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夜の街立ち入り調査/風営法の適用は越権行為だ(2020年8月11日配信『河北新報』-「社説」

 非常時だからといって、越権行為や法律の無原則な拡大解釈が許されるはずはない。

 新型コロナウイルスの感染が広がる「夜の街」対策として、政府が打ち出した立ち入り調査がまさにその類いだ。

 政府は警察による立ち入り調査の根拠に風営法を持ち出したが、そもそも風営法には感染症対策を明示した規定がない。法律の目的から外れているのは明らかだ。

 既に東京、大阪、北海道の繁華街で実施した。感染の状況次第では、大きな繁華街を抱える地方都市でも行われる可能性がある。政治主導でなし崩しに警察権力を利用し、適用を拡大することを認めるわけにはいかない。

 都内では、警視庁が歌舞伎町や池袋の繁華街で、ホストクラブやキャバクラなどを都職員とともに立ち入り調査した。

 調査を受けた繁華街の関係者が「行き過ぎではないか」と反発し、警察関係者から「越権行為と捉えられかねない」と懸念の声が上がったという。当然の反応だろう。同様の調査が繰り返されるようなことはあってはならない。

 風営法は、少年の健全育成や売買春の温床となる環境の取り締まりが目的だ。立ち入りは営業実態の調査に限られ、感染症対策など衛生面は対象外だ。

 夜の街は緊急事態宣言解除後の6月から人出が急増しているのにつれて、感染者が増えている。感染の拡大防止に向け、飲食店や遊興施設など業種別にガイドラインが策定され、行政や業界団体が順守を求めている。しかし、強制力がないため、対応はまちまちだ。

 接客を伴う接待や宴会は濃厚接触者が多いこともあり、クラスター(感染者集団)発生の場となる危険性が付きまとう。
 政府は夜の街特有のリスク排除を急いでいるが、新型コロナ特措法に立ち入り権限を認める規定がないため、風営法を活用したとみられる。

 立ち入りは、警察官が従業員名簿の管理や違法な接客の有無といった風営法上の順守事項を確認。マスクの着用や消毒、検温などの実施状況を調べたのは役所の職員だ。

 主目的は感染防止策のチェックだ。警察の威を隠れみのにした手法は正当ではない。

 警察庁が各都道府県警察に通達した風営法の解釈運用基準は「犯罪捜査や他の行政目的のために行うことはできない」と明記しており、職権乱用との批判を免れまい。

 本来なら食品衛生法や建築物の衛生関連法に基づく保健所による立ち入りが妥当な調査手法だ。

 各地の夜の街が感染リスクが高いことは明白だ。飲食店など事業者側は率先して、感染防止のガイドラインを守るべきだ。繰り返し立ち入り調査の対象になれば、店のイメージが悪化するだろう。自助努力を怠ってはなるまい。



風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(通達)
警察庁丙保発第3号、警察庁丙少発第2号/平成28年2月1日/警察庁生活安全局長から各管区警察局長、各都道府県警察の長宛(参考送付先)各附属機関の長
第36 報告及び立入りについて(法第37条関係)
第36 報告及び立入りについて(法第37条関係)
1 一般的留意事項
 立入り等は調査の手段であり、その実施に当たっては、国民の基本的人権を不当に侵害しないように注意する必要がある。

(1) 立入り等の限界
 立入り等の行使は、法の施行に必要な限度で行い得るものであり、行政上の指導、監督のため必要な場合に、法の目的の範囲内で必要最小限度で行わなければならない。したがって、犯罪捜査の目的や他の行政目的のために行うことはできない。例えば、経営状況の把握のために会計帳簿や経理書類等の提出を求めたり、保健衛生上の見地から調理場の検査を行うこと等は、認められない。
 また、立入り等の行使に当たっては、いやしくも職権を濫用し、又は正当に営業している者に対して無用な負担をかけるようなことがあってはならない。

(2) 報告又は資料の提出の要求と立入りの関係
 立入りは、直接営業所内に入るものであるため、営業者にとって負担が大きいので、報告又は資料の提出で行政目的が十分に達せられるものについては、それで済ませることとし、この場合には立入りは行わない。





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