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[STOP ネット暴力]人事課長投稿「なめるなよ」「露骨にエコ贔屓する」…内定者自殺(2020年7月27日配信『読売新聞』)

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人事担当課長は、SNS交流サイトに「なめるなよ、54のおっさんを!」などと書き込んでいた=遺族代理人提供。下線は代理人による

 昨年、東京都内の会社に就職が内定していた男子大学生(当時22歳)が、入社直前に自ら命を絶った。この会社では、内定者全員をSNS交流サイトに登録させ、人事担当課長は頻繁にサイトに接続するよう求めた。サイト内で課長から個人攻撃ともとれる書き込みを受けた男子大学生。遺族側は「強い優劣関係の下で、SNSを使ったパワハラが行われた」として企業側に謝罪や損害賠償などを求めている。(上野綾香)

交流サイト 学生自殺

 男子大学生は2018年5月、パナソニックの子会社「パナソニック産機システムズ」(東京)の内定を得た。同社はこの学生を含めて20人に内定を出し、全員を会員制のSNS交流サイトに登録させた。

 同サイトは投稿内容から学生らの意欲がわかり、内定の辞退者を早期発見する機能を売りにしていた。20人が数多くの課題図書の感想などを書き込むよう求められる一方で、人事担当課長も様々な発言を投稿。遺族側が開示した同サイト上のやりとりによると、18年7月には課長の高圧的な投稿がみられる。

 <誰がいつサイトに入っているかは人事側で見えています><それはそのまま配属の時の、僕たちの手元情報にもなります><入社してからギブアップされると、とっても迷惑です>

 人事権をちらつかせながら、男子大学生らを心理的に拘束していった。

          ◎

 8月、課長の投稿はさらにエスカレートする。

 <死に物狂いで踏ん張って、後は死ぬぐらいしかやることないなぁというところまで追い込んでみて下さい><入社したら、僕は遠慮が無くなりますよ。邪魔だと思ったら、全力で排除に掛かりますから>

 男子大学生には同様のメールも直接送信。11月にはサイトで<やる気がない、やる自信がないなら、早目に辞退して下さい>と内定辞退まで促していた。

 追い打ちをかけたのは、男子大学生が海外旅行から戻った直後の19年2月上旬の、個人攻撃ともとれる課長の投稿とみられる。

 <サイトやってないような奴やつは、丸坊主にでもして、反省を示すか?><僕は徹底して、露骨にエコ贔屓ひいきするからね。なめるなよ、54のおっさんを!><海外行くなら、行く前に断れよ><空気、読めてるか?>

 「きつい」「死にたい」――。男子大学生は友人にこう漏らし、課長の投稿から約2週間後の深夜、ビル屋上から飛び降りた。

          ◎

 「行きすぎた指導があった」。パナソニック産機システムズの担当者は課長の不適切な行為を認め、「サイトという見えづらい世界の中で課長の教育方針を監督できなかった」と釈明する。同社は男子大学生が亡くなった直後にサイトの利用をやめ、内定者向けの相談窓口を社内に設置して対応している。

 遺族の代理人を務める川人博弁護士は「人事担当者と内定者の間には、通常の上司と部下の関係よりも強い優劣関係が存在する。立場の弱い学生が入社前なのに監視され、事実上の研修の前倒しとなっていることは大きな問題だ」と指摘。「男子大学生はSNSを通じて執拗しつようなパワハラを受け、精神疾患を発病した可能性が高い」と推測する。

 両親は「息子は常時サイトへの接続を強いられていた。追い詰めた課長や会社を一生許すことができません」とコメント。同社側に謝罪や再発防止策の実施、損害賠償を求めて交渉している。

「辞退者の8割発見」 サイト販売会社 過去に記載
 「辞退予備群発見機能」「辞退者のうち、80%以上を発見できます」――。

 パナソニック産機システムズが導入していたSNS交流サイトの販売会社(東京)は、こうしたうたい文句をホームページ(HP)に記載してPRしていた。記載は現在、HPから消えている。

 同社は今月21日、「ハラスメント行為をはじめとした行き過ぎた指導が行われないよう、(利用企業への)注意喚起に努める」とコメントした。

 新型コロナウイルスの感染拡大前までは、学生にとって有利な「売り手市場」が続いていたこともあり、同様のサイトは他にもある。企業側が学生の囲い込みを強めていることが背景にあり、あるサイト販売会社の担当者は「『既読』にならない学生を見つけ、電話で状況を把握するのに便利だ」と明かす。

 採用コンサルタントの高田晃一さんは「企業の人事担当者は内定者と真剣に向き合うことが大切で、SNSに頼り切るべきではない」と警鐘を鳴らしている。(畑武尊)



[ネット中傷対策]被害者の迅速な救済を(2020年7月27日配信『沖縄タイムス』-「社説」)

 インターネット上で他人を誹謗(ひぼう)中傷する投稿の問題が深刻だ。悪意に満ちた言葉で個人攻撃したり、事実ではないデマを意図的に書き込んだりする。誰が投稿したかを突き止めようにも、匿名のために割り出すのは容易ではない。

 総務省の有識者会議は、被害者が投稿者を特定しやすくするため制度見直しの中間報告案をまとめた。

 大きな柱は、SNS(会員制交流サイト)事業者に訴訟で開示請求できる発信者情報の中に電話番号を加えることだ。

 結果として、発信者を特定するために通常二つの裁判をする必要があるのを、1回の裁判で済むようになる。

 現在の制度では、被害者はまずSNS事業者に発信者のネット上の住所であるIPアドレスの開示を求める。それが分かると、今度はネット接続業者にその氏名や住所の開示を求める。

 2回の裁判が必要で、時間も費用もかかる。泣き寝入りせざるを得ない被害者も多かった。

 SNS事業者から電話番号が取得できれば、弁護士を通して携帯電話会社に照会し、本人を特定できるようになる。訴訟は1回で済み負担が軽くなる。

 出演したテレビ番組を巡りSNS上で激しい中傷にされされた女子プロレスラーが亡くなり、社会問題化したことは記憶に新しい。ネットの匿名性を隠れみのにした中傷は決して許されない。実効性を伴う制度設計を求めたい。

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 一方、中間報告案には気になる点もある。有識者会議では「新たな裁判手続き」創設案に対し慎重論が相次いだ。被害者が申し立てれば、通常の訴訟なしで裁判所が発信者情報を開示するかどうかを判断・決定する仕組みだ。

 会議では「匿名による表現の自由の保護レベルを下げることになるのでは」と指摘された。この懸念はもっともだ。正当な批判を封じる目的で制度を悪用するケースが考えられるからだ。「表現の自由」が侵害される懸念がある。総合的かつ厳格に判断するための訴訟を安易に省くのは疑問だ。

 しかも制度の詳細は固まっていないままの提案である。「手続きをつくることを決め、内容は後で決めるのは順序が逆だ」との批判もあったという。有識者の半数に当たる6人が連名で慎重な検討を求める意見を提出したことを、総務省は重く受け止めるべきだ。

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 ネット中傷は県内でもたびたび問題になっている。

 新基地建設の抗議運動などへのデマなど、悪意ある投稿が拡散されてきた。在日韓国人の男性が匿名掲示板で民族差別をあおる誹謗中傷を受けたこともある。

 対策を考える上ではSNS事業者の責任は大きい。

 事業者団体「セーファーインターネット協会」は6月末、削除依頼を代行する相談窓口を設けた。開始約半月で寄せられた相談は280件。基準を満たす44件の削除を要請し、うち14件が実際に削除された。こうした取り組みも積極的に知らせてほしい。





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