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東京パラまで1年 共生社会へ価値再確認を(2020年8月27日配信『山陽新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの影響で延期となった東京パラリンピックが、開幕まで1年を切った。当初の日程からは1日ずつ前倒しとなり、8月24日に開会式を実施し、9月5日の閉会式まで22競技を行う。陸上男子(車いす)の佐藤友祈選手(グロップサンセリテWORLD―AC、岡山市)らの活躍を期待したい。

 一方で、コロナ禍の収束は見えず、来年の開催も予断を許さない。大会組織委員会と国際パラリンピック委員会(IPC)は今後、延期でかさんだコストの削減と感染防止の両面から大会の簡素化を進める。障害の特性に配慮した感染症対策を進めて、安心、安全な大会を目指さねばならない。

 共同通信のアンケートによると、出場を目指す日本選手の7割超が、感染拡大などにより競技を継続できるか不安を感じたと答えた。モチベーションの維持や、感染の不安から競技活動自体が難しいためである。

 障害者は介助などで「3密」回避が難しい。特に、基礎疾患を持つ選手は感染による重症化も懸念される。感染症対策の強化は欠かせない。

 各国・地域の代表を決める予選や、障害に応じたクラス分けのための大会が開催されるかどうか心配な選手も少なくなかろう。予選の日程が流動的なことについて、IPCは国際競技団体とともに複数のシナリオを準備していると明言している。選手らに丁寧に周知し、理解を得るよう努めることが必要だ。

 パラリンピックの自国開催に向け、主な競技の国内統括団体はスポンサーからの協賛金収入が膨らみ続けてきたが、大会の延期や経済環境の悪化で支援に陰りが見える。陸上と競泳の両国内競技団体で、本年度はスポンサー企業からの協賛金収入がともに約1300万円の大幅減となることが明らかになった。

 各団体には、徹底した経費の見直しや透明化とともに、「勇気と強い意志、人の心を揺さぶるインスピレーション、公平」という大会の価値を、支援企業と改めて確認し共有することが求められる。

 パラリンピックは障害者への偏見や差別をなくす運動の側面がある。今回を機に、肥大化した五輪を無条件に追うのではなく、共生社会の浸透に役立つ効率的な大会の在り方も探るべきだろう。

 パラリンピックをきっかけに障害への理解を訴える政府などの活動の停滞も懸念されている。学校への出前授業や企業の研修は感染拡大で相次ぎ中止、延期になった。

 だが、「逆境の今こそ、障害について考えるチャンス」と期待する声もある。誰もがやりたいことを我慢し、制約を受ける状況が障害者の日常と重なると映るためだ。障害をつくるのは、周りの環境や考え方という面もある。バリアフリーの重要性を直接対面できなくても工夫して発信してもらいたい。




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gogotamu2019

Author:gogotamu2019
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