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レジ袋有料化で目立つマイバッグ万引 需要増のスーパー苦慮(2020年8月18日配信『産経新聞』)

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レジ袋有料化に伴い、マイバッグを使用する買い物客が増えている=17日午後、東京都練馬区(三尾郁恵撮影)

 7月のレジ袋有料化に伴い、スーパーなどで持参のマイバッグを使った万引が目立ってきた。店員の目を盗み、レジを通していない商品をマイバッグに入れる手口で、精算済みかどうか判別が難しい。新型コロナウイルスの流行でスーパーは巣ごもり需要が増し客足が好調だが、万引の増加は経営に打撃を与えかねない。専門家は、店の防衛策だけでは限界があるとして「マイバッグを使用する際のルールの普及が必要だ」と指摘する。(松崎翼、吉沢智美)

未精算「判別難しい

 「お会計、していないものがありますよね」

 7月下旬、東京都練馬区のスーパー「アキダイ」。店員が、店の外で声をかけた50代の女が握りしめていたマイバッグは、未精算の春菊やヒラメ、シジミなどの商品で膨らんでいた。

 女は買い物かごと一緒にマイバッグを持ち歩き、防犯カメラの死角に移動した後、バッグに商品をそっと移し替えた。そしてかごに入った商品だけをレジに通し、何食わぬ顔で店外へ出た。

 同じ棚の辺りを何度もうろつく不審な動きを見て店員が追跡。犯行を確認し声をかけたところ、女は「私は知らない。悪くない」と叫んだが、通報で警察官が駆け付けると被害相当額の支払いに応じた。

 「多くがマイバッグを持つことで、違和感なく万引できるようになってしまっている。バッグをかごに入れて紛らわしくするケースもあり、判別は難しい。ただ、7月以降、万引が増えているのは間違いない」。社長の秋葉弘道さん(52)はため息をつく。

コロナ禍で足かせ

 悪質なケースも確認されている。

 店員に見えるようにマイバッグに未精算の商品を入れた後、隙を見てそっと棚に戻し、店員から万引を指摘された瞬間、「名誉毀損(きそん)だ」と主張、賠償を求めるものだという。こうしたケースもあり、店員は“摘発”に細心の注意を払うことを強いられている。

 アキダイでは、7月のレジ袋有料化後の被害増加を受け、対策を検討。買い物かごを精算前後で2色に分け、マイバッグに商品を移し替えることができるのはレジを通した後に渡すかごに限定した。怪しい動きにも気づきやすくなり、一定の効果を感じている。

 ただ、万引を根絶できてはいない。新型コロナの感染防止対策でレジには仕切りが設けられ、マイバッグの中身を目視することが難しくなっていることも被害抑制の足かせとなっている。秋葉さんは「環境問題も大切だが、万引は店にとって無視できない大きな打撃だ」と話す。

「ルール普及が必要」

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 被害軽減に向けて、自治体の中にはマイバッグ利用時のルールを作る動きもある。

 平成21年に全県的にレジ袋の有料化に踏み切った福島県では《買い物中は折り畳んでおく》《レジが済んでから使う》などマイバッグのルールを周知。ポスターを作製するなどしてPRを続けている。

 NPO法人「全国万引犯罪防止機構」(東京都)によると、マイバッグを使った万引は、平成20年ごろから被害の報告が増加。近年、ネットオークションやフリーマーケットアプリなど、万引した商品を換金する手段が多様化したことも背景にあるようだ。

 令和元年版犯罪白書によると、平成30年の刑法犯の全検挙人数は20万6094人。うち万引犯は6万1061人で約3割を占めており、マイバッグの定着で増加も懸念される。

 元警視庁捜査1課長で全国万引犯罪防止機構事務局長の光真(みつざね)章氏は「コロナ騒ぎで一時的に万引の数は減ったが、7月から増えている。マイバッグ使用時のルールを広め、店と行政、警察が連携を図ることが重要だ」と強調した。

使い回し、感染リスクは?

 環境対策の一環としてマイバッグの使用が推奨される中、米国の一部の州では、新型コロナウイルス感染への懸念からマイバッグの使用を禁止する動きが出ている。繰り返し使用されることが多いマイバッグはコロナ感染のリスクを高めるのか。

 《毎回洗って消毒するわけでもなく何度も使って雑菌だらけ》《店員の感染の危険度が上がるのではないか》。インターネット上ではレジ袋の有料化を歓迎する声がある一方、使い回しのマイバッグの衛生面を不安視する声も相次ぐ。

 エフコープ生活協同組合(福岡県篠栗町)が平成28年に実施した調査によると、マイバッグを「洗ったことがない」という人は100人のうち半数以上に上った。さらに、付着した菌を調べたところ、約6割のマイバッグが不衛生な状態だったことが分かった。食中毒の危険もあることから、同組合は、洗濯やアルコール系の除菌スプレーで清潔を保つよう呼びかけている。

 ただ、新型コロナウイルスに関しては、マイバッグが「危険だ」という科学的な裏付けはない。東京医療保健大の菅原えりさ教授(感染制御学)は「レジ袋も店員が触るので、毎日持ち歩いているものと比べて感染リスクは変わらない。3密の回避や手洗いの徹底が重要だ」と話している。




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