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脱はんこ推進(2020年8月4日配信『宮崎日日新聞』-「くろしお」)

 暑い夏になると学生の頃にした配達のバイトを思い出す。配達先でお中元を渡して、はんこをもらう。慣れた人は玄関に印鑑を用意しているが、「探してくる」と言って奥に行ったまま戻ってこない人もいる。

 今の配達はサインで済むが、当時は印鑑が原則だった。安物であっても印鑑が優先。サインの方が本人の証明になるのに、という疑問もあって、「面倒だ」と思ったものだ。ビジネスの現場では、次々と管理職を巡って決裁のはんこをもらう文書がまだ一般的だ。

 日本社会の隅々に浸透するはんこ文化。だが在宅勤務など「新しい生活様式」が求められる中で、政府は書類の電子化、「脱はんこ」推進を打ち出す。拍車を掛けたのが全国民に10万円を配る特別定額給付金の混乱だ。目立った申請書類の不備に、印鑑の押し忘れもあった。

 「印の押し方」(塩小路光孚、塩小路光胤著)によると印が初めて出現したのは、メソポタミアで紀元前5千年ごろ。護符として考えられていた。やがて印は神聖な力を持つものとなり、今も受け継がれている。印の吉相があれこれ論じられるのも、自分の分身以上の存在として考えるからだろう。

 手書きの手紙が人柄を伴って現代も愛されるように、文面や書に添えた印も重みを感じる。以前は面倒に思えた習慣だが廃れるのは惜しい。文化として残すべき印と、形式化して意味の薄い印は区別して考えた方がいい。判で押したような結論で恐縮するが。



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Author:gogotamu2019
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