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NHK経営委 トップの責任は免れない(2020年8月16日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 放送法が禁じる番組介入の疑いが濃い。NHK経営委員会はただちに経緯について説明し、責任の所在を明確にすべきである。

 かんぽ生命保険の不正販売問題を追及した報道番組を巡り、経営委は2018年10月の会合で、当時の上田良一会長を厳重注意した。その際の議事録の内容が判明した。

 NHKは同年4月放送の「クローズアップ現代+(プラス)」で問題を取り上げ、その後、続編に向け情報を募る動画を会員制交流サイトで配信した。これに日本郵政グループが抗議していた。

 議事録によれば、当時の森下俊三経営委員長代行(現委員長)らが「作り方に問題がある」などと指摘し、批判を展開。ネットで情報を集める手法にも「極めて稚拙」と踏み込んでいた。

 経営委員による個別番組への介入は放送法32条が禁じている。森下氏らの発言内容は抵触する疑いが濃厚である。

 森下氏は3月、衆院総務委で「具体的な制作手法を指示したものでなく、自主自律や番組編集の自由を損なう事実はない」と答弁した。発言と食い違っている。

 続編の放送は企画から1年後にずれ込み、問題の販売契約の繰り返しが発覚した後だった。

 経営委はこれまで、会長への厳重注意に関わる議事録の全面開示を拒んできた。「公表を前提にした議論ではない」との理由だ。

 有識者の第三者委員会は5月、議事録を速やかに公開するよう答申した。受信料を基に公共放送を担う立場の開示原則を踏まえた。

 ところが、経営委が先月示した議論のくだりは発言者名を伏せた断片的な内容で、既に公表した議事概要の域を出なかった。

 第三者委員経験者からは「情報公開制度の趣旨にもとる行為」との強い批判が出ている。

 経営委はNHKの経営方針や予算を議決する権限を持つ。そのトップが放送番組の独立を重んじる法の趣旨に反し、信頼を失墜させる行為を繰り返している。

 組織の機能をないがしろにし、放送法による議事録公表の定めも無視する。厳重注意の趣旨は「ガバナンス(企業統治)の強化」とされたが、経営委の姿勢こそ統治の危機と言わざるを得ない。

 経営委には、市民団体から議事録の公開とともに森下委員長の辞任要求も出されている。

 議事録を包み隠さず開示し、視聴者への説明責任を果たす。それができないのなら、公共放送の経営を委ねるわけにはいかない。




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Author:gogotamu2019
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