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安倍首相の式辞 歴史の教訓なぜ触れぬ(2020年8月20日配信『東京新聞』-「社説」)

 安倍晋三首相は終戦の日の式辞で、先の大戦でのアジア諸国への「加害と反省」にも「歴史の教訓」にも言及しなかった。「負の歴史」にも向き合わなければ、国際的な信頼を損ねるのではないか。

 首相の歴史観、安全保障観がにじむ式辞だった。8月15日の終戦の日の「全国戦没者追悼式」。安倍首相は第1次内閣の2007年には「加害と反省」に言及したが、第2次内閣の13年以降、今年も含めて8回連続で触れていない。

 昨年までは「歴史と謙虚に向き合う」「歴史の教訓を胸に刻む」などと歴史に言及していたが、今年はそれすらない。

 天皇陛下のお言葉に今年も「過去を顧み、深い反省」との表現が盛り込まれたのとは対照的だ。

 首相は5年前の戦後70年談話で「歴史」という文言を5回も使い、正面から向き合う姿勢を示していたが本心ではなかったのか。

 代わりに今年は「積極的平和主義」という文言が唐突に登場し、「世界が直面しているさまざまな課題の解決に、これまで以上に役割を果たす決意」を表明した。

 積極的平和主義は、15年に策定された「国家安全保障戦略」に盛り込まれた安倍首相の外交・安保戦略であり、改憲で自衛隊を憲法に明記し、その軍事的役割を拡大させようという首相の政治的意図を含む文言でもある。

 そうした政治的な文言を、「戦没者を追悼し平和を祈念する」終戦の日に、わざわざ表明したことには違和感を覚えざるを得ない。
 終戦の日には高市早苗総務相、小泉進次郎環境相ら閣僚4人が靖国神社に参拝した。終戦の日の閣僚参拝は四年ぶりで、4人は安倍内閣で最多。16日には西村康稔経済再生担当相も参拝した。

 極東国際軍事裁判(東京裁判)のA級戦犯が合祀(ごうし)される靖国神社参拝は、侵略戦争を肯定していると受け取られかねない。韓国政府は「深い失望と憂慮」を表明し、中国メディアも批判的に伝えた。

 戦後50年の「村山談話」や60年の「小泉談話」は先の戦争を巡って「痛切な反省と心からのお詫(わ)び」を表明、70年の安倍談話も継承した。こうした歴代内閣の姿勢が、国際的信用につながったことを忘れてはならない。

 戦争を知らない戦後生まれが8割を超え、戦争の体験や教訓を後世に語り継ぐことは重い課題だ。

 だからこそ、歴史と謙虚に向き合い、教訓を伝える必要性に折に触れて言及することこそが、首相ら政治指導者の職責である。




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Author:gogotamu2019
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