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コロナと失業 雇用・生活支援を確実に(2020年8月14日配信『山陽新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大で雇用情勢の悪化に歯止めがかからない。国や自治体はできる取り組みを再点検し、経済団体などと連携して実効性のある追加策を打ち出さなければならない。

 厚生労働省は感染拡大に起因する正社員の解雇や、非正規社員の契約が更新されない「雇い止め」が、見込みを含め7日時点で4万4148人だったと発表した。このうちパートや派遣社員など非正規労働者が6割近くを占める。業種別では製造業が宿泊業を抜いて最多となった。

 全国のハローワークや労働局へ寄せられた相談を基に集計しているが、把握できている数は一部にすぎない。総務省の6月の労働力調査では、求職中の失業者のうち勤め先の都合で離職した人は41万人に上り、前年同月に比べ19万人多かった。業績悪化から社員の早期・希望退職を募る企業も増えている。

 これに対し、政府は企業が従業員を休ませた際に支給する「雇用調整助成金」を拡充するなど、雇用維持を最優先としてきた。だが7月以降はウイルス感染が再拡大し、体力が限界に近づいている企業は少なくない。

 助成金の特例措置について政府は、現状を踏まえ、9月末としていた期限を12月末まで延長する方向で検討に入った。ただ、手続きが煩雑で申請を諦めるケースが相次ぐ。制度を活用するよう業界団体や企業を粘り強く指導することが重要だ。失業対策として行政が行っている雇用創出もさらに推し進めたい。

 非正規労働者は雇用の調整弁になりがちで、アルバイト学生やシングルマザー、障害者、外国人、老後資金に乏しい高齢者ら収入源を失うことが生活苦に直結する人も多い。失業で寮の退去を求められ、住居まで失う人もいる。雇用を守ると同時にきめ細かい生活支援が急がれる。

 公営住宅を抽選や敷金なしで優先提供したり、介護や運輸など人手不足の深刻な業界へ再就職した場合は奨励金を支給したりと独自策を打ち出す自治体もある。地域の実情に応じ、必要な情報がワンストップで手に入る相談体制の強化が欠かせまい。

 非正規男性の「派遣切り」が社会問題化した2008年のリーマン・ショック時と違い、女性の不安定な立場が顕在化したのも今の雇用危機の特徴である。安倍政権は女性の社会進出を積極的に後押ししてきたが、過半が非正規のため、労働力調査では就業者数が8年ぶりに減少に転じている。これを機に、女性が安定して働ける環境を整えていくべきだ。

 9月には多くの企業が派遣契約更新の時期を迎える。国や自治体には不当な契約解除がないよう注視し、対策を講じてほしい。労使交渉を通して雇い止めの撤回や賃金保障を引き出す例も出ている。労働者側が働く場を守る意識を持つことも大切だろう。




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Author:gogotamu2019
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