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養育費不払い 子の利益を第一に防止策構築をa(2020年8月3日配信『愛媛新聞』-「社説」)

 政府は離婚後の養育費不払い問題を解消するため、具体策の検討を始めた。法務省内に有識者会議を設置し、法改正を含めた提言を年内にもまとめる。

 養育費を巡っては離婚時に支払いを取り決めなかったり、約束しながら支払われなかったりするケースが多い。欧米のように行政による取り立てや、立て替えの仕組みが整っておらず、以前から不払いが社会問題化している。

 母子家庭の多くが養育費を受け取っていない現状は、ひとり親世帯の貧困につながっており放置はできない。子どもの福祉を守る観点からも、払えるのに払わないといった逃げ得を許さず、不払いをなくす制度の構築を急ぐ必要がある。

 ひとり親世帯の実情はかなり厳しい。貧困率は50・8%と極めて高く、母子世帯の年間平均就労収入は200万円にとどまる。そうした中、養育費不払いは当事者への痛手が大きい。2016年の厚生労働省調査では離婚した父親から養育費を受け取っている母子世帯の割合は4分の1にすぎなかった。

 民法では離婚後の養育費を取り決めるよう求めているが、実際に取り決めている割合は4割にとどまる。ドメスティックバイオレンス(DV)が絡む離婚ではまともに話し合いができない場合が少なくない。離婚時に夫婦が話し合って支払額を決めても時間がたつにつれ、ほごにされるケースも目立つ。

 4月には改正民事執行法が施行され、養育費を支払わない人の預貯金の情報などを裁判所が取得し、財産を差し押さえやすくなった。これまでは支払いを受ける権利がある人が自力で金融機関や勤務先を特定する必要があったことからすれば一歩前進といえる。それでも悪意を持って不払いを続けている人に確実に支払わせるのは容易ではない。差し押さえを妨害しようと意図的に口座を移す例もあり、手続きの煩雑さや支給の迅速化にも課題を残している。

 根本的な解決には行政の関与を強めていく必要があろう。欧米の多くの国では行政機関が代わって取り立てたり、養育費を立て替えて相手に請求したりする制度を設けている。不払いそのものに罰則を適用する例もある。

 国内でも兵庫県明石市が先月から期間限定で立て替え払い制度を開始している。明石市の試みは評価できる半面、立て替えが回収できなければ、納税者の負担となり、養育費をきちんと支払っている親の意欲低下を招くリスクもある。国はこうした内外の事例の利点と課題を見極め、実効性のある仕組みを整えなければならない。

 離婚前に養育費の支払いを取り決めるための支援強化も欠かせない。法律専門家や自治体に相談しやすい態勢の充実が重要だ。養育費不払い問題を当事者任せにせず、子どもの利益を第一に考え、踏み込んだ支援策を求めたい。




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