにも選ばれた。

生きるか死ぬか「二者択一ではない」
 事件では、逮捕された医師がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて女性に接触したことが明らかになった。「SNSは凶器にもなるし、防具にもなる」。恩田さんは「先輩患者からたくさんの防具を受け取り、大勢の方々に支えられて今の生活基盤を整えた」とし、「安楽死の是非の議論ではなく、まずはALSという病気の本質、障害者の本質を理解してほしい」と求めた。

 「生き地獄を味わいながら生き続けるか、生き地獄から解放されるために死ぬか?」。ALS患者の境遇について、恩田さんは「二者択一ではない」と強調し、二つの選択肢から選ばず、常に改善を模索したいと訴える。「我々はALSの本質を理解する医師や介護者の熱意によって普通に生きている。この少数が多数派になれば、二者択一の考え方は自然と消えると思う」と重ねた。

 安楽死や尊厳死の法整備の動きについては、毎日新聞の取材に「いじめや鬱で死にたいという人に、死なせてあげればという意見はなく、相談窓口などで全力で生きる方向へ導く」と指摘。「ALSは、適切な介助者たちがいれば普通に生きられる病気だ」と答えた。法整備されれば、「解決策を考えることなく『じゃあ死にましょう』ということを法的に認めることになる」と危惧している。

 恩田さんは、ALS患者からの相談窓口(onda0510@icloud.com)を開設。「あなたは、ひとりじゃない!」と呼び掛けている。動画投稿サイト「ユーチューブ」(https://www.youtube.com/watch?v=ebic4uEEoCs&feature=youtu.be)でも、「きっと、どんな重度障害者でも『自分らしく生きたい』と思っている」などと訴えている。




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