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政権と終戦の日 歴史顧みる姿勢見えぬ(2020年8月18日配信『北海道新聞』-「社説」)

 今年の終戦の日は「加害の歴史」に真摯(しんし)に向き合わない安倍晋三政権の姿勢がより鮮明になったと言うほかない。

 首相に近い高市早苗総務相、萩生田光一文部科学相、衛藤晟一沖縄北方担当相の3人と、小泉進次郎環境相が靖国神社を参拝した。

 現職閣僚の終戦の日の参拝は4年ぶりで、4人の参拝は安倍政権で最多となった。

 靖国神社は戦前、国家神道の中心的役割を果たし、軍国主義を推進する精神的な支柱だった。

 東京裁判のA級戦犯を合祀(ごうし)しており、参拝は過去の戦争を肯定する行為と受け取られかねない。

 高市氏は「外交問題にしてはいけない」と述べたが、被害国から見れば身勝手な主張とも映ろう。

 問題は誰しもがわだかまりなく追悼できる施設がないことだ。

 政権を担う閣僚ならば、自らの思想・信条に拘泥するより、参拝問題の解決に力を尽くすことを優先すべきであろう。

 加えて見過ごせないのは、全国戦没者追悼式での首相の発言だ。

 アジア諸国への加害責任と反省に8年連続で触れなかったばかりか、これまで言及してきた歴史の教訓を顧みる言葉が消えた。

 昨年までは「歴史の教訓を深く胸に刻み」「歴史を直視し」などと明示的に盛り込んできた。

 自国民にだけ哀悼の意をささげ、アジア諸国の犠牲に目を向けないのであれば、被害国との真の和解は遠のく。

 追悼式で首相は「積極的平和主義の旗の下」で国際問題の解決に役割を果たす考えも示した。

 ただ内実は、憲法解釈を強引に変更して集団的自衛権の行使を認めるなど、憲法の平和主義から乖離(かいり)した政策を進めている。

 「積極的平和」の本来の意味は、戦闘や紛争の要因となる貧困や人種間対立、差別などの問題を事前に解決することだ。

 自衛隊の増強ではない。

 目指すべき方向が誤っている。

 戦後50年談話で侵略と植民地支配を公式に認めて謝罪した村山富市元首相が、発表から25年たったのを受け、コメントを出した。

 歴史検証や反省の取り組みを「自虐史観」と捉える動きについて「全く間違っている」と断じ「過去を謙虚に問うことは、日本の名誉につながる」と訴えた。

 そして「侵略や植民地支配を認めないような姿勢こそ、この国をおとしめる」とも述べた。

 このメッセージを安倍政権は謙虚に受け止めてもらいたい。



反俗作家の日記(2020年8月18日配信『北海道新聞』-「卓上四季」)

永井荷風の「断腸亭日乗」は死去した1959年まで40年余り書き継がれた日記文学の傑作だ

▼花柳界の風俗を描いた耽美(たんび)派の作家は戦前の世相や自身の女性関係を活写しつつ、開戦に突き進み、敗戦への坂を転げ落ちた時局への批判は鋭く深い

▼41年9月の記述。米国と戦いサンフランシスコやパナマを占領したとしても「長き歳月の間には何の得るところもあらざるべし」。あるとしても、それは「日本人の再び米国の文物に接近しその感化に浴する事のみならむ。即デモクラシイの真の意義を理解する機会に遭遇することなるべし」

▼米国と戦争し得られるのは民主主義のみ。若き日の米国滞在が培った洞察力が敗戦国日本を予言した。だが占領軍による上からの民主化を歓迎したわけでもなかったようだ。45年9月に昭和天皇がマッカーサーを訪問したことを嘆いている

▼「我らは今日まで夢にだに日本の天子が米国の陣営に微行して和を請ひ罪を謝するが如き事のあり得べきを知らざりしなり」「余は別に世のいはゆる愛国者といふ者にもあらず、また英米崇拝者にもあらず。惟(ただ)虐げらるる者を見て悲しむものなり」

▼あの会見は鬼畜米英から親米へと、日本の針路が百八十度転換したことを象徴する場面だった。時流にあらがう反俗の精神を貫き、権力を冷徹に見続けた荷風なら、その後の従属的とも言える日米関係をどう書いただろう。



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