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[養育費不払い] 逃げ得を許さぬ制度に(2020年7月29日配信『南日本新聞』-「社説」)

 政府は女性活躍に関する「重点方針2020」の中で、離婚後の養育費不払い問題を解消するため、法改正の検討を盛り込んだ。

 養育費の不払いは、母子家庭が貧困に陥る一因とされる。安倍晋三首相は「困難な状況にある女性にしっかりと支援を行う」と明言した。

 親の離婚で子どもが経済的に困窮し、将来の夢を諦めるようなことがあってはならない。国が関与を強め、逃げ得を許さない養育費確保のための制度構築を急ぐべきである。

 厚生労働省が昨年実施した調査によると、平均的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合を示す「子どもの貧困率」は全体で13.5%だった。しかし、ひとり親家庭では48.1%と極めて高くなる。

 中でもシングルマザーの多くはパートやアルバイトで働き、貯蓄も少ない。なのに、離婚により父親から子どもの養育費を受け取っているのは2016年の調査で24.3%にとどまる。

 今年4月に改正民事執行法が施行され、親権を持つ親は債権者として裁判所を通じ、養育費を支払う債務者の親について不動産や預貯金、給与に関する情報を得られるようになった。

 これまでは自力で金融機関や勤務先を探す必要があった。法改正は前進だが、差し押さえなどその後の手続きは生活に追われる中でしなければならず、シングルマザーらの時間的、金銭的負担は依然大きい。

 最高裁の司法研修所は昨年12月、離婚裁判などで使われる養育費の目安を16年ぶりに改定、全体として月1万~2万円増額した。これもひとり親家庭支援につながるものの、実際に養育費が支払われなければ意味をなさない。

 こうした中、政府は養育費確保のため、行政による強制的な徴収や立て替え払い、債権回収を専門とする民間機関の活用などを検討する。ひとり親には心強い後ろ盾と言えよう。

 欧米では、養育費を払わない親の給与からの天引きや銀行口座の差し押さえを取り入れている。

 日本でも兵庫県明石市が今月から立て替え払いを始めた。仙台市は民間の保証会社に督促や回収を代行してもらう際の保証料を補助している。自治体の取り組みが先行している印象だ。

 「重点方針2020」は、養育費制度の見直しへ外国の法制度と運用状況の調査、自治体と連携したモデル事業などを挙げた。実効性のある制度に向けてぜひ参考としたい。

 気になるのは強制徴収の前提条件となる離婚時の養育費に関する取り決めをしている母子家庭が、4割ほどしかないことだ。年間20万組以上が離婚する時代である。取り決めを、協議離婚成立の要件として定めることも議論していく必要がある。




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Author:gogotamu2019
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