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一日中布団で入浴もせず…30代ひきこもり長女を抱える家族が「障害年金」に見た光(2019年6月30日配信『オトナンサー』)

障害年金の申請にはさまざまな書類が必要

 長期化、高齢化したひきこもりのお子さんの中には、精神疾患を発症しているケースもあります。場合によっては「障害年金」の請求をすることになるのですが、ご家族だけでは請求までこぎつけるのが難しく、途中で諦めてしまうケースもあります。自分たちだけでは難しいと感じたら、専門家の力を借りることも検討してみましょう。

中学時代の経験からひきこもるように…

 障害年金とは、病気やけがによって生活や仕事などが制限される場合に、現役世代の人も含めて受給できる公的年金です。長期化、高齢化しているひきこもりのお子さんの中には、うつ病や統合失調症、双極性障害、発達障害などを発症しているケースもあります。

 仮に、ひきこもりのお子さんが障害基礎年金の2級を受給できたとすると、年金額は年78万100円(2019年度)、月額にすると約6万5000円になります。働くことが難しく、収入に不安を抱えているご家族にとっては、大きな救いとなる制度といえるでしょう。

 ただし、障害年金を受給するには、たくさんのハードルを越える必要があります。請求に必要な書類をそろえることもハードルの一つです。

 筆者は社会保険労務士の資格も持っているため、ひきこもりのお子さんを持つご家族から障害年金の相談を受けることもあります。今回の相談者は、ひきこもりの長女を持つ母親。机の上には、母親が持ってきた障害年金のパンフレットや、請求に必要なたくさんの書類が置かれています。

「主人は仕事で忙しく、長女は病気で、手伝ってもらうことはできません。私一人で何とかしなければと思い込んでいたので、それがものすごいプレッシャーで…」

 書類の束を見ながら、母親はつらそうに話しました。

「それは大変でしたね。私でよければご協力いたします」

 筆者はそう言って、まずは長女のことから伺うことにしました。

 彼女は15年以上ひきこもりの生活を続けており、うつ病を発症。後で分かったのですが、生まれつき発達障害もありました。そのためか、小さい頃から女子同士の間で場の雰囲気を壊さないように振る舞うことが苦手だったそうです。中学時代には、周りから無視される、意地悪をされる、信頼していた親友に裏切られる、というつらい出来事がありました。

「人を信じることができない」「人の目が怖い」「自分には何の価値もない」と強く思うようになり、それ以来不登校に。心配した両親は長女の回復を祈り、そっと見守り続けてきました。しかし、回復することはなく、一日中布団の中で過ごし、食事も満足にできず、顔も洗わず歯も磨かない、お風呂は月に1~2回という生活になり、両親は病院に連れて行くことにしました。現在も服薬やカウンセリングによる治療を続けており、働くことは難しい状態とのことです。

 長女も30歳を超え、収入に不安を持った母親が主治医に相談。主治医から「障害年金の請求をしてはどうか」とアドバイスを受け、母親は1人で年金事務所へ相談に行くことにしました。

たくさんの書類に頭が追いつかず…

母親は年金事務所の窓口で障害年金の説明を受け、たくさんの書類をもらいました。職員が丁寧に説明してくれましたが、初めて聞くことばかりで理解が追い付きません。頭の中はパニック状態。結局、何から始めればよいのか全く分からないまま相談は終了しました。

「私一人では絶対に無理。一体どうすればいいの…」

 帰り道、母親は目の前が真っ暗になり、途方に暮れてしまったそうです。

 障害年金の請求には、さまざまな書類を手順よくそろえる必要があります。筆者は長女の通院歴から聞くことにしました。すると、10代の頃に初めて病院に行き、その後、数カ所の病院を転々としていることが分かりました。

 障害年金の申請は、初めて病院に行った日の証明書(受診状況等証明書)を病院で書いてもらう必要がありますが、だいぶ前のことなのでカルテが残っていない可能性もあります。そうなると、古い病院から順に問い合わせていくことになります。また、長女は生まれつき発達障害があります。「病歴就労状況等申立書」という書類には、生まれたときから今まで、その障害によりどのくらい日常生活に制限を受けてきたのか、簡潔に書く必要があります。

「他にも必要な書類はあるのですが、まずはこの2つから片付けてくださいね」

 筆者がそう言うと、母親は何かを考えるように沈黙していました。しばらくして、机の上に散らばっている書類をまとめ、長い息を吐きました。

「自分で何とかしようと思っていたのですが、やはり難しいと分かりました。長女の請求をお願いしても大丈夫でしょうか」

「はい。構いません。では、障害年金の代理請求について、もう少しお話させてください」

 話し合った結果、筆者が請求の代理をすることになりました。

「専門家にお願いをするのはためらいがありましたが、思い切ってお願いしてよかったです」

 長い間感じていたプレッシャーから解放されたようで、母親はホッとした表情を浮かべていました。

 障害年金に限らず、ご家族だけでの解決が難しいこともあるでしょう。そうしたときは、専門家や支援者の力を借りることもぜひ検討してほしいと思います。

社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也




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