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花火に重なる空爆 国境なき医師団看護師が内戦の地で見たもの<平和の俳句>(2020年8月16日配信『東京新聞』)

 紛争地などで医療支援をする国際非政府組織(NGO)「国境なき医師団」の手術室看護師・白川優子さん(46)が、本紙「平和の俳句」に賛同し、作品を寄せた。内戦下のイエメンやシリアで医療活動にあたった経験がある白川さんは、美しい夏の花火を見ても、空爆を思い出すという。 (松崎晃子)

海へだて空爆音と令和の花火と  白川優子(国境なき医師団)

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白川優子さん

 作品は、終戦の夏に思いを巡らせて詠んだ。花火は、紛争地へ行ってから、楽しみではなくなった。
 2010年から同医師団に参加し、海外派遣は17回に及ぶ。シリアでは、病院を狙う爆撃を間近に感じながら、活動にあたった。その感覚が、帰国しても抜けない。東京で打ち上げ花火を見た時、音と振動が空爆そのものだと気付いた。「近くで花火大会のある日は、帰省したりして、わざと避ける」

 句に入れた「令和」の言葉には、75年前の戦争の記憶が薄れつつある日本への懸念を込めた。今、花火はみんなが楽しみに見るものとして疑われることは、ほとんどない。だが、その音を、白川さんと同じように空襲におびえた記憶と重ねる戦争体験者がいる。「海の向こうでも、今、同じ音で苦しんでいる人がいるんだよと伝えたい」

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イラク・モスルのテント式手術室で、患者の手術を介助する白川優子さん(手前右)=2016年(国境なき医師団提供)

 今年はコロナ禍で社会のひずみが見え“戦争”にもたとえられた。「平和、平時のありがたみを振り返る機会になったのでは」。厳戒下の紛争地では、外に出られないのが当たり前。白川さんは、そんな中でも市民が日常生活で助け合う姿をたびたび見てきた。「戦火に追われる者同士は、いがみあっていたら生きていけない。今の日本でも、実は皆、たくさん救い合っているはず」

 自身の幼い頃と比べ、社会で戦争を意識する機会は減ったと感じる。「忘れ去ることができるのは、平和だからこその恩恵かもしれない」とは思う。けれど、あまたの国の紛争地に向かう中で「平和って、意識して努力しないと守っていけない」と痛感した。講演活動などで戦地のむごさを伝えることにも、力を注ぎ続ける。




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Author:gogotamu2019
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