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受診控え持病悪化(2020年8月14日配信『しんぶん赤旗』)

コロナ影響…非正規で続発
職失い2カ月ぶり診察 ほぼ失明


 新型コロナウイルス感染症の影響で患者が受診を控え、持病を悪化させる事例が続発しています。現場の医師は、「受診控えはコロナ感染を警戒している人だけでなく、非正規労働者に顕著だ。生活が苦しい人が多く、本当に胸が痛む」と語ります。新型コロナの収束が見通せないもと、受診控えの長期化に不安を募らせています。(松田大地)

 7月下旬、茨城県内で佐藤太郎医師(仮名、70代)が営む診療所に、30代男性が妻に支えられて2カ月ぶりに受診しました。長く患っている糖尿病が悪化し、両目はほぼ失明していました。

 もともと症状が重く、1~2週間おきの通院を促していました。受診できなかった理由を佐藤医師が聞くと、男性は「コロナで派遣の仕事がだめになって来られなかった。目が見えなくて、もう仕事はできない。ここまで通うのも難しい」と肩を落としたと言います。

注射量を“節約”

 佐藤医師は、「糖尿病が悪化すると分かっていたでしょうに、血糖値を下げるインスリンの自己注射量を半分くらいに“節約”していたんだと思います」と語ります。

 「会社が倒産して金がない」と1カ月半も受診を我慢し、網膜症や腎症など合併症を引き起こす寸前まで悪化した人もいました。受診しても「持ち合わせがない。検査はやめてくれ」と拒む人も多く、詳しく調べることもできないと憂えます。

支援待ったなし

 「もともと血糖値がコントロール不良の重症患者の場合、受診控えはすぐさま生死に関わります。安心して受診できるように、患者負担を軽減するなどの補助がもっと手厚ければいいのですが…。職を失った人や非正規労働者の受診控えはますます増えると思う」

 深刻化する受診控えを防ぐため、国の支援・保障対策の拡充は待ったなしです。

 茨城県保険医協会の調査では、新型コロナに伴う受診控えなどで外来患者数が減った医療機関は9割超でした。そのうち4割の182医療機関で患者の症状悪化を確認。糖尿病患者の「血糖コントロール不良や合併症の重症化」が最多で、緊急入院した人もいました。

 全国保険医団体連合会のアンケート調査でも、受診控えに伴う、がんや心不全、糖尿病の進行・重症化などの事例(表)が多数紹介されています。

患者減り収入が減少 感染対策で職員疲弊

 コロナ危機が影響した受診控えは、持病の悪化だけでなく医療機関の経営も直撃しています。1面に登場した佐藤医師の診療所は、4~6月の患者数が前年同月より2~3割減少。毎月の収入減少は2~4割にのぼります。

 そのうえ、新型コロナ対策に伴う身体的負担や出費が重くのしかかっています。発熱患者の待合室と診察室用にプレハブ2棟を約160万円で購入。8月からは、県から許可されて、発熱患者を患者の自動車内で診察する取り組みを始めました。

 「疲労感なんてもんじゃない。もうへとへとです」と明かす佐藤医師。発熱患者が来るたび防護ガウンを着込んで外に出て診察を行い、それが終われば、ガウンを脱いで診療所内で別の患者を診るという繰り返しです。「先日、患者さんから寄付金をいただいて、みんなで涙を流しました。しかし、肝心の国からは本格的支援がありません。『持続化給付金』は100万円だけです。減収分を考えれば少なすぎます」

 経営悪化は全国各地に及び、各医療団体は国に支援の抜本拡充を再三、要望。日本医師会の中川俊男会長は7月の会見で「来年度の予算編成を待てる状況ではない」「受診控え、健診控えは容易に回復しないと見込まれる。地域医療の維持が危うくなっている」と警鐘を鳴らしています。

 受診控えをめぐっては、国がテレビ電話などのオンライン診療を推進しています。しかし、佐藤医師は「肺音、心音が聞けず触診もできない。糖尿病患者は採血や採尿も行います。無理です」と語ります。

 「地域医療の崩壊を何としても防がないといけません。PCR検査を抑制して感染拡大の封じ込めに失敗したうえ、抜本的支援も行わない国の責任は最後まで問われます」

安心して受診できる環境確保こそ

 全国保険医団体連合会の工藤光輝事務局次長の話 受診控えの広がりは、医療体制だけでなく国民生活全体が苦しくなっていることの表れです。国の責任で雇用と賃金を守り、低所得者や減収世帯の患者負担の免除などを行うべきです。そのうえで、安心して受診できるように、医療機関が感染対策に全力を注いでいることを発信し、必要な受診や予防接種、健診を呼びかける広報活動を進めることが必要です。

 さらに患者負担という点で今後を考えれば、国が狙う75歳以上の窓口負担引き上げなどはやめるべきです。

 同時に、私たちの調査では受診控えとともに、経営悪化で「閉院・廃業も考える」という回答が目立ちました。1カ所でも閉まれば、行き場を失う患者が生まれるなど地域医療に影響が出ます。公的仕組みである医療への支援はまだまだ足りません。感染防護具の確保にも責任を持つべきです。

 国が医療全般を縮小してきたなか、“有事対応の余力がない”“医療体制を見直す時だ”という問題意識が医療界で共有されつつあります。一部の報道では“受診控えで外来患者数が最適化した”と言って体制縮小を正当化していますが、症状悪化が起きている現実を直視すべきです。命と健康を預かる医療の拡充を強く訴えたい。

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Author:gogotamu2019
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