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行政の要請でコロナ受け入れで赤字 医師「最前線で闘って収入減は許されるのか」(2020年8月20日配信『AERA.com』)

小長光哲郎,井上有紀子

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新型コロナウイルスに対応すれば、業務量は増える。だが、必ずしも収入は増えるわけではなく、経営的に逼迫する病院もあるという(撮影/写真部・東川哲也)

 新型コロナウイルス対応と、患者たちの受診控えが医療機関の経営を直撃している。AERAが医師1335人への大規模アンケートや専門家、現場の医師らに取材を行うと、さまざまな課題が見えてきた。AERA 2020年8月24日号から。
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 新型コロナウイルスの感染拡大で医療機関の状況が変わるなか、行政の指示による混乱もある。

 東京都立川市の立川相互病院は、現在専用病棟の15床で入院患者を受け入れている。さらに、肺炎などの発熱で入院する患者のみを収容する発熱患者観察専用病棟(疑い病棟)を別に置き、常に5人から10人程度の入院患者を受け入れている。感染拡大初期からPCR検査や診療に協力してきたが、コロナ入院患者が減ったため、5月末には臨時に設けていた新型コロナの専門病棟を閉鎖、元の準集中治療室に戻した。

 だが、6月29日、都から7月1日までにコロナ病床の開設を求める要請が届いた。山田秀樹副院長は、「病棟の再改修や看護体制の増員配置、勤務の組み替えなどがあり、病床は簡単には用意できない。なのに、都からは連日、病棟は用意できたかと電話があった」と話す。

 7月6日、専門病棟を再び開設したが、疑念は晴れない。

「7月1日分から、コロナ病床が空いている場合、都が補正予算で補償を出すんです。でも、遅れた日数分は補填料を出さないと、我々の足元を見るような言動もあった」(山田副院長)

 そこまで対応しても、経営は苦しい。感染を恐れた一般患者の受診控えと患者を受け入れる費用で赤字に追い込まれた。4月の収入が予算と比べて9700万円減、5月は1.1億円減だ。新型コロナに対応しているから、「お宅の病院には入院したくない」と言われたこともある。手術や内視鏡検査、検診もなくなり、外来は3割減、手術は5割減だ。

 患者を受け入れるための費用も膨大だ。

「コロナ専用病棟を作り、改修費用などで総額2400万円。専用病棟の清掃、病棟をゾーニングするためのアクリル板の壁の設置、空気清浄機も購入しました」(同)

第2波に備え、福祉医療機構から無利子融資3億円を借りたが、返済計画を立てようにも収支の予測ができない。国の第2次補正予算にも不満がある。

「重症・中等症患者の入院の診療報酬を3倍にする措置ですが、多くの中小病院は軽症者を受け入れるのが役目なので、実はメリットがない。当院でも受け入れた陽性者39人のうち、重症は2人で、中等症5人、軽症は32人。重症者も中等症が悪化したために診ていたものです」(同)

 埼玉協同病院院長で全日本民主医療機関連合会の増田剛会長は言う。

「民間病院は赤字でも公的な補助金がない。ただでさえ厳しい経営状況にある中小の民間病院は特に、新型コロナの影響で資金が不足し、倒産の危機にも直面している。このままでは地域医療が崩壊します」

 医師アンケートでは、所属する医療機関のコロナ対応の有無を問わず、経営難や資金不足、給与減やボーナス減の声が寄せられた。

 患者が減り仕事が減ったという医師もいるが、より深刻なのは、最前線で葛藤する医師の声だろう。

「最前線で闘って、収入が減ることは許されるのでしょうか」(発熱外来などを設けている医療機関の医師/東京都/勤務医/代謝・内分泌科/30代/男)
「医療は医療者の良心でギリギリ成り立っている。これ以上の負担は無理」(感染患者を受け入れている医療機関の医師/神奈川県/勤務医/一般内科/30代/男)
「全く割に合わない。医療崩壊が迫っていることを、理解すべきです」(感染患者を受け入れている医療機関の医師/神奈川県/勤務医/集中治療科/40代/男)

(編集部・小長光哲郎、ライター・井上有紀子)

※AERA 2020年8月24日号より抜粋



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