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新学期 子供の自殺リスク、コロナで多重化 学校現場に緊張感(2020年8月30日配信『産経新聞』)

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18歳以下の日別自殺者数

 新型コロナウイルスの影響で短縮された夏休みが終わり、新学期の授業を再開した学校も多い。この時期は毎年、不登校や自殺が増える傾向にあるが、今年は感染者に対する「コロナいじめ」や、変化を余儀なくされた家庭生活のストレスといった新たな要因から、例年以上にリスクの高まりが危惧される。教員の多忙化によって兆候が見逃される恐れもあり、教育現場で緊張感が高まっている。(玉崎栄次)

■高まるストレス

 「いじめや不登校が増えないか心配。ストレスがたまると、些細(ささい)なことでトラブルに発展する」。神奈川県にある公立小の男性校長は警戒を強める。

 休校や登校時間の短縮などで学校生活のリズムが例年と異なり、子供同士の人間関係が十分に確立されていない中で夏休みが短縮されたことで、子供のストレスの高まりを不安視する。

 国立成育医療研究センターが学校再開後(6月15日~7月26日)に、6~17歳の約900人のストレス反応を調べたところ、72%が「嫌な気持ちになる」「集中できない」「寝付けない」などの不調を訴えた。

 同センターの調査グループは「子供に例年以上のストレスがかかっており、夏休み明けの子供たちの心の負担が懸念される」と警鐘を鳴らしている。

 「コロナいじめ」も問題化しており、調査では、22%の子供が「コロナになった人とは治っても一緒に遊びたくない」と回答。実際、新潟県の小中高校では3月から今月25日までに、少なくとも8件のいじめが確認された。医療関係者の子供やせきをした子供らを「コロナ」と呼ぶなどのケースが目立ったという。

 一方で、保護者の収入減など家庭生活の変化も子供の精神状態に影響を与える懸念があり、学校現場では子供のSOSを早期に把握することが求められる。首都圏の公立小の女性教諭は「子供たちの表情やしぐさといった変化を見逃さないように注意している」と話す。

 ■教員にも余裕なく

 しかし、感染症対策で学校業務が多忙化し、教員から余裕が失われている実情もある。教育関係者でつくるNPO法人「教育改革2020『共育の杜』」(藤川伸治理事長)が、最初に緊急事態宣言が発令された7都府県の公立校教員を中心に行った調査では、7月時点で「過労死ライン」とされる月80時間以上の残業をしていた教諭は56・4%に上った。

 疲労度が高い教員の半数近くが「子供の話を聞けなくなる」と回答しており、教員出身の藤川理事長は「子供は悩みを受け止めてもらえなければ、いらつきを友達にぶつけていじめが起きる。負の連鎖となる」と話し、教員の多忙感解消の必要性を強調する。

 例年の傾向にコロナ禍特有の課題が重なることで、リスクがより高い状況となっているのが実情だ。

 上智大の酒井朗教授(教育社会学)は「子供と教員の双方がストレスを抱えている現状は危機的だ。不登校やいじめ、自殺などを防止するため、カウンセラーと連携して子供の面談機会を設けるなど、地域の感染状況に応じて対策を工夫する必要がある」と話した。

 ■子供の自殺は増加傾向

 文部科学省によると、児童生徒の自殺は平成30年度に332人となり、昭和63年度以降で最多となっている。平成27年度から増え続けており、同省は今年6月に全国の教育委員会を通じて学校現場に自殺予防の取り組み強化を促した。

 過去約40年間の日別自殺者数を集計した内閣府の自殺対策白書(平成27年版)によると、18歳以下の自殺者は長期の休み明けに急増する傾向がある。最も多いのが夏休みで、春休みやゴールデンウイーク(GW)も増加が目立つ。

 これらの時期について、同白書では「児童生徒にとって生活環境などが大きく変わる契機になりやすく、大きなプレッシャーや精神的動揺が生じやすいと考えられる」と分析されている。

 一方、30年度には不登校となった小中学生も、16万4528人で過去最多となった。




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Author:gogotamu2019
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