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視覚障害者のホーム転落死、また 「ドアがあれば」妻悔やむ 東京・阿佐ケ谷駅(2020年7月28日配信『毎日新聞』)

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視覚障害者の吉本充伸さんが転落したJR阿佐ケ谷駅=東京都杉並区で2020年7月27日午後3時17分、鈴木拓也撮影

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吉本さんのフェイスブックより

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 東京都杉並区のJR阿佐ケ谷駅で26日午後2時45分ごろ、視覚障害を持つ吉本充伸さん(51)=小平市小川西町=がホームから転落し、総武線電車と接触して死亡する事故があった。吉本さんはプロアスリートを施術するマッサージ師として活躍する一方、施術のボランティアにも熱心で、この日もお年寄りへのマッサージのために駅を利用していた。妻は「ホームドアがあれば」と悔やんだ。

シングルマザーに無料マッサージ

 警視庁杉並署によると、駅の防犯カメラに、ホームの線路沿いを1人で歩いている際に足を踏み外し、線路に転落する様子が映っていた。吉本さんは自力でホームに上がろうとしたが、進入してきた電車と接触したという。使っていた白杖(はくじょう)が現場に残されていた。

 本人のフェイスブックや関係者によると、吉本さんは和歌山市の出身。生まれつきの弱視だったといい、和歌山県立の盲学校を経て、東京都内の視覚特別支援学校を卒業した。2010年には吉本さんが中心となって東京・六本木にマッサージ店を開き、客や同僚からは「ヨッシー」と慕われていたという。元同僚の男性(58)は「不自由な目を補うように、筋肉を触った時の判断など感覚が優れていた。人に教えられるものではない独特の技術を持っていた」と振り返る。

 吉本さんは、この店を17年夏に辞め、別の店に転籍。19年春からは個人での営業に切り替えた。米プロバスケットボールNBA入りを目指す日本代表の馬場雄大選手や芸能人の施術も手がけ、仕事は順調だったという。

 一方、普段マッサージを受けない人へのボランティアにも熱心だった。「仕事や子育てが大変な母親のために何か役に立てないか」と17年春からNPO法人と協力し、シングルマザーのための無料マッサージ会を阿佐ケ谷で毎月開いていた。吉本さんはブログに「参加者から『体が楽になるのはもちろんですが、毎月、先生たちのお顔を拝見できる時間が私の癒やしです』と言われ、やっててよかったと思った」とつづっていた。

「声掛け」コロナで減る

 吉本さんの妻は27日、取材に応じ、「本人はもっと生きていたかったと思う。いろんな人から愛されていた。ホームドアが設置され、みんなが安全に乗り降りできるようになればいい」と語った。JR東日本は阿佐ケ谷駅を含む首都圏の主要路線の全駅にホームドアを設置する方針だが、目標の時期は32年度末としている。

 目の不自由な人が駅を安全に利用するためには周囲からの「声掛け」が必要になる。だが、都盲人福祉協会の市原寛一・常任理事(53)によると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、相手との距離を取るよう気をつけている人が多く、以前より声を掛けられることが減っているという。市原さんは「危ないと思う場面を見かけたら、ためらわずに声をかけてほしい」と呼び掛けている。



視覚障害のある男性、誤って転落か ホームドアのない阿佐ケ谷駅(2020年7月28日配信『東京新聞』)

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阿佐ケ谷駅ホームから誤って転落して死亡した吉本充伸さん(関係者のインスタグラムから)

 東京都杉並区のJR阿佐ケ谷駅で26日午後、視覚障害のある東京都小平市の自営業吉本充伸さん(51)がホームから線路に転落し、電車とホームの間に挟まれて死亡する事故があった。駅のカメラには吉本さんが足を踏み外す様子が写っており、警視庁杉並署は、ホームを歩行中に誤って転落したとみて調べている。(西川正志、井上真典、奥村圭吾)

◆点字ブロック付近歩いて足踏み外す

 署によると、26日午後2時45分ごろ、1番線ホームの点字ブロック付近を歩いていた吉本さんが足を踏み外して線路に転落。自力でホームによじ登ろうとしていたところ、進入してきた総武線三鷹行き普通電車とホームの間に挟まれ、6~7メートルほど引きずられたという。運転士は「非常ブレーキをかけたが、間に合わなかった」と話しているという。

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 吉本さんは目の病気を患っており、障害者手帳を持っていた。現場からは吉本さんの白杖も見つかった。吉本さんはマッサージで生計を立てており、この日は高齢者にマッサージを施すボランティアのために同駅を利用していたという。

 JR東日本によると、同駅には点字ブロックや、線路に人が転落した場合に運転士や駅員に異常を知らせる非常停止ボタンは設置されているが、転落防止のホームドアは未設置だった。

 同社は2032年度までに東京圏の主要路線の全243駅にホームドアを設置する予定だが、現時点で設置されているのは51駅。阿佐ケ谷駅も32年度までの設置計画に入っているが、具体的な設置時期は決まっていないという。

◆「ボディチューナー」として活躍

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阿佐ケ谷駅ホームから誤って転落して死亡した吉本充伸さん=関係者のインスタグラムから

 亡くなった吉本さんは、マッサージの高い技術を武器に「ボディチューナー」と称してフリーで活動し、「ヨッシー」の愛称で親しまれていた。俳優やスポーツ選手らの依頼を受けて施術するほか、ボランティアでシングルマザーや妊婦向けに無料マッサージ会なども開いていたという。
 吉本さんのフェイスブックなどによると、和歌山市出身で筑波大付属視覚特別支援学校を卒業。フリーとして働く傍ら、2017年7月から約1年9カ月間、骨格調整などを行う東京・原宿の店舗でも働き、店では「盲目の天才セラピスト」と紹介されていた。
 かつて同じ系列店で勤務した30代男性は「穏やかな口調で、お客さまの体の悩みを優しく受け止めていた」と振り返る。2年間施術を教えた日本美容矯正士協会の清水六観理事長は「目が見えないハンディを克服して余りある人でした」と死を悼んだ。

◆「コロナ禍でも声かけて」障害者団体が要望

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市原寛一理事

 転落事故が起きたJR阿佐ケ谷駅の現場に27日午後、東京都盲人福祉協会(都盲協)の市原寛一理事(53)が駆け付けた。現場に何か問題がなかったかどうか確認するためだ。

 亡くなった吉本さんは、ホームの5両目付近と階段の間にある通路のあたりで転落した。市原さんによると、線状の突起の付いたホームの内側を知らせる「内方線付きブロック」と線路側にあるゴム状の滑り止めを勘違いして、転落した可能性があるという。「白杖を使って、内方線を確認するが、滑り止めと見分けがつきにくい」と話した。

 ホームと階段の間の通路の幅1メートル87センチについては「狭すぎるというわけではない」との見方を示した。

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吉本さんが転落したJR阿佐ケ谷駅の1番線ホーム=27日、東京都杉並区で

 事故の原因ははっきりしないが、市原さんには気になることがある。「新型コロナウイルス感染症の影響で、電車を利用する際、声を掛けてくれる人がほぼゼロになった」と語る。コロナの前は、外出した際、5回に3回は、「大丈夫ですか」と話し掛けられることもあったという。

 市原さんは「ソーシャルディスタンスを保つためかもしれないが、声掛けがあると全然違う。転落の直接的な原因ではないかもしれないが、安全に駅も利用できる。視覚障害者の人を見かけたら、気軽に声をかけてほしい」と訴える。

 都盲協は29日、鉄道会社に対し構内放送で視覚障害者への声掛けを乗客に呼び掛けるよう求める要望書を都に手渡す予定だ。





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Author:gogotamu2019
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