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コロナと大学 「学費返せ」の不満解消を(2020年8月23日配信『産経新聞』-「主張」)

 新型コロナウイルスの影響で、キャンパスへの入構が制限され、対面授業の再開に二の足を踏む大学が目立つ。

 大学側がコロナ感染を恐れるためだが、学生からは「学費を返して」との不満も出ている。長期の感染対策が求められる「ウィズコロナ」時代の大学教育のさらなる工夫を求めたい。

 入学式もオンラインで、春から一度もキャンパスに入れない学生もいるという。文部科学省のまとめでは施設を全面開放している大学は15%にとどまる。9月の後期・秋学期が迫るが、都市部の大規模大学では、オンライン授業を原則とする大学が少なくない。

 大学を感染拡大の場としない配慮と対策は当然必要である。しかし、小中高校が順次再開しているのに対し、なぜ大学のキャンパス再開が遠いのか、学生らの不満には耳を傾ける必要がある。

 文科省は感染対策を講じ、対面授業を検討するよう求めてきた。萩生田光一文科相は今月中旬の会見で「学生が納得できる質の高い教育を提供することは必要不可欠」とし、それができない場合、「授業料の返還を求める学生の声が高まることも否定できない」と厳しく指摘した。

 学費が年間100万円を超える大学も少なくない。近年、高額化が指摘されてきた。大学側は施設充実や外国語教育など少人数教育のための設備に経費がかかることを挙げるが、それも学生確保のためだろう。キャンパスに入れないのでは、学生は充実した施設・設備を使いようがなく、コロナ下の学生の不満を放置する言い訳にならない。

 大学によっては正門に検温所や発熱者検知システムを設けるほか実験・実習の授業や図書館の利用など、キャンパス入構を段階的に認める所もある。グループに分け少人数の対面授業を再開する所もある。参考にしたい。

 オンライン授業についても質向上へ検証を重ねてもらいたい。学生の不満は、授業がマンネリでつまらないからではないか。教授とともに質問役の大学院生が登場し、オンラインでも興味をひく授業をしている例もある。

 私大を含め国から多額の助成金が投じられている。大学が「レジャーランド」などと言われて久しいが、行かずともいいような大学には退場願いたい。



「学費を返して」(2020年8月23日配信『産経新聞』-「産経抄」)

 経営コンサルタントの大前研一さんに、青年時代の思い出話がある。米国の名門、マサチューセッツ工科大学(MIT)への留学中という。教授の質問に答えが浮かばず、「図書館で調べてきます」と席を立った。すかさずチョークが飛んできた。

 ▼「ここは天下のMITだぞ。図書館に答えがあるような問題に取り組む場所じゃない!」。すごい剣幕だったと自著に書き留めている。本に答えを求めようとした自分が愚かだったとも。多くの起業家を育てることになる青年の未来を思えば、授業料を払ってもお釣りの返って来る講義だったろう。

 ▼投げたチョークが届くのも、考えてみれば幸せな距離である。いまはコロナ禍でキャンパスが閉ざされ、多くの大学は講義をオンラインに切り替えている。この春に入学した1年生の中には、同級生の顔を知らない人もいると聞く。

 ▼遠隔ゆえに光る目があることを教える側は分かっていない。資料を画面で読ませるだけ、あるいは動画を視聴させるだけのお粗末な講義などに対し、学生からは不満の声が上がっている。「学費を返して」との抗議もやむを得まい。

 ▼大学制度の草創期とされる中世ヨーロッパでは、学費は質の高い講義への対価だった。教授の休講はご法度、聴講生を5人以上集めなければ罰金を科されたという。大学の施設も使えず、キャンパスライフとは呼べない現代の「遠隔ライフ」である。学生は大学の非を鳴らしていいようにも思える。

 ▼対面授業の再開に腰が引け、秋以降もオンラインを続ける大学は多い。「答えは自分で出せ」は大前さんの持論である。小欄の学生時代は講堂で学ぶ時間より、試験前夜に仲間と机を並べ脂汗を流す時間の方が長かった。偉そうな助言はできない。






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Author:gogotamu2019
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