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新型コロナ 「近距離エアロゾル」の実態 専門家239人が指摘した空気感染の可能性(2020年7月31日配信『AERA.com』)

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7月22日から政府のGoToトラベルキャンペーンが始まった。東京居住者や若者、高齢者の団体は対象外とされているが、23日の東京駅には旅行客の姿も目立った 

 感染が急拡大するなか、239人の専門家が空気感染の可能性を発表した。呼吸だけで感染が広まるとしたら、どんな予防策を取ればいいのか。AERA 2020年8月3日号から。

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 世界で連日20万人以上、新型コロナウイルスの新規感染者が増えている。国内でも7月23日には東京で366人、全国で981人と、増加が止まらない。

 感染拡大の一因に、空気感染の可能性がある。7月上旬、日本など世界の感染症や環境工学などの専門家239人が、空気感染する可能性は高く、対策が必要だと注意喚起する見解を米感染症学会の学術誌に発表した。

 空気感染の根拠のひとつに挙げられたのが、中国・広州市のレストランで起きた集団感染だ。春節(旧正月)前日の1月24日、レストランの一番奥にあるテーブル3台でそれぞれ別個に食事をしていた、面識のない3家族のうち10人が感染した。

 18台あったテーブルのうち感染者が出たのは3台だけだ。3台の中央で食事をしていた10人は、その前日、新型コロナウイルスの流行で封鎖された武漢市からやってきた家族だった。

 地元の疾病対策センターなどが監視カメラの映像を分析した。武漢市の家族と両隣のテーブルの家族は、店内滞在時間が50分以上重なっていたものの、背中合わせに座っていただけで、直接の接触も接触感染の可能性もなかった。

 しかし、現場の再現実験により、3テーブルは共通のエアコンの気流の下にあり、換気されないまま、同じ空気がエアコンを介して循環していたことがわかった。調査チームは、唾液などの飛沫による感染だけではなく、空気感染も起きていた可能性があるとした。

 世界保健機関(WHO)は7月9日、239人の専門家の見解を受け、「人の密集した換気の悪い空間で、空気感染が起きた可能性は否定できない」とした。

 WHOのコメントについて、押谷仁・東北大学教授(ウイルス学)は、「誤解が生じやすいので注意が必要」と指摘する。

「空気感染と言っているが、麻疹(はしか)や結核で起きる空気感染と、新型コロナウイルスの感染はぜんぜん違う」

 麻疹や結核では、感染者と同じ部屋の離れた場所にいる人や、感染者が退室した後に入ってきた人にも感染することがある。しかし、新型コロナウイルスでは、一部例外的な状況で起きたものを除けば、そういった感染は起きていないと考えられる。

「新型コロナウイルスで起きている現象は、従来の『空気感染』で表してきた現象というよりむしろ、『近距離エアロゾル感染』と表現する方がいい」(押谷さん)

 英語では空気感染を「airborne transmission」と表現する。WHOは、空気感染とエアロゾル(エーロゾル、飛沫核)感染は同じだと説明する。しかし、押谷さんは、「近距離エアロゾル感染」とした方が、実態を正しく説明できると言うのだ。

 エアロゾル(飛沫核)は、ウイルスを含む直径5マイクロメートル(千分の5ミリ)以下の微粒子だ。気管挿管などの医療行為で生じることが多い。医療機関以外では、ウイルスを含むしぶき(飛沫)が乾燥してできるほか、くしゃみや咳、会話や呼吸でもある程度は発生し、体外に排出されているとみられる。

 飛沫は、唾液やのどの粘液などのしぶきで、直径5~10マイクロメートル程度だ。くしゃみや咳、大声で話したり歌ったりした時に発生する。重力により比較的短時間で落下し、1~2メートル程度しか飛ばない。感染者がマスクをせずに大声でおしゃべりやくしゃみをすれば、真正面の至近距離にいる人には飛沫がかかる可能性がある。

 一方、エアロゾルは軽いので飛沫より空中を長い間漂うため、より遠くまで到達し、少し離れたところにいる人も吸い込む可能性がある。これがWHOの言う、広い意味での空気感染だ。

 実験やシミュレーションでは、大声の会話で発生するエアロゾルは屋内を数分~数十分、漂い続けるという報告もある。239人の専門家は、エアロゾルは何十メートルも飛ぶ可能性があるとの見解を示す。

 ただし、東京大学医科学研究所の河岡義裕教授(ウイルス学)は、感染を考える上では、エアロゾルが空気中を漂う時間や距離だけでなく、エアロゾル内で病原体がどれぐらい感染力を維持しているかという点も重要だと言う。

「新型コロナウイルスについては、エアロゾル内でどの程度、感染力を保っているのかはまだ不明だ」

「近距離エアロゾル感染」も含めた空気感染が起きる可能性があるとしても、取るべき対策は変わらないと河岡さんは言う。

 これまでも呼びかけられてきた、換気の悪い「密閉空間」や多くの人が集まる「密集場所」、近距離での会話などの「密接」という、「3密」を避ける対策だ。(ライター・大岩ゆり)

※AERA 2020年8月3日号より抜粋




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