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コロナと大学 対面授業の実施へ知恵を絞れ(2020年8月16日配信『読売新聞』-「社説」)

 大学教育は、授業だけでなく、学生同士や教員との人格的なふれ合いも大切である。大学は工夫を凝らし、対面授業の再開を目指すべきだ。

 新型コロナウイルスの流行で、大学はオンラインによる遠隔授業に軸足を置いてきた。最近の感染再拡大を受け、秋以降も遠隔を原則とする大学が相次いでいる。

 授業を再開させている小中高校とは異なり、大学は数百人が一室に集まる講義もある。アルバイトやサークル活動などで学生の行動範囲は広い。クラスター(感染集団)の発生を恐れ、対面授業をためらっているのだろう。

 大学の学生アンケートでは、遠隔授業について「自分のペースで勉強できた」と評価する声がある一方、「集中できない」「質が低い」との不満も出ている。

 学習意欲の低下につながることが懸念される。教員がオンラインに適した授業方法や機器の操作にさらに習熟する必要がある。

 より深刻なのは、信頼できる先輩や友人を作れないまま、孤立を深めている学生が目立つことだ。一度も学校に通えず、ずっと自宅に籠もっている1年生もいる。大学が積極的に状況を聞き取り、不安の解消に努めてほしい。

 実験や実技が必要な理工系や芸術系の学部では、対面での細やかな指導が不可欠だ。遠隔授業だけでは、評価や単位認定が難しいという問題も生じている。

 学生をグループ分けして、少人数での対面授業を実現している大学もある。大規模な授業は遠隔で行い、少人数で広い教室を使うといった工夫も考えられよう。

 各大学が規模や特徴を踏まえ、遠隔と対面の授業を上手に組み合わせたい。部活動やサークル活動がままならない状況も、できるだけ早い改善が望まれる。

 文部科学省は大学に対し、後期から対面授業の実施を促す通知を出した。萩生田文科相は「小中学校も工夫している。大学だけがキャンパスを閉じているのは、いかがなものか」と苦言を呈した。

 施設を全面開放している大学は全体の15%にとどまる。図書館や食堂、自習スペースなどの感染対策を講じた上で、段階的に利用範囲を広げてほしい。

 学生に飲酒を伴う会食を控えるなど慎重な行動を呼びかけ、授業方針や奨学金の情報を適切に提供することも大学の役目である。

 今後も、感染状況の行方は予断を許さない。情勢の変化に応じて柔軟に対処できるよう準備を整えておくことが重要だ。




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