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支えた人々の無念に思いを巡らす(2020年8月4日配信『新潟日報』-「日報抄」)

 病室に入るとベッドのあるじは、ガラケーから買い替えたばかりのスマホ操作に格闘していた。筋ジストロフィーで手先がわずかに動かせるだけの長岡市の村山幸枝さん(69)は、6月に一時意識を失うほど体調を崩し、入院している

▼車いすに乗れるまで回復したと聞いて訪ねると、会うやいなやスマホでビデオ通話ができる「スカイプ」を使いたいと言う。「最後にもう一度、家で暮らしたい」。その準備をするためのようだ。体の機能低下は進むがへこたれていない

▼自力で寝返りも難しいが、入院前は週に延べ150人近い訪問ヘルパーらの手を借り、自宅で1人暮らしをしていた。要望を伝えるためには歯に衣を着せない。時に辛らつでもある。脇にいるこちらがひやひやするが、心根を知るヘルパーは笑って聞いている

▼子どもの頃、医者に「命は二十歳まで」と言われ、ずっと死と向き合ってきた。だからだろう。思考と言葉に余計な飾り物がない。生きることに真っすぐな村山さんの存在には、周囲の人生観を変える力がある。応援団は幅広い

▼安楽死を望んだ末に、薬物投与事件で死亡した筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性のことを思う。発症前は留学をするなど行動的だったという。人生に絶望していく病の進行が痛ましい

▼この女性にも闘病を励ます友人がいた。ケアチームが在宅介護に奮闘していた。動けなくても、話せなくても、彼女もまた誰かの心に根を張る存在だったはず。支えた人々の無念に思いを巡らす。





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