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「おなかが痛いよう」泣き叫ぶ娘 子どもの便秘が怖い(2019年6月29日配信『朝日新聞』)

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 子どもの便秘は0歳から――。そんな調査結果を、誰もが安心して排せつできる環境づくりに取り組むNPO法人「日本トイレ研究所」(東京都)が公表しました。放っておくと切れ痔(じ)や便漏れなど症状が悪化し、治すのに長い時間がかかるといいます。専門医は、日ごろ接している大人たちが排便の仕組みを正しく理解し、気になる場合は早めに受診するよう呼びかけています。

医師の処方通り、下剤のませたのに

 「うーっ、おなかが痛いよう」

 脂汗を流して泣き叫ぶ娘=当時3歳7カ月=を、都内の経営コンサルタント秋山ゆかりさん(46)は見ていられなかった。

 娘は生後4カ月ごろ、便が少なく硬い日があり「便秘かも」と感じ始めた。以後、プルーンやひじきなど食物繊維が多いものを与えるように心がけていたが、昨年12月に危篤の祖父を見舞う日が続き、食事がコンビニおにぎりなどに偏ってしまった。排便が3日おきになり、硬いうんちを出せば肛門(こうもん)周りが切れてひどく痛がった。なぜか便失禁が始まり、保育園に行くのも渋るようになった。そこで自宅近くの総合病院の小児科を受診すると、「小児慢性機能性便秘症」と診断された。

 だが処方通りに下剤を毎日10滴弱ずつのませたところ、今度は床の上を転げ回るほど苦しみ始めた。暴れる娘を夫と押さえつけて浣腸(かんちょう)するが、グリセリン液は少ししか入らない。泣き叫ぶほか、吐いたり、体が震えてしゃべれなくなったりもした。

 このやり方でいいのか? トラウマになるのでは……。

 見かねた秋山さんはネット検索で子どもの便秘に詳しい専門医の記事を読み、メールを送って初診にこぎつけた。

3歳までの治療が理想 「早めの受診を」

 親子が訪ねたのは都立小児総合医療センター消化器科の村越孝次さん。ベテランの小児外科医で、13年の診療ガイドラインの作成に協力した1人だ。

 「どの患者もどうしようもない状態になって駆け込んでくるが、本当は便秘を疑ったらすぐに受診してほしい。自我が芽生える3歳までに治すのが理想的なんですが」

 村越さんが秋山さんの娘を診療すると、大量の硬い便が詰まった直腸が、かなり太くなっていた。肛門の手前は「便塞栓(そくせん)」と呼ばれる状態で、いくら下剤をのんで便を軟らかくしても、出口が塞がって出なかったのが苦痛の原因と分かった。失禁は、水分を含んだ便が固まった便と粘膜とのわずかな隙間を伝わって漏れ出す典型的な症状だった。

 長時間いきんだ後の排便で切れ痔(じ)になると、痛いのは嫌だと我慢してしまう悪循環を招く。そんな小児の便秘のメカニズムを、村越さんは丁寧に説明した。その上で娘に体内で固まった便を造影剤を注入して溶かして出す治療を施し、秋山さんにはカテーテルを使った浣腸のやり方を自宅でも行えるよう指導して「毎日、お尻近くのうんちのまとめ出しを」と指示した。

 これは、大量の便をため込んで伸びた腸壁で感じなくなった「直腸肛門反射」を呼び戻すための、地道な日課だ。大切なのは子ども自身が便意を催し、うんちを出し、すっきりする感覚を身につけることだという。

 「保護者は子どもの排便回数や量、形状に意識を向けて。小児科医の中には『浣腸は癖になる』と誤解して適切に治療していないケースもある。正しく理解し、早めに専門医に相談してほしい」

 村越さんの治療を受け、秋山さんの娘は浣腸から排便までの時間が短くなって腹痛が減ったり、浣腸をしなくてもうんちが出る日が増えたりなど、少しずつ快方に向かっている。

便秘の始まり、半数が「0歳」

 子どもの便秘を病気として正しく治療するための指針「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン」が2013年、国内で初めて作成された。そこでは発症しやすい時期を①離乳食開始時②トイレトレーニング時③就学開始時とし、ピークは2~4歳としている。

 しかし、日本トイレ研究所が昨年11月、「子どもが便秘状態」と考える1~3歳の母親568人に、子どもの症状が気になりだした時期を尋ねたところ、最多が「6カ月以上1歳未満」の30・2%。次いで「6カ月未満」(23・3%)だった。つまり半数以上が0歳から便秘が始まったと答えたのだ。

 加藤篤代表理事は「0歳児、それも6カ月未満がこんなに多くて驚いた」と話す。排便の頻度を尋ねた質問では、便秘症と判断する一つの目安である「3日に1回」が1位で35・7%。これを含め「3~7日に1回」が計47%に達していた。ちなみに「子どもが便秘状態でない」という母親で「3~7日に1回」と答えたのは、5・1%だった。

 また同じアンケートから、母親たちが排便の知識を得る相手は1位が「家族」、2位が「友人」で、保育所や保健所などをしのいだ。

 加藤さんは「しゃべれない赤ちゃんにとって、うんちは唯一の健康指標。でも食に比べ、排便の知識を得る機会は圧倒的に少なく、軽視されやすい」と指摘。「1カ月や3カ月検診など早い段階での情報提供や、保健所、医療機関、保育所・幼稚園が手を組んで、親身に相談に応じる環境を作るべきだ」と話す。

 同研究所では、専をウェブ上で公開している。

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