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オランダ・アムステルダムで7年前…(2020年7月29日配信『西日本新聞』-「春秋」)

 オランダ・アムステルダムで7年前、当時55歳のサスキアさんに夫のみとり体験を取材した。末期がんの夫は自宅で彼女の腕に抱かれ息絶えたという。その傍らには家庭医が。夫が選んだのは薬物を注射されての安楽死だった

▼「個」を重視するオランダでは安楽死が制度化されている。端緒は1971年のポストマ事件。ポストマ医師が病に苦しむ母を見かねてモルヒネを注射。殺人罪に問われた彼女の救済運動は高まり安楽死法施行の下地を成した

▼それには六つの厳しい条件がある。(1)病の状況が耐え難く絶望的(2)他の解決法が全くない(3)家庭医に加え第三者の独立した医師が診察する-など

▼日本で安楽死は認められていないが、オランダの条件に照らしてもこれは到底、安楽死でない。京都の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性に頼まれ薬物を投与し殺害したとして、医師2人が逮捕された

▼女性の父は「本人が選んだこと」と己に言い聞かせつつ「逝く方も残された方もつらい」と漏らす。父の嘆きも女性の苦悩もいかばかりか。サスキアさんの夫の安楽死を助けた家庭医も苦悩した。「ずっと診てきたあなたを死なせるのはつらいが、苦しむあなたを見捨てられない」と言い注射器を握ったそうだ

▼筆者の耳に残るサスキアさんの言葉。「死にたくて死ぬ人などいません」。人の最期の選択はどうあるべきか。とてつもない命の重みに立ちすくむ。



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■内容(「BOOK」データベースより)
大麻・売春・同性結婚と同じく、安楽死が認められる国オランダ。わずか三十年で実現された世界初の合法安楽死は、回復の見込みのない患者にとって、いまや当然かつ正当な権利となった。しかし、末期患者の尊厳を守り、苦痛から解放するその選択肢は、一方で人々に「間引き」「姥捨て」「自殺」という、古くて新しい生死の線引きについて問いかける―。「最期の自由」をめぐる、最先端の現実とは。

■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
三井 美奈
1967(昭和42)年奈良県生まれ。読売新聞記者。89年、一橋大学社会学部卒業、読売新聞社入社。東北総局、本社社会部、同外報部を経て98年から2001年までブリュッセル支局特派員。EU、NATOの動向に加え、オランダ安楽死問題を精力的に取材。現・東北総局勤務

■目次
第1章 「死ぬ権利」がある国
第2章 オランダ安楽死の歩み
第3章 世界初の「安楽死法」
第4章 医療・福祉システムの基盤
第5章 制度を支える人たち
第6章 子供と痴呆高齢者
第7章 自殺との境界線
第8章 赤ちゃんの安楽死
第9章 安楽死を可能にした歴史
第10章 ベルギーとスイスの場合
第11章 日本で安楽死制度は可能か

六つの厳しい条件

①患者の安楽死要請は自発的で熟慮されていた
②患者の苦痛は耐え難く治癒の見込みがない
③医師は患者の病状や見込みについて十分に情報を与えた
④医師と患者が共に、ほかの妥当な解決策がないという結論に達した
⑤医師は少なくとも一人の別の医師と相談し、その医師が患者と面談して要件を満たしているという意見を示した
⑥医師は十分な医療上の配慮を行って患者を絶命させた




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gogotamu2019

Author:gogotamu2019
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