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【「風」読者の声~ALS嘱託殺人(2)】医療従事者「独断的だ」2容疑者に憤り(2020年7月31日配信『産経新聞』)

 《同じ医師として、衝撃を受けた。死にたいほどの苦痛であったにせよ、主治医でもない医師が起こした行動は許されない》

 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の女性から依頼を受けた医師2人が、薬物を投与して女性を殺害したとされる今回の事件。

 名古屋市の医師の女性(50)はメールで、逮捕された2医師について断罪する。この女性は、患者らに対し心や体の苦痛を和らげる治療を行う「緩和ケア医」で、「安楽死」にも反対の立場という。メールはこう結ばれている。

 《人の手を借りて生きること、誰でもいずれはそうなる。死にたいほどつらいという言葉の裏に、何があるのか、思いをはせるべきです》

 逮捕された2人は女性の主治医ではなく、会員制交流サイト(SNS)でのやりとりのみで請け負ったことが明らかになっている。

 2人による行為を「犯罪」とし、憤りを感じる医療従事者は多い。《関係性の希薄な医師が、独断的に安楽死の方法をとったことが問題だ》。京都府京田辺市の薬剤師の女性(46)はメールで批判し、《「解放=死」以外の選択も示せることが、医療人の役割ではないか》と記した。

 多くの医療従事者は、患者が苦しむ場面を幾度となく目の当たりにしている。だが、逮捕された2医師は、亡くなった女性と日常的に接していたわけではない。

 京都府内の内科医の70代男性も「今回のような秘密裏の犯行は認められない」と事件を批判する。その一方で、「本当の苦痛は患者本人にしかわからない」と語り、安楽死も患者にとって選択肢の一つとして考える必要があるとの意見も持つ。そして、こうも指摘する。

 「安楽死は人の生死に直結する重たい判断。われわれは正面からこの問題に向き合ってこなかった」(亮)



【「風」読者の声~ALS嘱託殺人(1)】「患者が輝く社会」実現へ議論を(2020年7月30日配信『産経新聞』)

キャプチャ
読者から届いた手紙やメール。100通以上が寄せられている

 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の女性から依頼を受け、薬物を投与して女性を殺害したとして医師2人が逮捕された嘱託殺人事件をめぐり意見を募集したところ、多くの手紙やメールが寄せられた。そのいくつかを紹介しながら、読者のみなさんといっしょに考えていきたい。

 寄せられた意見で目立ったのが、ALSをはじめとした難病を患う家族を持つ人からの切実な声だった。

 《闘病中は死にたい死にたいって口癖のように言っていました。看てる私もつらくって》(ALS患者の姉を亡くした読者)

 《(死を選んだALS患者の女性の選択について)他人がとやかく言うのはやめて》(70代のALS患者の妻)

 最愛の家族が病に苦しむ姿を目の当たりにするのは、ときとして当事者以上につらいことなのかもしれない。病に苦しむ家族を、殺害された女性に重ねた悲痛な声は複数届いた。

 《夫も発症当初は強い希死念慮(きしねんりょ)(死にたいと願うこと)を持っていた》

 こうつづられていたのは、東京都港区の小沢詠美子さん(58)からのメールだ。夫は難病の副腎白質ジストロフィー(ALD)を発症し、7年間の自宅療養を経て、3年前、53歳で亡くなった。夫は亡くなる4年前から、自分の意志で指一本動かすことも話すこともできず、視線が定まらなかったので意思表示する装置も使えなかった。

 発症当初こそ夫は「死にたい」と願ったが、《夫の医療・介護チームが夫に愛情を注いでくださったことが、夫を希死念慮から解き放ったのではないかと思います》とし、《週3回の訪問入浴の際に見せる幸せそうな表情が忘れられません》と振り返る。

もちろん今回の事件と、小沢さんの夫とは境遇が異なる部分はあるだろう。それでもメールでは、事件について《(女性が)ほんの一瞬でも幸福感を味わうことができれば、生きる気力がわいたのではないでしょうか》とした上でこう記している。《「辛い人を殺してあげて何が悪い」という世間の風潮には、違和感しか覚えません。(略)今回の事件を「安楽死」で片づけてはいけないのです》

 事件を機に、インターネット上などで「積極的安楽死」のあり方を議論する動きが広がっている。こうした議論自体は重要かもしれない。ただその前に、「患者が生きやすい社会」を作るためにどうしたらいいか議論することが必要なのではないか。

 厚生労働省によると、ALSの国内の患者数は、平成30年度末で9805人。ALSは筋肉を動かす神経が徐々に侵され、進行すると寝たきりとなって、食事や呼吸が困難になる一方で、通常は体の感覚や知能、内臓機能などは保たれた状態が続く。事件で亡くなった女性はブログで、ALS患者として生きることの苦しさをつづっていた。

 ALSを患う夫を持つ58歳の女性からのメールにも、《意識がクリアなのに体を動かせないというこの病の残酷さは、日々のささやかな喜びを上回る絶望感で患者をむしばんでしまう》と、患者の厳しい現実がつづられている。しかしその上で、こう続けた。《多くの難病患者と同じように、(事件で亡くなった)女性も、「生きたいんだ!だけど!」と叫びたかったのではないでしょうか。難病患者が自分らしく輝いて、毎日を「生きてゆける」社会を実現するにはどうしたらよいか、議論してほしい》。みなさんの率直なご意見をお待ちしています。(江)






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