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医療のコロナ危機 長期化見据えた支援策を(2020年8月28日配信『熊本日日新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、医療機関の経営悪化が深刻化している。コロナ患者を受け入れる病院では手術件数の削減を余儀なくされているほか、感染を恐れての受診控えも響き、収入の落ち込みが続いているためだ。

 感染は依然として全国で広がっており、事態の長期化は避けられそうにない。医療機関への国のさらなる支援が必要だ。

 日本病院会などが全国の病院の4~6月の経営状況を調査した結果、6割超が赤字だった。コロナ患者を受け入れている病院に限れば8割を超えている。全国自治体病院協議会も、コロナ患者を受け入れている公立病院の9割以上で4~5月の収支が前年同期より悪化したと指摘している。

 コロナ患者を受け入れる病院は、医師や看護師らを手厚く配置するため一般の入院患者を減らさざるを得ない。集中治療室(ICU)の病床をコロナ患者用に一定数空けたり、院内感染を防止するため病床数を減らしたりする対応も必要となる。不急の手術を先送りするところも多い。

 受診控えは3月から全国で顕著になり、5月は前年同月に比べて2割減った。病床が20床未満の診療所は特に深刻で、日本医師会によると3~4月の外来受診が減った診療所は9割を超える。

 県保険医協会が県内の開業医に実施したアンケートでも、回答者の9割が外来患者が減ったと答えている。多くはスタッフを減らすなどして減収分を補っており、「ボーナスは支給できない」などの回答もあった。

 これまで、コロナによる直接的な崩壊を何とか回避してきた医療機関に、別の形で危機が迫っていると言っても過言ではあるまい。このままでは、通常の診療体制にいつ支障を来してもおかしくない。

 政府は本年度2次補正予算によって、医療提供体制の整備に活用する都道府県向けの緊急包括支援交付金を拡充。医療従事者に最大20万円の慰労金を支給することを柱に、コロナ重症患者の入院料に対する診療報酬を3倍にし、空き病床に伴う収入減の一部を補塡[ほてん]するなどの支援策を打ち出した。

 しかし、全国知事会は交付金の増額を要求している。国がコロナ対策として配分する3兆円の地方創生臨時交付金も、47都道府県の不足額が計約5千億円に上るとして増額を求める考えだ。各都道府県も財政調整基金を取り崩して医療体制強化に取り組んでいるが、残高が乏しくなった自治体も増え、コロナの長期化に危機感を募らせている。

 政府は、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザが今年冬に同時に流行した場合に備える対策パッケージをまとめた。コロナの検査・診療体制の拡充を掲げており、医療機関にはこれまで以上に緊密な連携と協力関係が求められそうだ。コロナ感染の次の波に備えるためにも、経営危機による医療体制の弱体化は避けなければならない。




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