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同性カップル世帯 調査なしで対策できぬ(2020年8月30日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 まだ存在しないことにするつもりなのか。

 同性カップル同士で暮らす世帯である。9月から始まる国勢調査で、世帯数を集計しない方針を、高市早苗総務相が明らかにした。

 性的少数者や支援者らの9団体が、政府に同性カップルの世帯数を国勢調査で集計して、発表することを要望していた。

 国勢調査の記入用紙には、世帯主との続柄を記入する欄がある。同性カップルの世帯は1人を世帯主として、もう1人が続柄を「世帯主の配偶者」と選択しても「他の親族」として扱われている。そのため、同性カップルの世帯の実態は正確に把握できていない。

 団体側は「各地域に当事者がいるということを国や自治体は認識し、政策にも生かしてほしい」と訴えている。同様の要望は2010年の国勢調査から続けている。

 これに対し、高市総務相は記者会見で集計しない方針を示した上で、「わが国の婚姻関係は異性間に限定されており、区別する必要がある」と述べた。一方で「今後の法制度のあり方を踏まえ、検討するべき課題」とも話した。

 法制度を検討するには現状を把握することが欠かせない。高市総務相の発言は、同性カップルの存在から目をそらしている。

 同性カップルの当事者たちは、根強い偏見や差別にさらされることが多く、親族や友人、会社関係など周囲には、自らの性的指向を明らかにしないまま暮らしているケースが多い。特に地方ではそうした傾向が強く、身近には存在しないと思われがちだ。

 存在が顕在化しにくいから、政策的な対策や国民の意識改革が遅れてきたのが実情である。

 同性カップルは本人たちが望んでも結婚できない。税金控除も受けられず、遺産相続も簡単ではない。配偶者手当を支給する企業もまだ少数だ。

 同性カップルたちは同性婚の実現を求め、15年には日弁連に人権救済を申し立てている。日弁連は関連法改正を求める意見書を政府、国会に提出している。違憲性を問う訴訟も全国で続いている。

 5年に1度実施される国勢調査は、日本の人口や世帯の状況を把握し、政策などに反映するため、全国民を対象に実施する国の最も基本的な調査だ。

 政治と社会が真正面から問題に取り組み、改善していくには、まず現状を明らかにすることが必要だ。国勢調査は貴重な機会になる。調査対象に同性カップルの世帯数を加えるべきである。




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