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ALS嘱託殺人事件 逮捕の医師の名前挙げ主治医に紹介状要望(2020年7月28日配信『NHKニュース』)

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難病、ALSを患う女性を医師2人が薬物で殺害したとされる嘱託殺人事件で、女性が事件の前、主治医に対し、逮捕された医師の名前を挙げて、紹介状を書いてほしいと要望していたことが関係者への取材で分かりました。逮捕された医師側もSNSで女性に自分の病院への転院を持ちかけていて、警察が詳しいいきさつを調べています。

いずれも医師の大久保愉一容疑者(42)と山本直樹容疑者(43)は去年11月、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病、ALSを患う京都市の51歳の女性の依頼を受け、薬物を投与して殺害したとして、嘱託殺人の疑いで逮捕されました。

これまでの警察の調べで、女性と医師はSNSを通じて事件のおよそ1年前に知り合ったとみられていますが、去年秋ごろ、女性が主治医に対し、山本医師の名前を挙げて「紹介状を書いてほしい」と要望していたことが、関係者への取材で新たに分かりました。

女性は主治医にも栄養を減らすなどして、安楽死したいと依頼していましたが、主治医は思いとどまるよう説得し、紹介状も書かなかったということです。

逮捕された医師側はSNSを通じて女性に「当院にうつりますか。自然な最期まで導きます」などと、持ちかけていたということで、警察は詳しいいきさつを調べています。

日本ALS協会「医療倫理に背く行為」

今回の事件を受けてALSの患者や家族などでつくる「日本ALS協会」は、27日公式ホームページでコメントを発表しました。

この中で、逮捕された医師に対しては「医療倫理に背く行為だ」と批判する一方で、亡くなった女性に対しては「ALS患者が死にたいと関係者に吐露し依頼することは珍しいことではなく、患者さんの思いや行為を非難することはできない」としています。

そのうえで「医療者や福祉関係、支援者が当事者に寄り添い支援していくことが必要だ」と訴えています。

日本尊厳死協会「社会的規範を逸脱 容認できない」

また、「日本尊厳死協会」もホームページでコメントを発表しました。

この協会は薬物などを使って死期を早める積極的な「安楽死」は否定したうえで、患者の意思に基づき延命治療を取りやめる「尊厳死」の法制化を求める活動などを行ってきました。

コメントでは「今回の行為は社会的規範を逸脱しており、容認できない。安楽死の議論を望む声もあるが、社会の意識改革と制度改革を待たずに、安易に安楽死を容認すべきではない」としています。

そのうえで「死にたいという言葉の裏には家族への負担を強いることや、自分の生きる意味を見失う苦痛や苦悩がある。患者の苦痛を共有するケアマネジメントが望まれるが、不十分なサポート体制が、多くの不幸な尊属殺人や嘱託殺人を招いている」としています。

2020 年 7 月 27 日
公益財団法人日本尊厳死協会
ALS 患者に対する嘱託殺人事件報道に関する日本尊厳死協会の見解

 はじめに、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という神経難病を患いながらも最期まで懸命に生き抜かれた女性の勇気を称え、ご冥福をお祈り申し上げます。公益財団法人日本尊厳死協会はこのたびの ALS 患者に対する嘱託殺人事件報道に関し、以下の見解を表明します。

 私たち日本尊厳死協会は、延命治療の拒否等を文書で示した「リビングウイル」の普及啓発を行うことを目的とした、10万人余の会員を有する市民団体です。まず協会として申し上げたいことは、尊厳死と安楽死は異なる概念であるということです。多くのメデイアや有識者が両者を混同して報じられています。今後の議論を深めるうえで、二つの言葉をはっきりと区別して使って頂くことをお願いします。

 協会はリビングウイルに基づいて延命治療を差し控え、充分な緩和ケアを施されて自然に迎える死を尊厳死と定義しています。それに対し、安楽死は積極的に生を絶つ行為の結果としての死で、日本では安楽死は一般的に認められておらず、自殺ほう助は犯罪です。

 報道されている情報のみで、今回の医師が行った処置の詳細が不明ですが、医行為としては社会的規範を逸脱しており、医師の倫理規定違反は明白で、到底容認できるものではありません。

 1991 年、東海大学病院で末期がんの入院患者に薬物を投与し患者を死に至らしめたとして、担当医が殺人罪に問われた刑事事件がありました。日本において、医師による安楽死の正当性が問われた、現在までで唯一の事件ですが、横浜地裁の判決(1995 年)では医師による積極的安楽死として許容されるための 4 要件として、
1.患者が耐えがたい激しい肉体的苦痛に苦しんでいること
2.患者の死が避けられず、その死期が迫っていること
3.患者の肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くし、ほかに代替手段がないこと
4.生命の短縮を承諾する患者の明示の意思表示があること
が示されています。

 今回の事件は上記の要件を満たしておらず、加えて、苦痛の救済方法に関しての十分な話し合いが、本人と本人の医療とケアに関わっていた人々と行われた形跡がないことを考慮すると、この医師たちの行為は社会的コンセンサスを得ていない、思い込みによる判断からの行為という非難を免れない、と結論付けられます。

 横浜地裁の安楽死 4 要件には肉体的苦痛に関する記載がありますが、患者の苦痛は肉体的苦痛よりも他の苦痛であったと推察します。緩和ケアの世界では全人的苦痛と言われるものがあり、1)肉体的苦痛、2)精神的苦痛、3)社会的苦痛、そして4)スピリチュアル・ペインです。スピリチュアル・ペインとは、生きる意味や価値を見失うことによる苦痛と定義されています。

 死にたいという言葉の裏には必ず、満たされていない痛みがあります。特に、家族への負担を強いることや社会参加の機会が奪われることなどからくる社会的苦痛、自分の生きる意味や価値を見失う苦痛や苦悩であるスピリチュアル・ペインです。本人が抱えるこれらの苦痛苦悩に、周りの人は本人に代わって答えを出すことができません。生きる意味を求めて模索する患者の苦痛を共有するケアマネジメントが望まれますが、いまだ日本社会の病者、生活弱者に対する不十分なサポート体制が、多くの不幸な尊属殺人や嘱託殺人を招いていると考えられます。

 種々の調査によると現在、7~8割の日本人が安楽死の法的整備を望んでいるという現実があります。安楽死の権利はスイス、オランダ、米国、カナダ、オーストラリア等で認められています。また、スイスやオランダでは、肉体的苦痛のみならず、スピリチャル・ペインによる安楽死、また認知症が進行したら安楽死を行って欲しいという事前指示も認められています。協会は尊厳死に賛同していますが、安楽死には反対の立場です。

 意外に思われるかもしれませんが、その真意は「まずは尊厳死ができる国にしよう」という想いです。というのも日本は先進国で唯一、「リビングウイルの法的担保」が無い国で、終末期議論の最後進国です。また充分な緩和ケアが提供できれば安楽死は要らないのではないか、という趣旨です。協会の会員の中には安楽死の議論を望む声もありますが、社会の意識改革と制度改革を待たずに、安易に安楽死を容認すべきではないと考えます。

 リビングウイルとは生前の遺言状です。終末期医療における自己決定権に関する国会議員の議論が行き詰まったため、厚労省は「人生会議(ACP)」で決めようということに方針転換しました。そこで協会は、「リビングウイルを人生会議の入り口にしましょう」という
形で発信してきました。「人生会議の主人公は本人である」、と。しかし現実にはリビングウイルを表明している日本人はまだわずかです。高度の認知症などですでに表明できない人もいます。

 リビングウイルは終末期医療に関する自己決定です。これは憲法で保障された幸福追求権に基づきます。しかしそもそも「死の権利はあるのか?」という視点で見れば、安楽死も同じことが言えます。協会は世界約30ケ国からなる「死の権利・世界連合」にも参画し理事を輩出しています。世界における「死の権利」とは安楽死(医師による介助死)を認めることですが、世界もおおいに悩んでいます。一方、日本国内における「死の権利」とは今のところまだ尊厳死議論の段階に留まっています。
 
今回の事件を契機に多くの日本人が死をタブー視せず、リビングウイル、尊厳死、そして「死の権利」の議論を深め、国民の納得する終末期医療に変容することを期待しています。


ALS協会「医療倫理に背く行為」、嘱託殺人事件で…「患者さんの思いは非難できない」➡ここをクリック



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Author:gogotamu2019
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