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3度目の秋元議員逮捕に関する論説(2020年8月22日)

秋元議員再逮捕/乏しい順法精神即刻辞職を(2020年8月22日配信『河北新報』-「社説」)

 日本でカジノを解禁する統合型リゾート施設(IR)事業に絡む汚職事件で収賄罪で起訴された衆院議員秋元司容疑者(自民党を離党)が、今度は組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の疑いで、東京地検特捜部に再び逮捕された。

 贈賄罪で起訴された中国企業側に裁判でうその証言をするよう依頼し、報酬の提供を持ち掛けたとされる。

 業者から賄賂を受け取った上に、保釈中で裁判を待つ身でありながら、その公正さをゆがめようとした疑いを持たれていることになる。事実だとすれば、順法精神が著しく欠けていると言わざるを得ない。議員を即刻辞職するべきだ。

 秋元容疑者は、IR事業に関心を持っていた中国企業側から計約760万円相当の賄賂を受け取ったとして2回逮捕、起訴された。当時、IRを所管する内閣府副大臣だった。起訴内容を全面否認し今年2月に保釈され、議員活動を再開していた。

 起訴内容によると、中国企業の元顧問2人が2017年9月、議員会館の事務所で現金を秋元容疑者に渡したとされる。

 秋元容疑者は面会そのものを否定しているが、贈賄罪で起訴された元顧問の1人は現金授受を認めている。特捜部は自らの主張に沿うように元顧問に証言を変えてもらうため、支援者を通じて働き掛けたとみている。

 証人買収事件で特捜部は今月4日、秋元容疑者の支援者ら3人を逮捕した。関係者によると、支援者の1人は秋元容疑者に頼まれたと供述しているという。しかし、秋元容疑者は今回の逮捕前の取材に「関係ないのに、なんでこんなことになるのか分からない」と関与を否定した。

 一方で保釈後、この支援者と複数回食事をしている。「裁判の具体的な話はしなかった」と釈明しているが、にわかには信じ難い。
 秋元容疑者は自民党を離党したが、派閥の二階派には特別会員として在籍している。保釈後に会合に出席した際は「党に迷惑を掛けた。無罪を勝ち取りたい」とあいさつ。派閥を率いる二階俊博幹事長は「説明責任を果たし、頑張りなさい」と励ましたという。

 同志とはいえ迷惑を掛けたのだから、派閥の代表として、自らの潔白を証明するまで縁を切って裁判に集中させるのが筋だろう。甘い処遇を許した二階幹事長の責任も大きい。

 政府が観光立国の旗頭として推進してきたIR整備計画は暗礁に乗り上げている。

 秋元容疑者の一連の逮捕でイメージが悪化している上に、新型コロナウイルスの感染拡大で撤退を表明する海外のカジノ事業者も出ている。

 ただでさえ、ギャンブル依存症患者の増加や治安の悪化を懸念する声は根強い。政府はIR整備の見直しを検討するべきだ。

3度目の秋元議員逮捕 司法ゆがめる容疑に驚く(2020年8月22日配信『毎日新聞』-「社説」)

 衆院議員の秋元司容疑者が裁判の証人を買収しようとした疑いで逮捕された。カジノを含む統合型リゾート(IR)事業を巡って収賄罪で起訴され、保釈中だった。

 贈賄側の被告に対して、公判で虚偽の証言をするように依頼し、見返りに現金を渡そうとした疑いが持たれている。

 秋元議員は逮捕される前、関与を否定していた。だが、容疑が事実とすれば、現職の国会議員が公正であるべき刑事裁判をゆがめようとしたことになる。前代未聞のゆゆしき事態である。

 逮捕容疑となった証人等買収罪は、組織犯罪処罰法に規定されている。国際的な組織犯罪を防止する条約の締結に必要だとして、3年前に新設された。その初適用が政治家の汚職事件に関するものになった。

 これで秋元議員の逮捕は3度目だ。野党から、議員辞職を求める声が上がるのは当然だろう。

 汚職事件で秋元議員は、IR担当の副大臣を務めていた際に、事業参入を狙う中国企業の元顧問らから、計約760万円相当の賄賂を受け取ったとして起訴された。

 議員会館であったとされる現金の授受を否定し、全面的に無罪を主張している。

 今回の証人買収事件では、これまでに会社役員ら3人が逮捕された。会社役員は支援者で、その供述などから秋元議員が指示していた疑いが浮上したという。

 賄賂の提供を認めている元顧問の証言は、検察側の立証の大きな柱だ。それを翻させれば無罪判決を得られると考えたというのが、この事件の構図である。

 元顧問には、はじめに1000万円、次に2000万円もの提供を持ちかけていたとされる。巨額の報酬を提示してまで、偽証工作をしようとした目的は、それだけだったのか。東京地検特捜部には徹底した解明が求められる。

 IR汚職事件は、カジノを取り巻く不透明なカネの流れや利権を生む構造を浮き彫りにした。証人買収事件では別に、コンサルタント会社経営者の関与も浮かんでいる。闇はさらに深まっている。

 元顧問ら贈賄側の公判が来週から始まる。一連の事件の経緯や背景が、法廷で明らかにされなければならない。



IR証人買収 裁判の公正を害する行為だ(2020年8月22日配信『読売新聞』-「社説」)

 汚職事件で起訴された国会議員が、保釈中に裁判の証人を買収しようとした疑いが浮上した。前代未聞の事態で、事実とすれば、司法の公正をゆがめる言語道断の行為である。

 カジノを含む統合型リゾート(IR)事業を巡り、収賄罪で起訴された秋元司衆院議員が、今度は組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。逮捕は3回目だ。

 汚職事件で秋元被告は、内閣府のIR担当副大臣だった2017~18年、事業への参入を目指す中国企業の元顧問らから、議員会館などで総額約760万円相当の賄賂を受け取ったとされる。

 今回は支援者らと共謀し、「議員会館で会っていない」と裁判でウソを言うよう、贈賄側に働きかけた疑いが持たれている。

 贈賄側が起訴事実を認めている一方、秋元被告は全面否認している。贈賄側を買収して裁判を有利に進めようとしたのであれば、悪質な隠蔽いんぺい工作と言うほかない。

 特捜部は、秋元被告が買収を主導したとみている。徹底した捜査で真相を解明してほしい。

 支援者らは、ウソの証言をする報酬として、贈賄側に現金計3000万円を渡そうとした容疑で逮捕されている。買収資金は賄賂額を大きく上回る。資金の出所の解明が捜査のポイントになろう。

 事件の関係者が口裏合わせをするのは、珍しくはない。だが、主張が対立する相手にウソの証言を頼み、現金まで提供しようとするなど、聞いたことがない。露見するリスクの高い行為に及んだ経緯を明らかにせねばならない。

 秋元被告は起訴後すぐに保釈され、支援者らと面会を重ねた。保釈は妥当だったのか。裁判所は近年、積極的に保釈を認めている。裁判員裁判の導入で国民の目を意識し、勾留の必要性を厳しく判断するようになったためという。

 一方、日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告が保釈中に海外逃亡するなど、トラブルも目立つ。逃亡や証拠隠滅の恐れがないか、厳格に見極めてもらいたい。

 IR事業は、今回の汚職事件と新型コロナウイルスの流行で暗礁に乗り上げている。ギャンブル依存症や治安悪化への懸念も拭えず、実現は容易ではあるまい。

 秋元被告は自民党を離党したが、議員は続け、保釈中に委員会で質問もした。推定無罪の原則があるとはいえ、重大な疑惑を抱えた議員に質問の機会を与えたのには首をかしげざるを得ない。国会の権威を疑わせる光景だ。



やりたい放題(2020年8月22日配信『日本経済新聞』ー「春秋」)

「ゴッドファーザー」「アンタッチャブル」「バラキ」……。いずれも名画である。共通点は、実話をちりばめたマフィアの物語。組織のボスたちは当局の訴追を逃れようと、実に荒っぽい仕事をする。裁判官・陪審員の買収や恐喝、証人の口封じなどやりたい放題だ。

▼組織犯罪にどう対処すべきか。今も昔も切実な問題だ。3年前を思い出していだたきたい。「テロ等準備罪」の当否で大もめにもめた末、改正組織犯罪処罰法が施行された。今夏開かれるはずの東京五輪のテロ対策を強化できる、と政府は胸を張ったものである。その改正法に同時に盛り込まれたのが「証人等買収罪」だ。

▼刑事事件でうその証言を働きかけ、対価を支払うことを禁じた。この条文が初めて適用されたのはテロリストでもマフィアでもなく現職の国会議員だった。自身が起訴されたカジノを含む統合型リゾート(IR)を巡る汚職事件で贈賄側の被告に虚偽の証言をする報酬として、1千万~2千万円の提供を持ちかけたという。

▼選ばれた優秀な人。「選良」なる言葉が辞書にある。国会議員の美称だが、死語だろう。カジノに関連し札束を受け取り、今度は札束で司法手続きの公正を踏みにじろうとする。さながらマフィア映画の一場面のよう。組織犯罪処罰法とは――。政党という組織の構成員の悪事を裁く手段である。そう考えると、得心する。



秋元議員の逮捕 保釈は厳格な判断必要(2020年8月22日配信『産経新聞』ー「主張」)

 放置すれば、公正な公判が大いに妨げられる可能性があった。改正組織犯罪処罰法に新設された「証人等買収」の規定や保釈のあり方について厳格な運用を求めたい。

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件の収賄罪で起訴されている衆院議員の秋元司被告が保釈中、贈賄側に虚偽の証言をするよう依頼し、現金供与を申し込んだとして、組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。

 特捜部は先に、汚職事件の秋元容疑者の公判で同容疑者の有利になるよう贈賄側に虚偽証言を持ち掛けたとして支援者ら3人を逮捕していた。秋元容疑者は昨年12月に汚職事件で逮捕、起訴された後、今年2月に保釈された。同容疑者には保釈後に支援者らと面会し、虚偽証言の依頼や現金提供を共謀した疑いがある。

 証人等買収罪は平成29年、組織犯罪処罰法が改正された際に「テロ等準備罪」とともに導入された。司法妨害を防ぐことを目的とし、虚偽証言や証拠隠滅の報酬として金銭を提供する行為を処罰対象とする。相手が受領しなくても提供を申し込めば対象となる。今回はその最初の適用であり、典型的な事例である。

 また保釈が認められるのは、逃亡や証拠隠滅の恐れが高くない場合に限られる。だが現実に、秋元容疑者は保釈中に虚偽証言を求めたことが疑われている。

 特別背任などの罪で起訴された日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告が保釈中に海外へ逃亡したことも記憶に新しい。

 裁判所は近年、保釈を積極的に認める傾向を強めている。全国の地裁、簡裁が保釈を許可する割合は、20年の14・4%から29年には31・3%に倍増した。保釈中の被告が新たな事件に関与する事例も相次いでいる。

 特に、保釈中に関係者に強い影響力を行使する可能性が疑われる政治家や企業経営者、反社会的勢力の幹部らには保釈要件を厳格化すべきである。これだけ悪(あ)しき前例が続いているのだから、目を覚まさなくてはいけない。

 自民党にとっては、公選法違反(買収)の罪で起訴された河井克行前法相夫妻に続く事件だ。「離党しているから」ではすまされまい。毅然(きぜん)とした対応ができなければ支持者からも見放される。



秋元議員再逮捕 司法を愚弄する行為だ(2020年8月22日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 事実なら国会議員として言語道断である。

 秋元司衆院議員が証人買収の疑いで逮捕された。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡り、参入を目指した中国企業から賄賂を受け取り便宜を図ったとして、収賄罪で既に起訴されている。

 今回は自身の裁判を有利に進めるため、支援者らと共謀。贈賄側の中国企業の元関係者に虚偽の証言を働きかけ、報酬として3千万円の供与を申し込んだ疑いだ。

 収賄事件では、中国企業側が議員会館の事務所で秋元議員に面会して、現金300万円を手渡したとされる。

 秋元議員は一貫して無実を主張し、面会の事実を否定している。それに合わせるように、中国企業の元関係者に「議員会館で会っていない」と裁判で証言するように頼んだとされている。

 収賄だけでも国会議員の公平性と信頼性をおとしめる。今回の逮捕容疑が事実なら、カネの力で真実をねじ曲げ、裁判で無実を勝ち取ろうと画策したことになる。司法を愚弄(ぐろう)している。

 秋元議員はIR汚職で2回逮捕された後、2月の起訴後に保釈され、議員活動を再開していた。

 東京地検特捜部が立件した汚職事件で、起訴直後の保釈は異例だった。東京地裁は逃亡や証拠隠滅の恐れは低いと判断し、衆院議員の立場も重視したとみられる。

 否認する被告を長期間拘束することは、海外からも「人質司法」として批判されている。裁判所の保釈判断は柔軟化が進んでおり、秋元議員の保釈もその流れを受けた判断とされる。

 今回の秋元議員の証人買収容疑は、裁判所の信頼を裏切り、今後の判断にも影響を与えかねない。

 秋元議員は証人買収についても関与を否定している。特捜部は慎重に裏付け捜査を進め、事実を解明していく必要がある。

 秋元議員は収賄事件当時、IR担当の内閣府副大臣と、観光施策所管の国土交通副大臣を兼務していた。逮捕後に自民党を離党したものの、党の二階派には特別会員として名を連ね、会合に参加するなどしていた。

 実質的には自民党議員として活動していたといえる。野党は即時議員辞職を求め、衆院に辞職勧告決議案を提出する動きもある。自民党の今後の対応と、安倍晋三首相の任命責任が改めて問われる。

 臨時国会を早急に開き、与野党で対応を協議する必要がある。カジノ利権を巡る事件の背景も解明していくべきだ。



秋元議員再逮捕 IR整備への懸念さらに(2020年8月22日配信『新潟日報』-「社説」)

 収賄罪で起訴された国会議員が自身の裁判を有利に進めるため、うその証言をするよう働き掛け、多額の現金提供を持ち掛けた。逮捕容疑が事実とすれば、あきれるほかない。

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件に絡み、東京地検特捜部は20日、組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の疑いで衆院議員秋元司容疑者を再逮捕した。

 秋元議員は今年初め、IR事業参入を目指す中国企業「500ドットコム」側から利益供与を受けたとして、収賄罪で起訴された。IR担当の内閣府副大臣を務め、利益供与は副大臣在職中だった。

 贈賄側は起訴事実を認めたが秋元議員は否認している。

 今回は贈賄側に裁判で虚偽の証言をする報酬として計3千万円を渡そうとした疑いが持たれている。裁判を控えた国会議員が不正工作の疑いで再度逮捕されるという前代未聞の事態だ。

 再逮捕を受け「事実なら、公正な司法プロセスをゆがめる重大な罪」「刑事手続きに対する、あってはならない挑戦」との批判が与野党から上がり、「議員辞職すべきだ」との声が広がった。当然だろう。

 特捜部は、贈賄側に虚偽証言を依頼した秋元議員支援者の会社役員を、8月上旬に逮捕。秋元議員は2月に保釈され議員活動を再開して以降、役員と面会を重ねた疑いが持たれている。

 会社役員は「秋元議員から頼まれた」と供述しているといい、議員が主導した疑いがあるとみている。秋元議員は関与を強く否定している。厳正な捜査で真相を究明してもらいたい。

 秋元議員は汚職事件で自民党を離党しているが、二階派の特別会員となっている。そうした処遇は妥当だったのか。

 今回の秋元議員の再逮捕は、IR事業に対する国民の疑念をさらに深めたのではないか。

 既に汚職事件は、IR事業に大きな影を落としている。

 政府は最大3カ所のIR整備地域を決める際の選定基準などを示す基本方針を当初1月に決めることとしていたが、事件に配慮して先送りされたままだ。

 そこに新型ウイルスの感染拡大という新たな逆風が吹いた。

 カジノ事業者がウイルス禍で業績を落とし、撤退を表明する事業者も出て、誘致を目指す自治体の準備は停滞している。

 大阪府・市の誘致手続きは遅れ、2026年度末の全面開業時期は遅れる可能性がある。横浜市は、IRの要件を定める実施方針の公表を2度延期した。

 カジノ施設が3密を招くリスクもある。観光客が増えるといった経済効果が強調されてきたが、訪日外国人客の回復は見通せない状況だ。

 安倍政権はIRを「成長戦略の目玉」と位置付けてきたが、ギャンブル依存症や治安の悪化などが懸念されてきた。

 IR事業の優先順位は明らかに下がった。推進してきた経緯の検証が必要との声もある。政府や自治体は、整備が本当に必要か改めて議論すべきだ。



秋元議員再逮捕/公正さゆがめる金と疑惑(2020年8月22日配信『神戸新聞』-「社説」)

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件は、前代未聞の証人買収事件に発展した。

 汚職事件の収賄罪で起訴された秋元司衆院議員が、今度は自らの裁判を有利に進めるため贈賄側の買収工作に関与したとして組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の容疑で東京地検特捜部に再逮捕された。

 支援者だった会社役員らと共謀し、贈賄側の被告に虚偽の証言をする報酬として現金計3千万円の提供を持ち掛けた疑いが持たれている。

 秋元容疑者は、IR事業を担当する内閣府副大臣を務めていた2017~18年、中国企業側から計約760万円相当の賄賂を受け取ったとして2回逮捕、起訴された。逮捕はこれで3度目だ。

 今回は2月に保釈され、議員活動を再開した後の容疑である。本人は一貫して無実を訴えているが、先に逮捕された会社役員らは秋元容疑者に頼まれたと供述している。議員会館で秋元容疑者と会い現金を渡したとする起訴内容を、裁判で否定するよう依頼したという。

 潔白を主張しながら、裏では不正をもみ消すために買収工作を画策していたことになる。政権の目玉政策に汚点を残したばかりか、裁判の公正さをも金の力でねじ曲げようとする悪質極まりない行為である。

 事実であれば、国民に対する重大な裏切りだ。これ以上、議員の職にとどまるべきではない。

 秋元容疑者は日本でのIR整備の必要性を積極的に発信し、さまざまな業界に幅広い人脈を築いた。一方で、反社会的勢力すれすれと疑われるような人物との付き合いがあったとも指摘される。

 証人買収の原資は何か、議員本人がどこまで関与していたか、汚職事件の全容とともに徹底的な捜査で真相を解明する必要がある。

 安倍晋三首相や自民党も人ごとでは済まない。秋元容疑者は最初の逮捕後、自民党を離れたが、二階派の特別会員として会合などに参加していた。党総裁であり、副大臣に任命した首相の責任も厳しく問われる。

 野党は辞職勧告決議案を出す意向を示している。自民党としても議員辞職を促すべきだ。併せて、党としての対応に甘さがなかったかをしっかり検証する必要がある。

 事件の温床となったIR事業そのものも揺らいでいる。安倍政権は成長戦略の柱と位置付けるが、ギャンブル依存症や治安の悪化など生活環境への影響を懸念する声は根強い。

 コロナ禍で経営環境が不透明になり、海外事業者が日本の事業から撤退する動きも出てきた。

 IRによる地域振興の妥当性について、改めて見極める時だ。



秋元議員再逮捕 IR見直し避けられぬ(2020年8月22日配信『中国新聞』-「社説」)

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、収賄罪で起訴されて保釈中だった衆院議員の秋元司容疑者が、今度は組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の疑いで、東京地検特捜部に逮捕された。

 既に贈賄罪で起訴された中国企業の元顧問に、裁判でうその証言をするよう依頼し、報酬の提供を持ちかけたとされる。

 事実であれば極めて悪質であり、国民に対する大きな裏切りだ。保釈中の国会議員が再逮捕されるのは異例である。これ以上、国会議員の職にとどまり続けるべきではない。

 今回の逮捕容疑は、支援者だった会社役員らと共謀し、贈賄側の中国企業の元顧問に虚偽の証言をする報酬として計3千万円の供与を申し込んだ疑いである。無罪を主張しているのに、どういうことなのだろう。

 秋元容疑者は逮捕前の取材に対し、関与を否定していた。しかし偽証を依頼した贈賄側への報酬として現金1千万円を自ら用意した疑いが持たれている。特捜部は議員本人が買収に主体的に関与した可能性があるとみて調べている。

 贈収賄事件の裁判を控えた国会議員が、自分の審理を有利に進めるため、不正工作を働いていたとすれば到底許されない。真相を徹底解明してほしい。

 秋元容疑者は2017~18年にIR事業を担当する内閣府副大臣を務め、法整備を進めた一人だった。「観光立国」を掲げる日本でのIR整備の必要性を積極的に発信していた。2月に保釈された際の条件では多数の関係者との接触が制限されたが、夜の会食に積極的に参加するなど脇の甘さも指摘されていた。

 IR整備法はそもそも、カジノに対し、賭博罪の適用外にする特権を与えるに等しい。参入を目指す企業が近づいてくることは容易に想像できる。それだけに法整備に関わる国会議員には清廉潔白な振る舞いが求められるはずだ。秋元容疑者はそれにふさわしかったのだろうか。

 今回の一連の汚職事件で、IR事業推進の大きな課題がよりはっきりしたといえる。かねてギャンブル依存への根本的な対策も示されていない。今回の事件で、事業者の公正な選定にも疑問が残ることになった。

 さらに新型コロナウイルスの感染拡大で、日本政府が掲げる「観光立国」そのものの先行きが不透明になっている。政府はIR整備の意義や選定基準などを盛り込んだ「基本方針」を1月中に決めるとしていたが先送りされ、時期の見通しも立っていない。カジノ事業者を取り巻く状況も一変している。そのため大阪府・大阪市や横浜市などIRの誘致を目指していた自治体も計画を進められずにいる。

 コロナでIR整備事業の優先順位も下がる現状で、数々の問題に目をつぶって事業を前に進めるわけにはいくまい。いったん立ち止まり、根本から考え直すべきときではないか。

 安倍晋三首相はかつて秋元容疑者を副大臣に任命した者として「事態を重く受け止めている」と述べた。改めて任命責任が厳しく問われよう。離党したとはいえ、秋元議員は自民党に所属していた。党総裁としての責任も免れまい。

 一刻も早く国会を開き、IRを推進してきた経緯も含めて検証する責任が首相にはある。 



立ちどき(2020年8月22日配信『佐賀新聞』-「有明抄」)

 小判の楕円(だえん)形は米俵を模したとも、金の延べ板の名残ともいわれる。〈小判は口のふたにするかたち也(なり)〉とは、江戸の川柳子の見立てである。口をつぐませるのに、これほど都合のいいものはない、ということだろうの川柳子の見立てである。

◆カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職は、どうやら証人の口にふたをしなければ、無罪の証しだてができなかったと見える。古今東西、ギャンブルにはここで終わりという区切りがなく、ゲームが際限なく続いていく。負けないうちにやめる「立ちどき」が大事というが、その見極めは難しい。負けが込んでいるのに、なお勝負を挑む…保釈中の工作が事実なら、そんな姿が思い浮かぶ

◆外国人観光客を当て込み、地方創生の目玉だったIR誘致も汚職事件に加え、コロナ禍で行き詰まっている。事業者の認定基準など政府の指針策定も進んでいない。一方、福岡市では市民グループが誘致の声を上げるなど「一獲千金」の夢はまだ覚めやらぬようである

◆皮肉屋ビアスの『悪魔の辞典』によると、「賭け事」とは「大部分は他人が損をしているさまを眺めることから楽しみが得られるゲーム」という。どれほど経済的なうまみがあろうと、人の不運と不幸とで肥え太ってきたのがカジノだろう

◆悪いことは言わない。日本中がこの誘致熱から「立ちどき」である。



[秋元議員再逮捕] 国民を愚弄する行為だ(2020年8月22日配信『南日本新聞』-「社説」)

 日本でカジノを解禁する統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件に絡み収賄罪で起訴され、自民党を離党した衆院議員秋元司容疑者が組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の疑いで、東京地検特捜部に再逮捕された。

 審理を有利に進めるため、起訴されている贈賄側に裁判で虚偽の証言をするよう依頼し、報酬提供を持ち掛けたとされる。

 秋元議員は計760万円相当の賄賂を受け取ったとして収賄罪で起訴された。一貫して潔白を主張し、2月に保釈された後は議員活動を再開した。その陰で公正な司法手続きをゆがめる工作を図っていたとすれば、これほど国民を愚弄(ぐろう)する話はない。

 裁判を控えて保釈中の国会議員が再び逮捕される前代未聞の事態である。与野党から辞職を迫る声が上がるのは当然だ。IR事業を所管する内閣府副大臣に秋元議員を任命した安倍晋三首相の責任も改めて問われる。

 秋元議員は支援者ら2人と共謀し6月と7月の2回、贈賄罪に問われている中国企業「500ドットコム」の元顧問に虚偽の証言をする報酬として現金3000万円の供与を那覇市内のホテルで申し込んだ疑いが持たれている。

 問題の証言は、2017年9月、議員会館の事務所で現金300万円を秋元議員に手渡したとされる点に関するものだ。元顧問は現金の提供を認めている一方、秋元議員は「議員会館で会っていない」と否定している。

 元顧問の証言が覆れば汚職事件の構図がぐらつく可能性が出てくる。検察は、ほかに同席した者がいない面会の場をなかったことにすれば有利な方向に裁判を進められるとの思惑があったとみているようだ。

 特捜部は、秋元議員が証人の買収を主導したという構図を描いている。金の流れなど真相究明へ捜査を尽くし、うみを出し切ってもらいたい。

 秋元議員は観光立国の推進を掲げ、日本でのIR整備の必要性を積極的に発信してきた。

 ただ、幅広い人脈を背景に政治家としての地位を固める中で、「反社会的勢力すれすれと思えるような人との付き合いもあったようだ」ともささやかれていた。重用してきた安倍政権の対応は果たして適切だったと言えるのだろうか。

 IRについて政府は、汚職事件は秋元議員ら個人の問題であり、事業推進によって観光先進国実現を後押しする意義とは、次元が違うという立場をとってきた。

 しかし、国民の政治不信は膨らむばかりだ。政府は臨時国会を早急に開き、事業推進の経緯と問題点を検証する必要がある。政権の目玉施策と位置付ける安倍首相は、説明責任をしっかり果たすべきである。



しらを切る自民党、そろそろ説明を(2020年8月22日配信『日刊スポーツ』ー「政界地獄耳」)

★今政界では首相・安倍晋三の体調問題の情報で持ち切りだが、官邸や党本部がいろいろ打ち消そうとしても政界のうわさのスピードは速い。ただ、現実に目を背けてはいけない。20日、IR(カジノを含む統合型リゾート施設)汚職を巡る汚職事件で現職国会議員・秋元司が初公判を控える中、保釈中に事件関係者に口止め買収工作をしていた容疑で東京地検特捜部に逮捕された。自民党は知らん顔だが、事件が発覚し逮捕されるまで自民党の代議士で、その汚職の舞台も自民党としてIR担当内閣副大臣や内閣委員長としてIR法を主導していた時期に当てはまる。

★政界ではすでに終わった事件で、初公判直前の再逮捕に衝撃を受けるとともに、これが官邸の守護神・元東京高検検事長・黒川弘務が今まで防波堤になっていたことを改めて裏付ける結果となった。秋元は先月30日に都内で政治資金パーティーを開いた。離党はしたものの細野豪志と同じく自民党二階派の特別会員として籍を残しており、同日、登壇した二階派副会長で党幹事長代理・林幹雄は「秋元さんは必ず無実を勝ち取って、また一緒に行動できると固く信じております」と持ち上げたが、政界では秋元や林の後ろには党幹事長・二階俊博がいることを印象付けた。

★秋元も「自民党は私から離党させてもらいましたが、落ち着いた頃に当然復党させてもらい、支援者の皆さんのご要望に応えたい」と二階派の期待に応えるあいさつをした。これで秋元は離党しているから関係ないといえるだろうか。収賄容疑よりも口止めの買収の方が政治家としては悪質。また東京地検特捜部にとっても先月31日に就任した特捜部長・新河隆志の初仕事となれば、秋元だけが目的ではないだろう。しらを切る自民党には来週、前法相・河井克行夫妻の初公判もある。こちらも離党しているが、自民党公認候補としての選挙違反だ。自民党は説明責任を果たしたらいかがか。



秋元議員の再逮捕(2020年8月22日配信『しんぶん赤旗』ー「主張」)

疑惑まみれのカジノ断念せよ

 カジノ汚職事件の収賄容疑で逮捕・起訴された秋元司衆院議員(自民党を離党)がまたも逮捕されました。自分の裁判でうその証言をするよう贈賄側に頼み、報酬の提供を持ちかけた組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の疑いです。保釈中の国会議員が逮捕されるのは前代未聞です。しかも罪をごまかすため金の力で裁判をゆがめようとした行為は、極めて悪質です。安倍晋三政権が「目玉」政策とするカジノをめぐる闇は深まるばかりです。真相の解明とともに、疑惑まみれのカジノ事業はきっぱり断念すべきです。

首相の説明責任問われる

 秋元議員は、日本のカジノ事業への進出を狙った中国の企業に便宜をはかり、その見返りに多額の賄賂を受け取ったとして昨年12月~今年1月、2回逮捕されました。同氏は安倍内閣の内閣府副大臣としてカジノを中核とするIR事業を担当していました。カジノ推進法案が強行採決された時は衆院内閣委員会委員長でした。起訴後の2月に保釈されましたが、疑惑についてまともに説明せず、議員活動を再開していました。

 今回の秋元議員の逮捕容疑は、6月と7月に知人を介して贈賄側に虚偽証言を依頼、報酬として数千万円の供与を申し込んだというものです。自らの疑惑で説明責任を果たさないばかりか、裁判でうその証言を求めるなど言語道断です。国会議員の資格がないことは明らかです。

 重大なのは、秋元議員と共謀し虚偽証言を働きかけて逮捕された同議員の知人・淡路明人容疑者と安倍首相との関係です。同容疑者は、悪質マルチ商法で被害を出した「48(よつば)ホールディングス」元社長で、首相と一緒に写った写真を勧誘に利用していました。2016年の「桜を見る会」には首相の後援会バスで入場していました。首相は国会での追及に「個人的な関係は一切ない」と弁明しますが、全く説得力はありません。淡路容疑者がいかなる経緯で首相らと接点を持つようになったかなど説明責任は免れません。

 カジノ汚職の発覚以来、安倍首相らが浮上している疑惑について国民に説明しないこと自体大問題です。中国企業のカジノ問題では、秋元議員以外の複数の与党政治家らに金が渡っていたことも判明しています。17年の日米首脳会談で訪米した首相に、トランプ大統領が米国のカジノ企業の営業許可を強く働きかけたという報道もあります。

 海外カジノ業界と日本の推進派がどう結びつき、どんな経過で国策に位置付けられたのか。徹底的にメスを入れる時です。臨時国会の早期召集は不可欠です。

計画の行き詰まりあらわ

 政府の推進スケジュールも狂っています。カジノ制度設計の詳細を盛り込む「基本方針」の決定は予定より大幅に遅れ、いまも見込みがありません。カジノ汚職事件に加え、新型コロナウイルスの感染拡大で世界のカジノ市場が大打撃を受けたことの影響です。

 日本に進出を画策していた世界最大のカジノ運営企業も撤退を表明しました。誘致に前のめりの横浜市は「実施方針」の公表を延期しました。首長が推進に積極的な自治体では住民がカジノ誘致に反対の声を上げています。矛盾と破綻が明白になったカジノは白紙撤回するしかありません。















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