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コロナ禍 経済直撃(2020年8月19日配信『福井新聞』-「論説」)

無策がさらなる悪化招く

 予想されたこととはいえこのまま新型コロナウイルス感染拡大に対する無策状態が続けば、さらなる経済の悪化を招きかねない。景気回復には抑止策を積み上げる以外にないはずだ。

 内閣府が発表した今年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前期比7・8%減、年率換算で27・8%減と戦後最悪のマイナス成長となった。一方、上場企業の4~6月期決算では純利益の合計が前年同期比53・7%減の4兆6757億円に落ち込んだことも分かった。全33業種のうち空運や鉄鋼など11業種が赤字という。

 4~6月期のGDPは世界で最もコロナ禍が広がる米国は前期比年率で32・9%減、欧州連合(EU)のユーロ圏19カ国が40・3%減といずれも歴史的なマイナスになっており、日本を含む世界的な景気悪化が改めて浮き彫りになった。

 日本は新型コロナの感染拡大を受け全国に緊急事態宣言が発令され、最大の柱である個人消費が前期比で8・2%減少したことが大きな押し下げ要因となった。外食や観光、レジャー、娯楽などが控えられ、小売店や宿泊、旅館業などに休業や営業短縮が広がった影響が如実に表れた。輸出が18・5%の大幅減と内外需総崩れ状態だった。

 この世界的な景気落ち込み、需要蒸発の直撃を受けたのが企業業績だ。とりわけ、移動制限などの影響が大きかった空運は純損益が2026億円、鉄道などの陸運は4327億円の赤字だった。自動車や鉄鋼メーカーをはじめ、百貨店、外食など幅広い業種で損益を計上する企業が相次いだ。赤字企業は約3割に当たる424社に上っている。

 7~9月期は大幅な落ち込みの反動でプラス成長が見込まれるというが、懸念されるのは東京など大都市圏を中心にコロナ感染が再拡大していることだ。米国をはじめ世界的な感染拡大の収束は今なお見通せず、経済活動の再開を大きく阻んでおり、景気の現状はさらなる下振れの恐れがあるといえるだろう。

 政府、日銀は引き続き政策対応が求められる。特に今後の悪化が想定される雇用安定に注力すべきで、9月末が期限の雇用調整助成金の延長は欠かせない。

 何より、景気浮揚に有効なのは感染抑止策であることを肝に銘じるべきだ。都道府県知事が地域や業種に絞った休業要請と補償などができるようコロナ特措法の改正を急ぐ必要がある。

 政府の感染症対策分科会が出した判断材料6指標も知事側に丸投げした格好だ。沖縄県ではほぼ全て最悪のステージに達しているのに政府や分科会は判断を示していない。経済優先で抑止策が後手に回る愚を繰り返してはならない。



GDP戦後最悪/再生への戦略を練り直せ(2020年8月19日配信『神戸新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大が日本経済にかつてないダメージを与えていることが裏付けられた。

 内閣府が発表した2020年4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で27・8%減のマイナス成長に陥った。落ち込み幅はリーマン・ショック後を超え、戦後最悪となる。

 政府が4~5月に出した緊急事態宣言で、経済活動がストップした影響が大きい。外出自粛や店舗休業でGDPの5割超を占める個人消費が著しく落ち込み、世界的な感染拡大で自動車などの輸出は滞った。渡航制限でインバウンド(訪日観光客)需要も消滅した。

 内需、外需とも総崩れの事態に、専門家は「過去に例を見ない危機」と警鐘を鳴らす。従来のような需要喚起策では十分な効果は望めそうもない。

 次の7~9月期は反動で持ち直したとしても、再び拡大傾向にある感染状況が影を落とす。収束の兆しが見えない中、秋以降に景気がさらに悪化する「二番底」も懸念され、先行きへの不安が高まっている。

 ワクチンや治療薬が開発されるまでは、人やモノの動きは制約が続く。政府は、検査体制強化などで感染拡大を食い止めつつ、遠回りでも着実に経済再生に向かう戦略を練り直す必要がある。

 今後危惧されるのは雇用情勢の悪化である。厚生労働省によると、新型コロナ関連の解雇や雇い止めは全国で4万4千人を超えた。特に非正規労働者や若者の新規採用へのしわ寄せは見過ごせない。

 個人消費を上向かせるには雇用と家計を守る手だてが不可欠だ。企業の休業手当に助成する雇用調整助成金の拡充は9月末に期限を迎えるが、延長は必須だろう。

 医療の逼迫(ひっぱく)を招かないよう、コロナ対応で経営状況が悪化した医療機関への財政支援も欠かせない。

 一方で政府は、観光支援策の「Go To」事業は継続する方針だが新たな感染拡大を招く恐れなどから効果を疑問視する声が上がる。

 中途半端にアクセルとブレーキを踏み続けることで、さらなる経済の下振れを招いては元も子もない。経済回復のためにも、今は感染抑止と困窮者支援に比重を置くべきではないか。これまでの対策を検証し、不要不急な支出を見直すこともためらってはならない。

 政府は第2次補正予算で、10兆円という異例の巨費を予備費として積んだ。これが有効に使われるには国会のチェックが欠かせない。

 速やかに臨時国会を召集し、安倍晋三首相が感染の現状認識と今後の方針を国民に示すべきだ。



戦後最悪のGDP減 コロナ禍前提で経済に目配りを(2020年8月19日配信『愛媛新聞』-「社説」)

 内閣府が発表した4~6月期の国内総生産(GDP)が、年率換算で27.8%減となり、リーマン・ショックを超えて戦後最悪のマイナス成長となった。

 予想されていたとはいえ、新型コロナウイルス禍が経済に与えた影響の大きさに衝撃を受ける。景気は政府の緊急事態宣言が全面解除された5月ごろに底を打ったとの見方もあるが、現在も感染の再拡大は続いており状況が悪化すれば「二番底」も懸念される。政府や企業は、雇用を守る取り組みや、新型コロナを前提にした経済活動の再構築を急がねばならない。

 緊急事態宣言が出された4~5月を中心に、幅広い業種の経済活動が人為的に止められた。外出自粛や店舗の休業などでGDPの5割超を占める個人消費が前期比8.2%の大幅減となったほか、世界的な感染拡大によって人やモノの往来が制限され、主力の自動車などの輸出が18.5%減となった。

 既に国内で出始めている影響の中で、最も懸念されるのが雇用だ。7月末には新型コロナに関連した解雇や雇い止めが4万人を超え、その後も増え続けている。特に非正規労働者ら弱い立場の人たちの失業は貧困につながるリスクが高い。緊急的な生活の支援も合わせ、政府や自治体の目配りが欠かせない。

 企業に対しても、政府は従業員に休業手当を支払った場合に支給する「雇用調整助成金」の特例措置について、9月末としていた期限を再延長する方向で検討している。とりわけ経営基盤が弱い中小企業の雇用維持は重要であり、公的な下支えを続けることが望ましい。

 新型コロナの感染対策と経済活動の両立が求められる中、悩ましいのは積極的な景気浮揚策を打ち出しづらい点だ。感染の再拡大で、東京が除外されるなど迷走した政府の観光支援事業「Go To トラベル」の例でも明らかだろう。

 国民が感染に不安を抱えたままでは、経済活動を広げていくのは難しい。医療現場の負担軽減に向けた軽症者の受け入れ体制の拡充や、窓口となる保健所の人手不足解消といった課題はまだ山積している。感染対策に安心感がなければ国民の消費行動にはつながるまい。政府は、対策の改善を不断に図らなければならない。

 感染の収束が見通せない中、政府が追加経済対策の発動を迫られる可能性も高いが、財政規律の視点を忘れてはならない。これまで2度編成した補正予算は全額を国債で手当てし、新規の国債発行額は2020年度全体で過去最大の90兆円強に上っている。歳出の過半を借金で賄う異例の事態だ。

 今、苦境にある家計や企業の救済策をためらうべきではないが、新型コロナの流行と景気停滞の長期化を視野に戦略を立てる必要がある。無駄な予算を徹底的に排し、景気回復への道筋をつけることが、政府に突きつけられた課題といえる。



GDP戦後最悪 経済再生への道筋を示せ(2020年8月19日配信『西日本新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルス感染拡大により日本経済が被った深刻な痛手が数字でも確認された。

 内閣府が発表した今年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比で年率換算27・8%減と戦後最大の落ち込みとなった。マイナス成長は3四半期連続である。

 これは4~5月に政府が緊急事態宣言を全国に出し、人の移動や企業活動を抑え込んだ結果だ。外出自粛や店舗の営業休止でGDPの過半を占める個人消費が大きく落ち込んだ。世界経済の急減速で輸出も激減した。

 日本以上の感染拡大に見舞われた米国や欧州でも、4~6月期の経済成長率が歴史的なマイナス幅を記録した。感染拡大防止を最優先する政策を各国が取ったためで、経済の縮小は織り込み済みといえる。

 日本の景気は最悪期を脱し回復途上にあるとみられるが、足元では感染拡大が再燃し先行き不透明感が強まっている。秋以降、景気は底ばいや二番底となる懸念もある。

 企業業績も悪化している。失業や収入の減少で不安を抱える人が少なくない。厳しい経営が続けば人員削減や採用抑制が加速しかねない。雇用や所得の減少が消費を冷え込ませる負のスパイラルに陥るのは何としても避けたい。

 政府には10兆円の予備費を活用し、中小・零細企業で働く人や個人事業主など弱い立場の人を支える対策を過不足なく講じてほしい。そのためには感染状況と経済・雇用の実態を正確に把握することが大切だろう。

 その上で政府に注文したいのは、この先の展望をきっちりと描くことだ。効果的なワクチンや治療薬が開発され広く行き渡るまで、コロナ禍を収束させるのは難しい。当面はウィズコロナが前提で、地方経済を潤わせた訪日外国人客(インバウンド)の回復にも時間がかかる。

 こうした環境下で日本経済をどう再生させていくか。政府と民間が一体となって実効性のある戦略を練る必要がある。

 これまでのコロナ対応で遅れが浮き彫りとなった社会のデジタル化も一つの切り口だ。中国や韓国、米国などに先を越された第5世代(5G)移動通信システムの基盤整備を前倒ししてはどうか。自動車の完全自動運転や建設重機の遠隔操作、遠隔診療など新たなサービスを生む土台となる。

 脱炭素社会実現に向けて再生可能エネルギーの導入拡大も鍵になる。洋上風力は裾野が広く成長産業と期待されている。エネルギーの地産地消が進めば、地域の活性化にもつながる。中長期的な視点で大胆なビジョンを描くチャンスだ。







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