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終戦から75年 不戦の決意、改めて胸に(2020年8月16日配信『中国新聞』-「社説」)

 75年の節目を迎えた「終戦の日」のきのう、全国戦没者追悼式が営まれた。先の大戦で軍人・軍属約230万人が戦死し、都市への空襲や広島・長崎への原爆投下などで民間人約80万人も亡くなった。日本が植民地支配・侵略したアジア各国でも多大な犠牲を強いた。

 こうした膨大な代償を払って築いたのが今の平和と言えよう。戦争の惨禍を再び繰り返さないよう、不戦の決意を改めて胸に刻みたい。

 追悼式は新型コロナウイルスの影響で参列者数は過去最少になった。2度目の参列となった天皇陛下はマスク姿で、お言葉を述べた。上皇さまが戦後70年から使われている「深い反省」を昨年に続き、今年も用いた。時代は移っても過ちは決して繰り返さない。そんな思いは国民にも伝わったのではないか。

 ところが安倍晋三首相は式辞で加害責任にも反省にも8年連続で触れなかった。昨年はあった「歴史の教訓を深く胸に刻み」など、過去と向き合う趣旨の言葉もなくなった。

 代わりに「積極的平和主義」という言葉が初めて登場した。かねて集団的自衛権の容認など、従来の縛りを取り払ってきた政権である。戦争に巻き込まれたりする恐れがないのか。疑念が拭えない。

 危うさを感じさせる政権の姿勢は、国民の意識とは開きがある。日本世論調査会による全国郵送世論調査で、戦後、戦争をしなかった理由を「憲法9条があったから」と答えた人が47%を占め、最も多かった。「戦争体験者や被爆者が悲惨さを訴えてきたから」の23%が続いた。

 自ら引き起こした戦争の反省と戦禍の記憶を語り継いできた先人の苦労が平和の礎だ。そう国民が考えている証しだろう。

 政治は、その思いに応えているのだろうか。例えば戦争被害や補償の「空白」を埋める作業である。超党派の議員連盟が3年前、空襲被害者の補償法案の素案をまとめたが、今年も進展していない。東京空襲関連の訴訟の判決で東京地裁は2009年、救済について「さまざまな政治的配慮に基づき、立法を通じて解決すべきだ」と指摘した。にもかかわらず、政治は役割を果たしていない。

 きのう、第2次安倍政権では最も多い4人の閣僚が靖国神社に参拝した。1978年のA級戦犯合祀(ごうし)以来、首相や閣僚の参拝は近隣諸国の反発を招き、天皇による参拝も途絶えている。A級戦犯の分祀(ぶんし)や国立追悼施設建設などの打開案は出ているが、実現していない。根っこにある合祀問題というとげが40年以上抜けないのは、政府の怠慢と言わざるを得ない。

 韓国との元徴用工問題もこじれたままだ。文在寅(ムンジェイン)大統領はきのう、日本企業に賠償を命じた韓国最高裁の判決を尊重する考えを示した。一方で日本といつでも向き合う準備ができているとも述べた。どこまで本気か分からないものの、もつれた糸をほぐすには、対話を重ねる両国政府の努力が欠かせない。

 今、米国と中国の対立が激しさを増し、国際情勢の先行きが不透明になっている。背景には「自国第一」「力による平和」を掲げる大国の為政者の存在がある。そんな時だからこそ、対話と外交的な努力が一層求められているのではないか。




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Author:gogotamu2019
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