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GPS監視と規制法/被害の実態踏まえ改正急げ(2020年8月30日配信『河北新報』-「社説」)

 著しくプライバシーを侵害する行為である以上、速やかに規制対象に加えなければ、ストーカー被害に苦しむ当事者の不安は募るばかりだ。

 衛星利用測位システム(GPS)機器を相手の車に無断で付けて位置情報を把握する行為が、ストーカー規制法の禁じる「見張り」に当たるかどうかが争われた二つの事件の上告審で、最高裁が「見張りには当たらない」とする初の判断を示した。

 見張り行為の場所を規定した条文を「罪刑法定主義」の原則に沿って適用する限り、GPSによる監視を現行法で規制することはできない。

 最高裁が判決で法改正を促したとも受けとれる。こうした変質的な行為が野放しにされている現状は、早急に改めなくてはなるまい。

 二つの事件のうち1件は、レンタルした機器で元交際相手の位置情報を約10カ月間、600回以上確認。バッテリーが切れるたびにひそかに回収しては充電し、付け直していたとされる。

 多くの人が悪質かつ執拗(しつよう)なプライバシーの侵害と感じるはずだが、現行の規制法は、相手の住まいや勤務先・通学先など「通常所在する場所の付近」での見張り行為を禁じているだけで、具体的な手法についての定めもない。

 二つの事件とも一審はGPSによる監視が「見張り」に当たると認定した。しかし、二審の高裁は「見張り」を視覚などで相手の動静を観察する行為と定義した上で、離れた場所からGPSで相手の車の位置情報を確認することは「見張り」に該当しないと判断。最高裁もこれを支持し、検察側の上告を棄却した。現行法の条文の不備がまさに露呈したと言わざるを得ない。

 ストーカー規制法は、GPSがまだ広く普及していなかった1992年に埼玉県桶川市で起きた女性刺殺事件を契機に制定された。

 機器はその後、容易に入手できるようになり、2014年に群馬県館林市で当時26歳の女性が元交際相手の殺害された事件では、家族の車に取り付けられたGPSで居場所が特定されるなど、ストーカー事件でGPSが悪用される例が後を絶たない。

 警察庁によると、GPSによる監視を見張り行為として規制法違反容疑で摘発した例は、7月末までに全国で59件に上る。最高裁の判断が捜査に影響し、同様の行為について全く抑止力が働かなくなる恐れもある。

 情報技術の進歩に伴い、ストーカーの手口は多様化している。スマートフォンの遠隔監視機能を悪用した事件も発生している。

 ストーカー行為は一つひとつを取ってみればささいなことに見えても、連続、重複することで、時に取り返しのつかない事件に発展するのが特徴だ。政府、国会には一刻も早く被害実態を把握した法改正を求めたい。




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Author:gogotamu2019
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