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コロナと大学 対面授業の再開に注力すべきだ(2020年8月25日配信『愛媛新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの影響で大学生の多くがオンラインを中心とした遠隔授業を余儀なくされている。大学合格以降、一度もキャンパスに通えていない新入生も少なくない。学生にしわ寄せが行く事態を大学側は本腰を入れて解消すべきだ。

 長期休校となった小中学校や高校では、5月25日に緊急事態宣言が全面解除されて以降、感染対策を講じながら対面授業を再開した。夏休みを短縮し、これまでの授業の遅れを取り戻そうとしている。

 一方、大学では対面授業の全面再開には慎重で、一部に限られているのが実情だ。文部科学省によると7月1日現在、全国の国公私立大などで対面授業の全面実施は16%にとどまり、2割超が遠隔授業のみ、6割が対面・遠隔を併用している。対面授業の全面再開は、「7~8月中」が1割にも満たず、「9月以降」が25%、「検討中」は6割にも上る。

 背景には、構内にいる学生が小中学校や高校に比べて多いほか、講義ごとに教室を頻繁に移るため学生同士の接触頻度が高いとの指摘がある。学外での行動範囲が広く、会食の機会が多い実態もあるとはいえ、小中学校や高校での対面授業の実績を踏まえれば、再開は十分可能ではないか。3月末に京都産業大の学生によるクラスターが発生した当時は新型コロナの知見が集積されておらず、断片的な情報で対処するほかなかったが、環境は大きく変わっている。

 大学によっては年間100万円を超える高額な学費に対し、オンラインでの課題提出ばかりでは質の低下と言われても仕方がない。親元を離れ1人暮らしをする学生にとっては精神的・経済的な負担感がさらに増す。大学が人材育成という役割を十分に果たせないのであれば、存在意義が問われよう。

 文科省がまとめた大学のコロナ対策によると、構内の検温所での検温・消毒の徹底や、可能な範囲での校舎の一方通行化による感染リスクの低減、接触確認アプリの導入を学生に求めるといった事例がある。対面・遠隔の授業は学生自身の選択を尊重し、対面授業の一部をリアルタイム中継して配慮したり、毎週2~3回、全学年の学生代表とオンライン会議を開いて学生と協働したりしている大学もある。これらを参考にして対面授業の全面再開の可能性をとことん探る必要がある。

 再開できないのであれば、その結論に至った経緯を大学側は学生や保護者に説明して理解を求めるべきだ。今後の進路を定める受験生らに向け、ホームページでの公表も欠かせない。

 新型コロナでは感染防止と社会活動のバランスが問われる。文科省は大学設置基準に基づいて、感染症対策を含めた大学の実態を把握した上で、学内で感染者が出ても十分な対策を講じていれば対面授業を継続できるとの姿勢を打ち出し、大学側を後押しすべきだ。




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Author:gogotamu2019
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