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感染米兵沖縄移送案 秘密裏の受け入れ許すな(2020年8月21日配信『琉球新報』-「社説」)

 航行中に新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した米海軍の原子力空母セオドア・ルーズベルトの約3千人の乗組員を、沖縄の米軍基地に移送する計画を米軍が検討していたことが分かった。最終的に乗組員はグアムで下船することになったが、撤回されたからといって済まされる話ではない。

 感染症の陽性者を含んだ大規模の集団を他国の領土に運び込むなど、到底受け入れられるはずがない選択肢だと発想した段階で分かるはずだ。沖縄を自国の領土のように自由に使用できるという米軍の認識が見て取れる。それを助長しているのが米軍の姿勢を追認してきた日本政府の弱腰にほかならない。

 沖縄への乗組員移送を計画したことについて、日本政府は米軍の意図を正さなければならない。米軍経由で感染症が持ち込まれることがないよう強く抗議する必要がある。

 米海軍の調査報告書によると、ルーズベルトはベトナムからグアムに向けて西太平洋を航行中の3月24日に、乗組員3人の新型コロナ感染が判明した。第7艦隊司令部が乗組員の隔離場所を検討し、沖縄にある普天間飛行場や海兵隊基地に計3千室を確保できると試算。空母から沖縄に空路で乗組員を運ぶ計画を直前まで進めていたという。

 ルーズベルトから沖縄への乗組員移送が実施されていれば、日本政府の了承なしに受け入れが進められていた可能性があった。
 日米地位協定9条は米軍関係者に出入国に関する特権を認めており、日本の検疫を免除された米軍の部隊は、米軍機で直接日本各地の基地に入っている。

 どんなに県や国がウイルスが入り込まないよう水際阻止を図っても、米軍基地の存在が感染症対策の穴になってしまう。米軍は当初、県内での感染者数さえ公表しないなど、入国から基地内の感染状況、医療体制など全てがブラックボックスとなっている。

 ルーズベルトでの集団感染は、全乗組員約4800人の約4分の1に当たる1248人が感染、1人が死亡した。

この中から3千人もの米兵が沖縄に上陸していれば、基地の外まで感染を広げ、沖縄社会に深刻な事態をもたらしていた可能性が高い。米軍基地内での感染拡大が一つの要因となっている現在の県内での感染状況を見れば、それは容易に想定できる。

 海軍の報告書から、米軍内の感染者を受け入れる場所として沖縄を組み込んでいることが読み取れる。乗組員の移送を計画する際、日本政府や沖縄県との事前協議や検疫について検討している様子はない。治外法権的な振る舞いを許している。

 今のままでは、在沖米軍基地以外からの感染者の受け入れが秘密裏に行われてしまう恐れがある。沖縄移送案を二度と許さないために、毅然(きぜん)とした対応が必要だ。



[感染米兵移送計画]犠牲強いる構図浮かぶ(2020年8月21日配信『沖縄タイムス』-「社説」)

 狭い島空間に集中する米軍基地は、平時有事を問わず、そこに住む人々に大きな負担と犠牲を強いる。時に、思いもよらない問題を引き起こすこともある。新型コロナウイルスの感染拡大がそうだ。

 爆発的感染が問題となった米原子力空母セオドア・ルーズベルトで、当初、陽性者を含む3千人以上の乗組員を、県内の米軍基地に移送する計画があったことが明らかになった。

 米海軍の報告書によると、西太平洋を航行していたルーズベルトから初の感染者が出たのは3月24日。隔離場所の検討を始めた第7艦隊司令部(神奈川県横須賀市)は、県内の普天間飛行場や海兵隊基地に計3千室確保できると試算した。

 4月1日、米領グアムの知事が受け入れを表明したことから結果としてグアムで下船したが、直前まで空母から沖縄に空路で運ぶ計画を最優先で検討していたという。

 第7艦隊司令部の上部組織である太平洋艦隊司令部が、沖縄までの移動時間や日本政府との関係複雑化を懸念し撤回したとされる。

 ルーズベルトの感染者は、最終的に乗組員の約4分の1にあたる1248人に膨らんだ。

 米軍にとっては合理的な判断の一つだったのだろう。だがもし実行されていれば、県民の不安と不満が爆発したかもしれない。

 基地が集中しているということは、このような事態を引き起こしかねない危うさを抱えていることでもある。 

■    ■

 報告書は、日米政府間での事前協議や調整には触れていない。外務省関係者は「計画段階であり、打診はなかった」と答えている。

 しかしだからといって、「はいそうですか」で済まされる問題ではない。

 仮にグアムが受け入れなければ日米地位協定が規定する「排他的使用権」によって、米軍は県民の頭越しに乗組員を移送したのではないか。

 もとから日本政府は米軍に注文を付け、訓練などに制約を課すことに消極的だ。県の担当者も「県への報告義務はなく、搬送されても把握できなかったかもしれない」と話している。

 感染症対策で重要なのは、情報の積極的開示と、米軍、政府、県の連携体制の構築である。 

 今回は撤回されたが、県民が声を上げ、経緯をただし、日米双方に現状の改善を求めていくことが必要だ。

■    ■

 20日時点で在沖米軍関係者の感染は355人に上る。

 PCR検査の義務付け決定は最近のことで、地位協定により日本の検疫を免除されている米軍人が、水際対策の抜け道になっているとの指摘は以前からあった。基地のロックダウンも徹底されず、情報開示も十分とはいえない。

 日米両政府は2013年の合同委員会で感染症の発生に際し協力して対応することを確認している。

 沖縄は今も「感染まん延期」にある。これを機に連携体制を点検し、あり得るかもしれない次の流行に備えるべきだ。



米海軍 感染兵ら沖縄移送を計画(2020年8月21日配信『しんぶん赤旗』)

今年3月 横須賀、厚木も検討
日本政府の頭越し


 今年3月、新型コロナウイルスの感染爆発が発生した米原子力空母セオドア・ルーズベルト(TR)をめぐり、米海軍は4千人を超える感染者や乗組員の大半の移送先として日本国内を検討し、沖縄県の米海兵隊基地への移送を計画していたことが、米海軍の調査報告書で明らかになりました。報告書によれば、米第7艦隊は今年2月時点で、TR打撃群に感染者が出た場合の寄港地として、沖縄県のホワイトビーチや神奈川県の横須賀基地、グアムを列挙していました。

 TRは3月5日~9日にかけてベトナム・ダナンに寄港後、24日に3人の感染を確認。第7艦隊は25日、沖縄に加え、神奈川県の厚木基地とグアムを移送先として検討。在沖縄米海兵隊は26日、5000室を隔離室として提供できると提案しました。

 さらに27日の米軍内の会議では、沖縄に3000室、厚木に移送可能な部屋が400~600床あることが示されました。

 TRは27日、グアムに寄港しましたが、感染者が急増。宿泊施設が足りないため、第7艦隊は28日、乗組員の沖縄への空輸計画の作成を命じ、沖縄の普天間基地など、複数の在沖縄海兵隊基地の宿舎を空けるよう求めました。米軍は並行して、ホテル確保をめぐってグアム州知事と協議を行う一方、日本政府や沖縄県には一切、打診を行っておらず、頭越しに移送計画を進めていました。

 最終的に、太平洋艦隊司令部は29日、沖縄までの9時間の空輸による感染拡大のおそれや、日本政府との関係を複雑にすると判断。同計画を却下しました。TR乗組員の感染者は最終的に1248人に達し、1人が死亡しています。






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