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コロナ下の大学 学生の意欲そがぬように(2020年8月8日配信『毎日新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの影響で、多くの大学の授業がオンライン中心となっている。学生たちはキャンパスへの立ち入りを制限され、不自由な大学生活を送っている。

 文部科学省の調査では、先月1日時点で全国の大学の2割強は授業がすべてオンライン方式だった。6割は対面式を併用していたものの、実験など一部の授業に限っているところが少なくない。

 ここに来て感染が再拡大の傾向を見せたため、秋からの後期の授業も原則オンラインとする方針も相次いで示されている。

 学内施設の利用が制限され、サークル活動などができないケースも生じており、学生からは不満の声が上がっている。

 長期の休校措置がとられた小中高校では遅くとも6月には学校が再開された。小中高校と大学で対応が分かれたのには事情がある。

 大学のキャンパスには大勢の学生があふれる。大教室に何百人も詰めかけることも珍しくない。学生間では飲み会を含めさまざまな交流があり、一人一人の行動範囲は広い。感染拡大のリスクは小中高校と比べて大きいと言える。

 しかし、教師や友人と顔を合わせて議論を交わしながら、学問を身につけていくのが学生の本来の姿だ。芸術系の大学などではとりわけ高度な実技指導が欠かせない。サークル活動や多くの交流も人間形成の一環であり、社会に出る準備となる。

 大学は人材育成を大きな役割としている。それを十分に果たせないのであれば、存在理由が問われるだろう。

 文科省は先月、大学の質を確保するための最低ラインを定めた大学設置基準に基づき、秋以降の授業の留意点を各大学に通知した。

 まずは感染対策を講じたうえで対面による授業の実施を検討し、それが困難な場合はオンラインの活用を考えるよう求めた。

 コロナの収束が見通せない中で、各大学が長期的な視点に立ち、人材育成と感染防止を両立させる大学運営のあり方を探る必要があるのではないか。

 心配なのは、学生が大学で学ぶ意味を見失い、学業を放棄するケースが出てこないかということだ。学生の健康を守りつつ、意欲をそがない対策が求められる。





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Author:gogotamu2019
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